先日来の "独立" のニュースで、カタルーニャの名が日本でも広く知られるようになった。わずか二ヶ月前の8月には、州都バルセロナで
テロ事件が起きたばかり。世界の目がカタルーニャに向けられている。
“スペイン” は複雑な国だ。その歴史を知れば知るほど、ひとつの国スペインとして存在することが奇蹟に思えてくる。多様性の国、各々の個性をいかんなく発揮するバラエティー豊かな国。しかし、だからこそ、”ひとつだけどバラバラ” ”バラバラだけどひとつ” このギリギリのバランスを、まさにギリギリのところで保っている。ほんの少しでもそのバランスが崩れると、一気に均衡が破れる。まだまだ目が離せない状況が続いているカタルーニャ。平和裏に解決されることを願うばかりだ。
そんなデリケートな国であればこそ、ご縁があった者はそのデリケートさに謙虚でありたいと思う。いつぞやスペイン音楽のコンサートで、MCがカタルーニャの悪口から始まった時は本当に驚いた。私がカタルーニャ贔屓だから、ということではない。たとえどこかの国の通を自負していても、公の場で、その国の一地方を揶揄するような発言をすることは、外国の文化に関わる人間の姿勢としていかがなものか。逆の場合を考えれば分かり易い。もしも日本通を自負する外国人が「日本のなかでも関東地方の人はケチで有名です」などと、コンサートでヘラヘラ喋れば、たとえ喋った本人はジョークのつもりでも、関東地方の人はいい気はしないだろう。
こんな年、こんな時だから、いつにも増してカタルーニャの歌たちが愛おしい。地上で何が起きていようと、音魂は天を駆けめぐる。心を込めて、大切にお届けしたい。
第26回リサイタル
2017年11月19日(日)14:00開演@Hakuju Hall
ご来聴をお待ちしています!