『スーパー・ギター・トリオ』   

1980年、まだスペイン音楽と出会う前だった。ある日ラジオから流れてきたギターの音に、私の耳は釘付けになった。炎のような掛け合い、弾けるリズム、熱狂する観客…。音の主は『スーパー・ギター・トリオ』パコ・デ・ルシア、アル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリンの三人がサンフランシスコで開いたコンサートのライブ、と、紹介があった。

番組終了後、すぐにレコード店へ走り、黒いジャケットがお洒落なLP『スーパー・ギター・トリオ・ライブ』を購入。聴いて、聴いて、また聴いた。目眩を覚えるほどの衝撃、魔力に心奪われた、そんな感じだった。

数年後バルセロナへ渡ることになった時、留守中の荷物の段取りのため、声楽以外のレコードすべてを手放さなければならなくなった。『スーパー・ギター・トリオ・ライブ』は友人に引き取られていった。その後の消息は分からない。以来ずっと、彼らの演奏は私の心の奥深くに住み着いていた。今ならネットで探せば見つかるかもしれない。しかしそれは、何かが違う気がした。いつかどこかでめぐり会える、そんな根拠の無い確信があった。

数日前、仕事先の駅ビルにある中古CD店の前で、ふと足が止まった。いつもはただ通り過ぎるのだが、何故か、どうしても入らねば、と思う。クラシック、ポップス、ロック…耳をつんざくような大音響の中で、棚のCDをゆっくりと見て行った。

小一時間も過ぎただろうか。ジャズ・コーナーの片隅に一枚のCDを見つけた。黒いジャケットは、忘れもしない、あの遠い日の記憶のLPによく似ている。まさか……半信半疑で手に取ってみた。『スーパー・ギター・トリオ』だ!状態は悪くない。しかも、お値段は800円。

艶のある音色、粋なリズム、躍動感、そして切なさ…。四半世紀前のトキメキが蘇る。
秘かな憧れ、秘かな願い。神様が、叶えてくださったに違いない!
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by Megumi_Tani | 2009-04-08 09:53 | スペイン音楽 | Comments(2)

Commented by たぬき at 2009-04-15 23:32 x
無知なたぬきですが、ジャズ・ギター・トリオって珍しいですよね?そんなことないのかな?私が中学生のころ、ジャック・ルーシェ・トリオを初めて聴いて、へー!?ジャズでクラシック?クラシックでジャズ?いやいや「クラシックをジャズで」が正しい解釈なのでしょうか?35年も前ですねーー!なんてことを思い出してしまいました。谷さんはスペインだけではなかったのですね?ジャズボーカルもいけたりして・・・・。
Commented by megumi at 2009-04-17 23:39 x
たぬきさんこそ、ジャズにお詳しいのでは?私は聴くだけ。でも好きです。学生時代は、いっぱしの気分で、当時流行のジャズ喫茶に通ったりしましたが…。語学の権威かつジャズ評論家、という方を存じ上げています。スゴイ!ですね。

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