Programa ご案内「エル・アレグリート」
2015年 09月 13日
「ラ・パロマ」で世界に名を馳せたイラディーエルだが、彼にはもうひとつの隠れた「重要な」ハバネラ作品がある。「エル・アレグリート」、かのビゼーのオペラ『カルメン』のアリア「恋は野の鳥」に姿を変えた作品である。
この二つの作品、確かによく似ている、というより、そっくりである。しかし聴きこめば、そして歌いこめば、明らかに似て非なる作品であることが分かる。「エル・アレグリート」のままであれば、ただの俗歌で終わっていただろう。それを世界で最も有名なアリアのひとつに変身させたビゼーの閃き、力量、手腕に、ただただ感じ入る。しかし、しかし、翻って考えれば、そのビゼーの閃きも、「エル・アレグリート」無しには生まれなかったわけだ。
この忘れられがちなハバネラ「エル・アレグリート」を、今年、没後150年を迎えたイラディエールに捧げたい。30年目にして、初めてプログラム入りした曲。