ファリャとベティカ
2016年 10月 25日
紀元3世紀、イベリア半島は6つの地域に分割され、その中のひとつ、現在のアンダルシア辺りを「ベティカ」と呼んだ。マヌエル・デ・ファリャの作品の中に『ファンタシア・ベティカ』というピアノ曲がある。ベティカ、すなわち、ローマ時代のアンダルシアに思いを馳せて書かれた作品だ。
『はかなき人生』『恋は魔術師』で、アンダルシア音楽の頂点を極めたファリャだが、彼はそれで満足しなかった。より昇華されたスペイン音楽、より純化された音楽そのものを追求し続ける。ちょうどその曲がり角の時期に書かれたのが『ファンタシア・ベティカ』だ。テクニック的にも理解するにも難しい曲ということで、なかなか演奏されないらしい。
ファリャという人は、何事も純粋に突き詰めて、突き詰めて、突き詰める。時には突き詰め過ぎて、壊れてしまう。しかし、その異常なまでの突き詰めから、ファリャ独自の高次に熱く純粋な音楽が生まれた。
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ファンタシア・ベティカ(アンダルシア幻想曲)