アルベニス 『カディス』
2016年 08月 25日
アルベニスの作品は圧倒的にピアノ曲が多い。日本でもよく知られている「グラナダ」もオリジナルはピアノ曲だ。しかしこの魅惑の旋律をピアノだけに独占させるのはもったいない!?とばかりに、ギター編曲版が登場。そして後に、歌詞がはめ込まれ、歌曲にまでなった。今回リサイタルで歌う『カディス』も同様だ。オリジナルのピアノ曲がギター曲にも歌曲にも姿を変えた。後付けの歌詞では、魅力的なカディス娘への熱い恋心が歌われている。独特のゆったり弾むリズムが何とも心地よい。
時にスリルに満ち、熱く心煽るスペイン音楽のなかで、「アルベニス」が鳴るとホッとする。信頼に満ちた明るさ、豊かで穏やかなロマンティシズム…。善良で太っ腹、人情に厚く、皆に慕われたというお人柄が偲ばれる。
ピアノ版『カディス』
グラナドス『スペイン舞曲第5番アンダルーサ』、マラッツ『スペインのセレナータ』、そしてアルベニス『カディス』と、今回はアレンジものが盛り沢山だ。こうして自由にジャンルを行き来する作品が多いことも、スペイン物の魅力のひとつ!とはいえ、歌曲版『スペインのセレナータ』『カディス』は、ほとんど演奏される機会がありません。どうぞお聴き逃しなく。
第25回リサイタル『スペイン浪漫Ⅱ~エンリケ・グラナドス没後100年に捧ぐ』
ご来聴をお待ちしています