アルベニス 『カディス』   

幼い頃からスーパー・ピアニストとして世界を股にかけて活躍したアルベニス。後年は、スペインを代表する作曲家として、色彩感豊かな魅力溢れる作品を数多く発表した。故国の音楽を愛し、その発展を願い、郷友、後輩達への助言、援助を惜しまず、当時のスペインの音楽家達の兄貴分のような存在だった。晩年、重い病に罹った折は、グラナドス、カザルスら、彼を慕う“弟分たち”が南仏の保養地へ見舞いに訪れている。奇しくもグラナドスと同じ48歳でこの世を去った。

アルベニスの作品は圧倒的にピアノ曲が多い。おそらく日本で最も有名な「グラナダ」もオリジナルはピアノ曲だ。しかしこの魅惑の旋律をピアノだけに独占させるのはもったいない!?とばかりに、ギター編曲版が登場。そして後に、歌詞がはめ込まれ、歌曲にまでなった。今回リサイタルで歌う『カディス』も同様だ。オリジナルのピアノ曲がギター曲にも歌曲にも姿を変えた。後付けの歌詞では、魅力的なカディス娘への熱い恋心が歌われている。独特のゆったり弾むリズムが何とも心地よい。

時にスリルに満ち、時に熱く心煽るスペイン音楽のなかで、アルベニスの音楽が鳴るとホッとする。信頼に満ちた明るさ、豊かで穏やかなロマンティシズム…。善良で太っ腹、人情に厚く、皆に慕われたというお人柄が偲ばれる。

ピアノ版『カディス』


のどかな映像とともに…ギター版『カディス』


グラナドス『スペイン舞曲第5番アンダルーサ』、マラッツ『スペインのセレナータ』、そしてアルベニス『カディス』と、今回はアレンジものが盛り沢山だ。こうして自由にジャンルを行き来する作品が多いことも、スペイン物の魅力のひとつかもしれない。とはいえ、歌曲版『スペインのセレナータ』『カディス』は、ほとんど演奏される機会がありません。どうぞお聴き逃しなく。

第25回リサイタルスペイン浪漫Ⅱ~エンリケ・グラナドス没後100年に捧ぐ
ご来聴をお待ちしています060.gif
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by Megumi_Tani | 2016-08-25 22:23 | リサイタル | Comments(0)

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