「君は君のプレーをすればいい」
2010年 05月 24日
夜ごと繰り返されるバイクの騒音に疲れ果て、転居を決行したは2002年のちょうど今頃。日韓大会開催中で、テレビからは毎日ポルノグラフィティの「Mugen」が聞こえていた。ラテン系&アップテンポの曲調が妙に疲れを癒してくれた。今でも彼らの曲を聴くと、あのとんでもない引越し騒動を思い出す。
昨夜、ワールドカップ関連で、メッシを取り上げた番組を見た。彼が結果を出せずに苦しんでいた時、マラドーナが「君は君のプレーをすればいい」と言ったそうな。
このところ、ずっとそのことを考えていた。「君は君のプレーをすればいい」つまり「君は君の歌を歌えばいい」演奏とは、そういうもののような気がする。いや、そうでなければいけない気がする。「私は、私の演奏をします」と演奏者自身が明確に感じられる何かがあってこそ初めて、人前での演奏たりえるのではないか?もちろん、唯我独尊は禁物だ。ただの自己満足はもっと良くない。演奏として最悪かつ無意味なのは、有名なあの方この方の真似だろう。いくつもの罠を回避し、熱く、クールに、客観的に、どこまで自らの演奏を追求していけるか…。「これが私の歌です」と言える歌。スペイン歌曲に限らず、どんな歌を歌う時にも、このゴールを目指す。このゴールには終わりがない。ここだ!と思えば、その先にまたゴールがあることが分かる。
ゴールに立ちはだかるのは、強力なキーパーだ。2002年大会では、ドイツの名キーパー、カーンが大活躍していた。そして今年のジャパン・ブルー、サプライズ選出された川口選手に心を込めてエールを送りたい。
演奏家のゴールにキーパーはいない?いや、いる。最も手ごわいキーパーは、自分自身だ。ああだ、こうだと理由をつけて、進路をふさぎ、ゴールを阻止しようとする。