イサベルとフェルナンドの時代
2016年 12月 21日
二人は大恋愛の末、両家の反対を押し切って結婚した、と、以前何かで読んだ記憶がある。日本の戦国時代同様、政略結婚が当たり前だった当時としては、かなり珍しいケースだ。1492年、イスラム最後の砦グラナダ王国の開城を経て、レコンキスタ(国土回復運動)完了。イサベルとフェルナンドは、イベリア史上模範とされる政策を遂行、統治を行う。このチャンスを逃すまいと再び己の大冒険のプレゼンに現れたコロンブスは、見事、両王から支援を取り付けた。新大陸への夢、勢いづくスペイン。
しかしこの国土回復運動と称されるものは、現代のスペインや中南米にも及ぶ大きな問題を孕んでいたらしい。更にこの時、キリスト教への改宗を拒否したユダヤ人20万人以上が国外に追放された。流浪の民となった彼らをセファルディーと呼ぶ。キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、三つの宗教の民が共に生き、共に栄えた中世スペインの奇跡。この妙なる奇跡の崩壊に、スペインの哀しみの萌芽が潜んでいたのかもしれない。
この時代を採り上げた新刊が出ました。王家の系図など、資料も豊富です。
西川和子著『スペインレコンキスタ時代の王たち: 中世800年の国盗り物語』
今も中世そのままのスペイン語で歌い継がれるセファルディーの歌。
CD『谷めぐみが歌う 魅惑のスペイン』にも8曲収録されています。