さよなら三月
2011年 03月 31日
何事もなく朝が来て、何事もなく夜が暮れる。そんな当たり前のことが心底ありがたい。ほぼ通常の生活を営める者は、被災地と被災者の方々に深く心しながら、平常心で、今出来ることを精一杯に果す。それが務めだろう。「共感疲労」「共感ウツ」の人が増えている。思いはとてもよく分かる。まさに共感する。でも、その心のベクトルからは何も生まれない。今とりあえず自分で立てる人間が「共感」で自滅するのではお話にならない。被災地の方々に申し訳ない。
…と、書いている私も、やっと心が落ち着いた次第。
「計画停電の夜、お布団にもぐりこみ、懐中電灯をつけて歌っていました」と、笑顔で語った生徒さんがいた。極度の緊張、我慢、抑制、無力感…。誰もが疲れている。歌は、ほんの束の間でも心を解放してくれる。
東京はソメイヨシノが開花した。例年なら桜とともに去るスギ花粉が、今年はまだビュンビュン飛んでいる。何もかも狂った春…。まだ先は長い。さよなら三月、こんどは四月。
ただ、今出来ることをするだけ、だ。