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「スペイン歌曲って、何ですか?」   

いつもコンサートに足を運んでくださる方からお便りをいただいた。「リサイタルを楽しみにしています。ところで今さらですが、スペイン歌曲というのは何ですか?スペインの曲をスペイン語で歌うことですか?外国の曲をスペイン語で歌うことですか?カルメンもスペイン歌曲ですか?」とある。「とんだ音楽音痴でごめんなさい」と私を気遣ってくださってもいる。なるほど…。これが大半のお客様の本音だろう。親しく応援してくださる気持ちから、勇気をもって書いてくださったのだ。

スペイン歌曲とは、スペインの作曲家による声楽作品の総称である。日本とは事情が異なり、各地の民謡を編曲した作品も多い。スペインの伝統的なオペレッタであるサルスエラや、オペラもある。スペイン語圏という広い世界に目を向ければ、中南米の作曲家の作品も私のレパートリーに含まれる。ちなみにフランスの作曲家ビゼーが作曲したオペラ「カルメン」はスペイン歌曲ではない。

スペイン歌曲をスペイン語で歌う。言葉の壁は承知している。それでも原語で歌う。「歌」とは、詞、旋律、リズムが一体になったものと考えるからだ。歌詞をすげかえれば、それは別の作品になってしまう。たったひとつの言葉でも、それをどの音にどんなリズムで乗せるか、作曲家が込めた思いを大切にしたい。もちろん言語の構造から来る訳詞の難しさもある。スペイン語では一つの音符にのせられる言葉が、日本語では三倍くらい?の長さになる。オリジナルの内容をすべて表そうとすれば、どの曲も7番も8番もある歌になってしまう。素晴らしく魅力的な訳で広く人々に知られている曲があるが、これはもう訳詞ではなく「作詞」である。言葉の都合で原詞とかけ離れた内容になっていれば、これは別の作品だ。

意味の分からない歌を延々と聞かされるのは間違いなく苦痛である。コンサートでは、スペイン語での演奏にできるだけ寄り添っていただけるよう努める。「歌詞大意」をお渡しし、演奏の合間にはオシャベリで曲の内容、エピソードをご紹介をする。気に入れば拍手をしていただき、笑いたければ遠慮なく笑っていただく。コンサートを忍耐の時間にしたくない。また、してはいけないと思う。「スペイン語が分からないから…」その言葉を思わず忘れて、心から楽しんでいただきたいのだ。

最後はありったけの想いをこめて、歌う。音楽の力を信じて、歌う。それでも、ご不満は出る。でも本当に、それしかできない。
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by Megumi_Tani | 2009-07-24 10:49 | スペイン歌曲 | Comments(2)

FM小樽 その2   

今日午後の番組「くつろぎ運河通り」に、電話で生出演させていただきました。お若いのに、とても話し上手なパーソナリティーの女性。小樽での高校時代の思い出、スペイン歌曲との出会い、そもそもスペインの歌とはなんぞや?etc。楽しいオシャベリ、アッという間の二十分間でした。最後は私のCDから「鳥の歌」でお別れ。小樽の隣町、余市町での初めての故郷コンサートが近づいています。

こちらは第19回目!東京でのリサイタルをHPにアップしました。
http://www.e-yakushiyo.net:80/Tani_Megumi_Reciatal_Octubre.htm

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by Megumi_Tani | 2009-07-21 08:22 | 故郷 | Comments(0)

FM小樽   

7月20日(祝・月)午後1時から、FM小樽に電話で出演いたします。小樽在住の方、たまたまその日小樽にいらっしゃる方、どうぞお聴きください。
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by Megumi_Tani | 2009-07-18 13:00 | 故郷 | Comments(2)

第19回リサイタル   

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『谷 めぐみが歌う 魅惑のスペイン~なんと哀しく なんと愛しく』カノン工房でチケット発売になりました。バロック時代の古典歌曲、昨年大きな反響を呼んだセファルディーの歌(ピアノアレンジ版)、そして「わが心のアランフェス」「グラナダ」「アンダルーサ」「ラ・パロマ」などスペインのヒット・メロディーの数々。変幻自在、色あざやかな歌の世界をご堪能くださいませ。
http://www.atelier-canon.jp/
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by Megumi_Tani | 2009-07-16 12:52 | リサイタル | Comments(2)

代役なし   

土曜日夕方、選挙戦最終日、ウグイス嬢の美しくハリのある声が聞こえてくる。「○○本人が最後のお願いに上がりました!」車から身を乗り出しマイクを握る立候補者ご本人「皆様にご挨拶させていただきます。あと一歩でございます」声が出ない。必死の思いは伝わって来る。しかし喉は連日の酷使に耐え切れずダウンだ。ウグイス嬢の代わりはいる。シフトを組むことも出来る。しかし候補者の代わりはいない。「本人」は、ただひとりである。声が枯れようが、つぶれようが、叫び続けるしかないのだ。

代役なし、という点では、演奏会も同じである。ある往年の名音楽家は、世界各国への演奏旅行の際、自分が食べたことのないものは、それがいかに高級かつ美味とされる食材であろうとも、本番が終わるまで決して口にしなかったそうだ。万が一体調をくずしたら舞台に穴を開けてしまうからだ。代役はいないのである。

故郷コンサート目前。準備、練習の日々が続いている。蒸し暑い夏、クーラーは喉の大敵である。室温を極めて高く!設定し、汗だくになって歌う。もくもくと歌う。なかなか体力の要る作業である。「くたびれた~」と思わず愚痴る私に、「代わってあげるわけにいかないしね」と友人が申し訳なさそうに言った。そう、本番だけではない。練習にも代役はいないのだ。本人が歌うしかない。ただひたすら、ひたすら…。ちょっと代わってもらえると、とてもとても助かるのだけれど。
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by Megumi_Tani | 2009-07-13 08:19 | エトセトラ | Comments(3)

日記   

昔から日記をつけるのは苦手だ。何度かチャレンジしたが、止めてしまった。書く作業が嫌いなわけではない。ああでもない、こうでもない、と、自分の思いを書き残すのが嫌なのだ。折々の出来事だけを箇条書き風にすれば…と試みたこともあるが、それはそれで退屈で続かなかった。

自分の痕跡を残すのが嫌なのかもしれない。「あとかたもなく消えてしまいたい願望」があるのかもしれない。その秘かな願いの証しか?私は職業に反して、写真の数が極めて少ない。仕事で「写真を出してください」と言われると困る(関係者の皆さん、ごめんなさい)。ライブCD制作の時もひどく迷った。「作れ、作れ」と勧められ、やっと重い腰をあげた。

そんな私の歌修行日記「Hola!バルセロナ」連載が続いている。
http://www.e-yakushiyo.net:80/Hola_B.htm

年月を経たから書けるのか?懐かしい思い出だから書けるのか?日記のような、淡いセピア色の物語のような…。いろいろな方に「楽しみに読んでいますよ」と言っていただくが、実は、一番楽しませていただいているのは、私本人かもしれない。悪戦苦闘のドタバタ留学。だが、私にとっては宝物の時間である。

悔やまれることがある。当時の具体的な記録(例えば、地下鉄の回数券がいくらだったとか、パンをいくらで買ったとか…)があれば、日記の内容がより鮮明になっていただろう。そんな細かい数字は、年月とともに記憶の彼方に消えてしまった。残念である。ただ…、昔からソフトクリームが大好きな私。バルセロナ到着の数日後、誰の助けも借りず、初めてひとりで買ったソフトクリームが75ペセタだったこと!これだけは忘れられない。夕暮れのパセオ・デ・グラシア、デパート前の売り場、その値札まで目に焼きついている。
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by Megumi_Tani | 2009-07-08 14:21 | エトセトラ | Comments(0)