『君の上にはただ花ばかり』   

一昨日6月30日は、モンポウの命日だった。

内なる世界を無限に旅する音楽。繊細で緻密な小宇宙。歌曲集『夢のたたかい』は、そんなモンポウの世界を、歌とピアノでこの世に実現している。なかでも第一曲『君の上にはただ花ばかり』は秀逸だ。どこまでも慎ましやかな旋律、どこまでも素直な音の流れ、美しく透明な音宇宙に溢れる言葉にならぬ魂の声…。歌詞はカタルーニャ語。モンポウの友人である詩人、ジャネスが、天に召された恋人を偲び、「君の胸の上にそっと横たわる百合の花になれたなら…」と詠っている。カタルーニャ語による歌曲の最高峰というのみならず、スペイン歌曲の最高傑作のひとつだ。

スペイン歌曲に出会った当初は、カタルーニャ語の読み方が分からず歌えなかった。バルセロナで、勇気を出して、ガルシア・モランテ先生に「『君の上にはただ花ばかり』をレッスンしてください」と言った時のドキドキを思い出す。マエストロ・モンポウご本人の前で『君の上にはただ花ばかり』を歌わせていただいたことは、まさに、「夢のたたかい」ならぬ「夢の実現」だった。

モンセラート・カバリェとアリシア・デ・ラローチャのコンビによる演奏


こちらは、ビクトリア・デ・ロス・アンへレスとモンポウによる演奏。


ビクトリア・デ・ロス・アンへレスはモンポウと親交が深く、彼のよき理解者だった。今年はヴィクトリア・デ・ロス・アンへレス没後10周年。秋のリサイタルでは、二人の想い出を胸に、『君の上にはただ花ばかり』を捧げたい。
30周年記念リサイタルスペイン わが心の歌
2015年10月17日(土)午後2時開演@Hakuju Hall

『君の上にはただ花ばかり』を初めて聴いて、これがスペイン歌曲だと思う人はおそらくいないだろう。「オーレ!」や「ビバ!ビバ!」だけがスペインの歌ではない。スペイン歌曲には実に様々な顔がある。「毎日メディアカフェ」では、そのあたりをざっくばらんにお話したい。
毎日メディアカフェ谷めぐみが語る 魅惑のスペイン歌曲
2015年7月23日(木)午後6時30分~8時

こちらは、1970年、フランスのテレビ局が制作した番組。モンポウがバルセロナの街中を散歩しています。



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by Megumi_Tani | 2015-07-02 01:04 | リサイタル | Comments(0)

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