マラッツ 『スペインのセレナータ』   

今回のリサイタルのテーマは二つ。第一次世界大戦に巻き込まれ、悲劇の最期を遂げたエンリケ・グラナドス没後100年への哀歌、そして彼を取り巻く郷友たちとの絆の物語だ。

グラナドス、アルベニス、ファリャ、カザルス、トゥリーナ、マラッツ、ニン…etc。この時代のスペイン音楽界は、まさに百花繚乱。艶やかな大輪の華が咲き乱れている。そして嬉しいことに、彼らはとても仲が良い。故国スペインの音楽を愛し、よき友、よきライバルとして、互いの才能を認め、讃え、切磋琢磨して、各々独自の芸術を創りだした。先日カザルス『さようなら…!』でご紹介したように、彼らは音楽のみならず、プライベートでも親交が深い。

グラナドスのそんな郷友のひとりが、ホアキン・マラッツだ。グラナドスとマラッツは5歳違い。ともにパリで修業を積んだ。熱心にレッスンに励むかたわら、時にはカフェで画家や詩人たちと語り合い、時には当時大流行の二人乗り自転車!を乗り回し…。若い二人は、芸術の都パリを謳歌したという。

マラッツ作曲『スペインのセレナータ』タイトルはご存じなくても、音を聞けば、そういえばどこかで耳にしたような…と、記憶をたどられる方が多いのではないだろうか。オリジナルはピアノ曲だが、後に、あの『アルハンブラの想い出』で名高いタレガによって編曲され、すっかりギター曲として定着した。ところが何と!この作品はは歌曲にも姿を変えていた。情緒たっぷりの風情に魅せられた詩人が、歌詞をはめ込んだのだろう。歌い手としては嬉しい限り!カザルスの『さようなら…!』同様、こちらもほとんど演奏されない作品だが、グラナドスとマラッツ、若き二人の青春の日々に思いを馳せ、思いっ切り“スペイン風に”歌ってみたい。

第25回リサイタルスペイン浪漫Ⅱ~エンリケ・グラナドス没後100年に捧ぐ
ご来聴をお待ちしています060.gif

貴重な音源!!マラッツ本人が弾く『スペインのセレナータ』


セゴビアが弾くギター版

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by Megumi_Tani | 2016-06-24 22:11 | リサイタル | Comments(0)

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