カテゴリ:Musica あれこれ( 21 )   

ビクトリア・デ・ロス・アンへレス《カルメン》新譜   

ビクトリア・デ・ロス・アンへレスが歌うカルメンの新譜が発売された。1958年録音、トーマス・ビーチャム指揮の名盤を最新のSACDで楽しめる。

歌劇《カルメン》(全曲)
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ブックレット冒頭、ビクトリア・デ・ロス・アンへレスならではのカルメンの魅力について、オペラ研究家岸純信氏が非常に興味深い文章を寄せられている。私が通訳させていただいた折の体験談もご紹介くださった。

国を超え、時代を超え、絶大な人気を誇るオペラ《カルメン》。世界中の名だたるソプラノ、メゾ・ソプラノが名演、名録音を残している。ビクトリア・デ・ロス・アンへレスにとっても、この役は格別だったに違いない。1980年代後半、来日の折にも、ハバネラ〈恋は野の鳥〉、セギディーリャ〈セビーリャの砦近くで〉は、本プロ、あるいはアンコールの定番だった。そして、1994年、バルセロナのリセウ歌劇場焼失の際の演奏会でも、彼女はカルメンを歌っている。

1972年、49歳


1978年、55歳


1994年、71歳 リセウ歌劇場焼失にニュース映像とともに


今回発売SACDの音源は1958年の録音。ビクトリア・デ・ロス・アンへレス、35歳の名唱をご堪能いただきたい。

今秋リサイタルでは、上述のハバネラ〈恋は野の鳥〉の生みの親?生みの歌?〈エル・アレグリート〉を歌う。蒸し暑さと戦いながら(^^;; 準備に奔走する今、この新譜が発売されたことは嬉しい偶然!「ありがとうございます!」と、思わず、天に叫びたくなる。

第26回リサイタル
スペイン浪漫Ⅲ~グラナドス生誕150年、モンポウ没後30年に捧ぐ
2017年11月19日午後2時開演@Hakuju Hall(代々木八幡)
ご来聴をおまちしています♪


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by Megumi_Tani | 2017-07-06 20:21 | Musica あれこれ | Comments(0)

ラ・ノビア   

412日、ペギー葉山さんの突然の訃報が伝えられた。生涯現役、直前までお元気に活動されていた。ご冥福をお祈りします。


私が子どもの頃、既に大歌手だったペギー葉山さん。真っ先に思い浮かぶ曲は〈ドレミの歌〉〈学生時代〉だろうか。当時は、〈ドレミの歌〉がミュージカル〈サウンド・オブ・ミュージック〉の中の1曲などと知る由もなく、〈学生時代〉に描かれている都会のキャンパスライフがひどくお洒落に感じられたものだ。


ペギー葉山さんの数ある大ヒット曲の中のひとつに〈ラ・ノビア〉がある。日本ではカンツォーネとして紹介されているが、元々は、チリ人のホアキン・プリエト作曲による、れっきとしたスペイン語の歌だ。1961年、映画で大ヒットした。



日本では、ちょっとお洒落な洋楽は、シャンソン、またはカンツォーネと紹介されることが多い。しかし、〈ラ・ノビア〉しかり、〈ラ・パロマ〉しかり、チャップリンの映画で有名な〈すみれの花売り娘〉しかり、往年のヒット曲〈時計〉しかり、5月にセルバンテス文化センターのクラスで採り上げる〈アマポーラ〉しかり、み~んな元々はスペイン語の歌だ。そうとは知られないまま、皆さんのお耳に届き、お馴染みの曲になっている。スペイン語圏の歌がもつ懐かしさ、温かさ、癒し感のようなものが、どこか日本人の心にフィットするのかもしれない。実はスペイン語だった!人気曲をきっかけに、スペインの歌やスペイン歌曲に興味をもっていただければ、これもまた嬉しい。


ペギー葉山さんが歌う〈ラ・ノビア〉

大ベテランお二人の名映像〈ラ・ノビア(泣きぬれて)〉

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ご参加をお待ちしています!

『”アマポーラ”をスペイン語で歌おう♪』
日時:2017年5月12日、19日(いずれも金曜日)19:00~20:30
会場:セルバンテス文化センター東京
受講料:6,000円(2回セット)
『魅惑のスペイン歌曲Ⅲ』
日時:2017年6月9日、23日(いずれも金曜日)19:00~20:30
会場:セルバンテス文化センター東京
受講料:6,000円(2回セット)
詳細・お申し込みはこちら ⇒ 『セルバンテス文化センター春期講座』


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by Megumi_Tani | 2017-04-23 14:36 | Musica あれこれ | Comments(0)

『いい音楽、届けようプロジェクト』その2   

昨年12月の『Plegaria』につづいて、拙CD『谷めぐみが歌う 魅惑のスペイン』が東日本大震災復興支援プロジェクトに参加させていただくことになった。福島、宮城、岩手、各県のエフエム局にCDが送られる。
『いい音楽、届けようプロジェクト』

冷たい風が吹きすさぶ寒い日だった。都内の電車がすべてストップ。知らない町の知らないバスを乗り継ぎ、乗り継ぎ、ほぼ6時間後に帰宅した。大渋滞で立ち往生したバスの車内から見た光景、オレンジ色の街灯に照らされた夜道を、おびただしい数の人がただ黙々と歩いていた、あの光景は忘れられない。

大震災からもうすぐ六年。今、拙CDをお役に立てていただけることに感謝している。
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by Megumi_Tani | 2017-03-02 22:12 | Musica あれこれ | Comments(0)

『音楽は言語と心の架け橋』   

楽しみにしていた、1月31日開催毎日メディアカフェ「『脳科学が明らかにする言語と音楽の普遍性』~スズキ・メソードと東京大学の共同研究、狙いと意義~」に出かけてきた。
『脳と言語と。。。』

講師は、東京大学教授、公益社団法人才能教育研究会会長、早野龍五先生と、同じく東京大学教授、言語脳科学者の酒井邦嘉先生。早野先生が会長を務められる才能教育研究会は、あのスズキ・メソードでよく知られている。酒井先生からのお声がけで、この度、共同研究を開始。5年をかけて、音楽の普遍性と脳機能の関係解明を目指されるそうだ。オンガクノフヘンセイトノウキノウノカンケイカイメイ??一見難しそうなプロジェクトの内容を、お二人の先生がユーモアを交えて、楽しく、興味深く、お話しくださった。

以下、備忘録を兼ねて、要点をほんの少し。

★エキスパートは、脳の必要箇所だけをピンポイントで使っている⇒疲れない。習熟度の低い人は、脳のあちらこちらを無駄に不効率に使っている⇒疲れる。
★「言語」は自分が思考するためにある。「音楽」もまず自分の中で解釈、運営する意思がある。音楽と言語はとてもよく似ている。
★人間には普遍文法が備わっているように、普遍音楽というものも備わっているのではないか。
★限界的練習⇒自分の限界ギリギリのところで、計画的、意識的に、練習する」ことの重要性。
★いわゆる「氏か素性か」

「音楽は言語と心の架け橋。言語の研究を通して、最終的には人間を理解したいと考えています」と結ばれた酒井先生。母語ではない言語:スペイン語で、歌う:音楽に関わる者として、思わず膝をポーンと打ちたくなるお話、そして、勇気づけられるお話が沢山あった。感謝。

「『脳科学が明らかにする言語と音楽の普遍性』
          ~スズキ・メソードと東京大学の共同研究、狙いと意義~」   
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毎日メディアカフェでは、様々なイベントが開催されています。 ⇒ 『毎日メディアカフェ』
昨年、一昨年、谷めぐみも登壇させていただきました。
『魅惑のスペイン歌曲』
『漱石とグラナドスの時代~スペイン歌曲浪漫』

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by Megumi_Tani | 2017-02-01 21:09 | Musica あれこれ | Comments(0)

脳と言語と音楽と。。。   

世に言う文系人間の私は、〇〇科学と聞くだけで思考回路がストップしてしまうところがある。なぜそんな事を考えなきゃいけないのかしら…?と、頭が勝手にシャッターを下ろしてしまうのだ。

ところが、ある時、知人の紹介で、東大教授・酒井邦嘉先生の講演を聞かせていただく機会があった。テーマは「脳と外国語習得の関係」である。

実は、このテーマには積年の疑問と興味があった。昔々バルセロナに留学して間もない頃、来る日も来る日もスペイン語と格闘していたら、ある日突然天からスペイン語が降って?きた。スペイン語に対して、脳がいきなり全開になったような感覚だった。    『¡Hola! バルセロナ(10)』
あの出来事は一体何だったのだろう?どんなカラクリであんな事が起きたのだろう?それを知りたいとずっと思っていた。ソフトでな語り口で、我々素人にも分かりやすくお話しくださる酒井先生。
脳と言語?脳と心?そして、脳と音楽?…。〇〇科学アレルギーなどすっかり忘れて、お話を興味深く拝聴した。

その酒井先生が今月末、毎日メディアカフェに登壇される。テーマは「脳科学が明らかにする言語と音楽の普遍性」 。言語と音楽。深~いつながりがありそうです。。。
1月31日(火)午後6時30分~@毎日ホール(毎日新聞東京本社・地下)入場無料。
お申し込みは、こちらのサイトから↓↓
「脳科学が明らかにする言語と音楽の普遍性」
~スズキ・メソードと東京大学の共同研究、狙いと意義~


少し前のものですが、爆笑問題が酒井先生を訪ねた番組の動画がありました。
爆問学問 FILE060:「おしゃべりな脳」

一昨年「谷めぐみが語る魅惑のスペイン歌曲」、昨年「漱石とグラナドスの時代~スペイン歌曲浪漫」と、お世話になり、スペイン歌曲の魅力をたっぷりご紹介させていただいた毎日メディアカフェ。そのお馴染み毎日メディアカフェに、酒井先生登場とは!楽しみです。
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by Megumi_Tani | 2017-01-23 00:00 | Musica あれこれ | Comments(0)

『いい音楽、届けようプロジェクト』   

東日本大震災復興支援プロジェクトのひとつに参加させていただくことになった。2011年リサイタル・ライブ『Plegaria~祈り』が、被災地のコミュニティFM等々に届けられる。
『いい音楽、届けようプロジェクト』

今回きっかけを作ってくれたのはS氏。初めてお目にかかったのは、ほぼ三十年前。今年、思わぬところで再会した。猛烈にお忙しいなか、毎日メディアカフェにもリサイタルにも駆けつけてくださった。Sさん、ありがとうございます。

3月11日のあの大地震の後、歌い手として何が出来るのか、悩みに悩み、やっとの思いで開催を決めたリサイタルだった。事前の打ち合わせ事項の中には、演奏会の途中で大きな地震が起きた場合の対策も含まれていた。どのタイミングで演奏を止め、どんな手順でお客様を避難誘導するか…。11月だというのに、当日は台風のような暴風雨。それでも会場にはいっぱいのお客様が集まられた。「さくら」を歌い、全員で「ふるさと」を大合唱したことは忘れられない。

「もう二度とこんな大災害が起きませんように」「もう二度と演奏会がこんな異様な緊張に包まれることがありませんように」祈らずにはいられなかった。そして、この祈りを込めて、リサイタル音源を残そう、と、思った。それが「Plegaria~祈り」だ。

これまでもささやかながら売り上げの寄付等はさせていただいて来たが、CDそのものをお役に立てていただけることは、感慨がひとしお募る。あの時、リサイタルを中止せず、思い切ってCD制作を実行してよかった、と、思う。
年が明ければ、大震災からまもなく六年。被災地の復興をあらためて心から祈る。
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by Megumi_Tani | 2016-12-24 22:27 | Musica あれこれ | Comments(0)

『カルメン』 勉強会   

坂元勇仁氏主宰「学び舎遊人」で定期的に開かれている勉強会『みんなでオペラ』に参加させていただいた。今回のテーマは、ご存じ『カルメン』。語り手は、オペラ・キュレーター井内美香さん。

原作、台本、初演日など作品に関する基礎知識から、時代背景、ビゼーの生涯、登場人物の個性と音楽の関係、特徴、魅力等々について、詳しく分かりやすくお話くださった。井内さんお手製のハートマーク入り人物相関図が何とも可愛らしい。お話の合間に聴いた、ご推薦音源は、こちら。



たしかにカルメンは勝手気ままで、手の付けられない女だ。しかも最後は刃傷沙汰で終わる。決して明るくはない。それどころか、どちらかといえば陰惨なオペラだ。それでも世界中で人気が衰えないのは、カルメンをはじめドン・ホセ、ミカエラら登場人物各々に、お客様各々が秘かに共感するからではないか。実は言ってみたいけれど言えない台詞を言ってくれる、やってみたいけれど出来ないことをやってくれる…etc。蔑みつつも共感せずにはいられない、そんな人間の業を鋭く、巧みについた作品なのだ、きっと。

それにしても、一般にこれがスペイン!と括られることには微妙な違和感がある。ここまで濃く煮詰まった所謂スペイン話は、外国人のビゼーだからこそ描けたのだと思う。

ムチャぶりでマイクが回って来たので、スペイン音楽の特徴に加えて、ハバネラ「恋は野の鳥」に欠かせない裏エピソード、イラディエール「El arreglito」をご紹介させていただいた。

スペインがどう語られ、どう受けとめられているか。いつの場合も興味がある。『カルメン』をきっかけに、より多彩なスペインに触れていただければ嬉しい。

もうひとつ、井内さんご推薦の音源からフィナーレ

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by Megumi_Tani | 2016-12-13 22:23 | Musica あれこれ | Comments(0)

ご案内『ADESSO』ライブ   

スペイン食文化のエキスパート、銀座、月島、市ヶ谷、門前仲町にお洒落なレストラン&バルを展開するスペインクラブからご案内が届きました。
スペインオペラ界実力派トリオ『ADESSO』がピアニストとともに来日。2日間のライブを行います。会場は月島スペインクラブ。スペシャルなステージをスペシャルなお料理とともにどうぞ!

7月10日(日)17時30分ライブ開始 / 7月14日(木)19時15分ライブ開始
ご予約お問合せ:03-3533-5381
詳細はこちらをどうぞ ⇒ 『ADESSO来日公演』

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by Megumi_Tani | 2016-06-29 21:51 | Musica あれこれ | Comments(0)

締めは、アルゲリッチで♪   

日西翻訳通訳研究塾・教養講座『スペインの民主化を振り返る』第4回の講義が終わった。フランコ時代の後期、表向きは誰も語らぬうちに、民主化への動きは着実に始まっていた。。歴史は、特にスペインの歴史は、下手なドラマよりよほどドラマティックな展開をみせる。

そんな時代のスペインを描いた映画をご紹介いただいた。フレッド・ズィンネマン監督・製作 『日曜日には鼠を殺せ』  ところがこの映画、英語の原題は『Behold a pale horse』という。あれ?鼠ではなく馬? そして、スペイン語のタイトルは『Y llegó el día de la venganza』⇒『そして復讐の日が来た』 なぜか、鼠も馬も出て来ない。

『日曜日には鼠を殺せ』
Y llegó el día de la venganza (Behold a pale horse) (1964)


ビックリのタイトル邦訳といえば、今年の話題作『アルゲリッチ、私こそ音楽!』も忘れられない。 【アルゲリッチの娘】 平野 啓一郎さん
こちらの原題は『Bloody daughter』。このタイトルにこそ、監督ステファニーの心、作品の核が秘められている。「私こそ、音楽!」とは、さて…???少なくとも、映画の中で彼女がそんなセリフを言い放つ場面はどこにもない。

先日たまたまラジオを聞いていたら、チェリストの遠藤真理さんが、今年、アルゲリッチと共演した時の話をしていた。『第16回 別府アルゲリッチ音楽祭』
共演したモーツァルトのピアノ四重奏曲第1番は、アルゲリッチにとって初めて弾く曲であったとのこと。リハーサル中、ずっと彼女は演奏に納得がいかず、何度も何度もやり直し、リハーサルを録音して皆にコメントを求め、ディスカッションを繰り返したという。そして誰よりも早く会場入りして、とにかく練習、練習、練習…。「あの天才アルゲリッチにして、あの練習量、あの姿勢…。本当に驚きました」と、遠藤さんが語っていた。

音楽に、どこまでも真摯に、どこまでも真剣に向き合う心。愛するものを、ただ純粋に愛する心。痛々しいほどに無垢で美しい。その痛々しさが、よりリアルに、そして、より愛おしく感じられるのは、きっとあの映画の影響だろう。

それにしても、練習、練習、練習…。天才アルゲリッチにしてこれだ。ましてや、我ら凡人の何をかいわんや。来年も、コツコツと、コツコツと大切に積み重ねて、大切なスペインの歌を、大切に心を込めてお届けしたいと思います。

2014年ありがとうございました。皆様、よい新年をお迎えください。
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by Megumi_Tani | 2014-12-29 00:23 | Musica あれこれ | Comments(0)

『アルゲリッチ、私こそ、音楽!』   

やっと時間が空いたので、大急ぎで渋谷に出かけた。目指すは、9月の封切り以来ずっと気になっていた映画 『アルゲリッチ、私こそ、音楽!』。世界的名ピアニスト、マルタ・アルゲリッチのドキュメンタリー・フィルムだ。マルタの三女、ステファニー・アルゲリッチが監督を務めたことでも話題になっている。
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真摯に激する魂、奔放な生命力、豊かな母性、あどけない幼女の心、柔和な微笑み、虚ろなまなざし、壮絶な孤独、その存在のすべてを昇華する音楽…。マルタ・アルゲリッチ、その人のむきだしの姿を、監督は、実娘ゆえの、天才芸術家に翻弄されてきた人ゆえの、女同士ゆえの複雑な視線を絡ませながら、淡々と映しだしてゆく。

邦題『アルゲリッチ、私こそ、音楽!』は、びっくりの意訳だ。原題は『Bloody daughter』。映画のなかで、この言葉の出所が分かる。Bloody daughter の名のもとにカメラを回し続ける娘ステファニーと、それに赤裸々に応える母親マルタ。 この映画を成立させたのは、ほかの誰でもない、女神マルタ・アルゲリッチその人であることが痛いほど分かる。

ずっしり重い赤ワインのような映画です。渋谷ル・シネマにて。11月7日まで。

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by Megumi_Tani | 2014-10-27 23:17 | Musica あれこれ | Comments(0)