<   2009年 10月 ( 7 )   > この月の画像一覧   

あなたのことを、もっと知りたい!   

スペイン史の講義を受けている。スペインに出会い、歌では恩師に恵まれたが、それ以外は、すべて独学で歩んできた私。スペイン語でも、スペインに関する知識でも、折々、何も知らない自分に冷や汗が出る。幼稚園の年長さん程度…が、実感である。

第一回目の講義では、賢王アルフォンソⅩ世が登場。この王は、「聖母マリア頌歌集」を編纂したことで歌の世界では有名である。大そうな文化人だったというこの方を、私は勝手に、繊細でやや線の細い風流人のように思っていた。しかし、実は、政治的手腕も大いに発揮した文武両道の御仁であったとのこと。へぇ~~!と驚いてしまった。

教えてくださるのは、Profesor Ancla。作務衣を着て京都の竜安寺のお庭に立たせたらピッタリ!の風貌(先生、ごめんなさい)。いつも自然体。だがその知識たるや、すごい!

自然体でいることは、とても難しい。つい気負ってしまう。気負うのは、実は自信がないから。自分の中に弱さがあるからだろう。あまりにも偉大だったヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス。豊かで、厳かで、それでいて、いつも自然体だった彼女の歌は、私の永遠の憧れである。その名前は、スペインのみならず、世界の音楽史に刻まれる。

歴史そのものが命をもった生きもののようだ。意志、夢、希望を持ちながら、運命、そして目に見えぬ何かの悪戯に翻弄され、流されてゆく。誰だって、その時はそれが一番良い!と考え、行動しているのだ。我々の人生と同じだ。

学生時代は、歴史といえば年代の暗記。特に世界史は似たようなカタカナ人名が出てくるので苦手だった。しかし大人になって、“大好きな”国の歴史を学ぶのは楽しい。あなたのことを、もっと知りたい!という気分になる。
[PR]

by Megumi_Tani | 2009-10-27 07:52 | ビバ!エスパーニャ! | Comments(4)

愛の手紙   

リサイタルでは、お客様にアンケートをお願いする。印象に残った曲、ご感想など、なんでも思いつくままにお書きいただければ、と思う。

当然のことながら、開演前には書けるはずがない。プログラム前半が終わり、休憩はわずか20分。洗面所へ行ったり、気分転換に外の空気を吸ったりしていると、すぐに過ぎてしまう。プログラム後半が進み、最後の曲、アンコール、やがて終演。どのコンサートでもそうだが、アンコールが終わり、出演者が何度目かのご挨拶をして舞台から消えると、客席は一気に「さぁ!帰ろう」という雰囲気になる。その場でゆっくり座り込んでアンケートを書くのは、なかなか勇気がいる。

つまり、お願いしている私本人が言うのもなんだが、演奏会でアンケートを書く、というのは、かなりの熱意と努力と創意工夫!がいる作業なのだ。

その困難をものともせず、いつも沢山の方がアンケートを残してくださる。歌のご感想、衣装のこと、お久しぶりのご挨拶etc。達筆の大きな文字でひと言、の方もいらっしゃれば、用紙の裏表にびっしりと思いの丈を綴ってくださっている方もある。今回は天使のイラスト入り!もあった。

すべてを丁寧に読ませていただく。一枚一枚から皆さんの熱い想いが伝わってくる。優しさと、励ましと、勇気をいただく。本番を終えて、まず何より私を癒してくれる、大切な愛の手紙だ。
[PR]

by Megumi_Tani | 2009-10-24 08:24 | リサイタル | Comments(0)

第19回リサイタル♪ありがとうございました。   

暑くもなく、寒くもなく、雨も降らず、台風も来ず…穏やかな土曜の午後、第19回リサイタル本番を迎えた。嬉しいことに、会場にはいっぱいのお客様。古典歌曲、セファルディーの歌、スペイン舞曲第5番、グラナダ、わが心のアランフェスetc、そしてサルスエラ…。なかなか凝った?プログラムだが、皆様、よくついて来てくださる。拍手、笑い、かけ声…。会場全体がふんわりと温かい。

白寿ホールは音の響きが素晴らしい。強い音はきつくなりすぎず、一方で、ピアニッシモも安心して歌える。子守歌など、歌い手冥利につきるというものだ。二時間がアッという間に過ぎた。

終演後、ホワイエでお目にかかったお馴染みのお顔、懐かしいお顔、思いがけないお顔…。「私自身がスペインの歌の大ファンなのです」舞台で申し上げたこの言葉を、あらためて実感したコンサートだった。

お忙しいなか駆けつけてくださった皆様、影になり日向になりご支援くださった沢山の方々、本当にありがとうございました。おかげ様で無事終わりました!
[PR]

by Megumi_Tani | 2009-10-18 08:31 | リサイタル | Comments(5)

サルスエラは楽しい   

素敵なおじ様の生徒さんが仰った「先生、サルスエラっていうのは、日本の浅草オペラですね」

私はリアルタイムでの浅草オペラは知らないが、伝え聞くその世界~悲喜こもごもの人間模様を、時にご時勢の風刺を交えながら、コミカルに、情感たっぷりに描く喜歌劇~は、まさにサルスエラに相通じるものだろう。グランドオペラのヒロイン(有名どころでは、トスカ、蝶々夫人、ヴィオレッタetc)には気分的にちょっとついていけない私も、サルスエラの何がしかにはクルっと変身できる。

昔、マドリードのサルスエラ劇場でのこと。舞台上の台詞のやりとりが愉快で、私はゲラゲラ笑っていた。ふと見ると、斜め向かいにいる女の子がジーッと私を見つめている。目と目が合ったので笑いかけると、その子は怯えた顔で隣りの母親にささやいた「ママ、china(中国人)がスペイン語を聞いて笑っているよ」母親「シーッ!聞こえたら、あの人、怒るわよ」今度は母親と目が合った。娘同様、怯えている。スペインで出会った人たちは皆、本当に親しみやすかった。が、この母娘、唯一感じが悪かった。

リサイタルで久しぶりにサルスエラを歌う。古きよき時代にワープして、思いっきり楽しみたい。
[PR]

by Megumi_Tani | 2009-10-12 07:45 | スペイン歌曲 | Comments(2)

愛しの「ラ・パロマ」   

これまでに何十回、いや何百回歌っただろう?「ラ・パロマ」は、ピアノ伴奏良し、ギター伴奏良し、の名曲である。

名曲、と漢字で書くのはどこか似合わない。ゆったりと揺れるハバネラのリズム、どことなく懐かしいメロディー、港の別れ、恋心を歌った詞…。クラシックのような、ポピュラーのような…。レストランやテレビCMなどで、題名を知らぬまま耳にされている方も多いだろう。作曲者は、S.イラディエール。キューバ旅行で出会ったハバネラのリズムに魅せられ、この曲を書いたそうな。

歌い出し「Cuando」の言い心地が、歌うたびに違う。歌い手の私の気分を柔軟に受け止めてくれる曲だ。だから、どれだけ回数を歌っても、歌うたびにaire(気配・雰囲気)が変わる。歌は生きものだと実感させてくれる。

アンコール曲として歌うことが多いが、今年のリサイタルでは、しかるべき理由から、堂々とプログラム入りさせていただいた。理由の種明かしは、当日のお楽しみということで!!
[PR]

by Megumi_Tani | 2009-10-10 08:31 | スペイン歌曲 | Comments(2)

歌詞のあるピアノ曲   

今年はスペインを代表する作曲家のひとり、I.アルベニス百周年記念の年に当たる。リサイタルでは彼の作品から「グラナダ」「カディス」を歌う。実はこの二曲、オリジナルはピアノ曲である。同じく歌うE.グラナドスの「スペイン舞曲第5番」 も元々はピアノ曲。いずれも、印象的な旋律に魅せられた誰かが、後になって歌詞をつけた作品である。

私は“オリジナル”へのこだわりが強く、この手の作品はリサイタルでは取り上げてこなかった。が、今回はアルベニスに敬意を表し、たぶん彼の作品の中で最も有名な旋律を歌の形でお贈りすることにした。「グラナダ」を歌うなら「スペイン舞曲第5番」も外せない…。というわけで、このステージは「わが心のアランフェス」と併せ、アレンジものがズラリと並んだ。スペインに興味をお持ちの方なら、きっとどこかで耳にしたことのあるヒット・メロディーばかりだ。

アンダルシアへの情熱、カディスの娘への恋心、キリスト教徒の娘に恋したモーロの青年の想い…各々の曲には、後付けとは思えない?立派な歌詞がはめ込まれている。

オリジナルをイメージしながら、やはり、どこまでも歌らしく、歌ってみたい。
[PR]

by Megumi_Tani | 2009-10-07 08:48 | スペイン歌曲 | Comments(0)

アランフェスと海   

先日の野良猫さんのコメントが心に残っていた。なぜ私は、「わが心のアランフェス」に心魅かれるのだろう?

美しい旋律はもちろんである。しかし、ほかに気づいたことがある。このメロディーを歌うとき、私の心の中にはいつも海が浮かぶのだ。それは坂の上の高校から見た日本海だったり、モンジュイックの丘から見た地中海だったりする。水遊びをする海ではない。未だ見ぬ世界につながる広大な海、懐かしい故郷につながる遠い遠い海…。憧れ、叶わぬ夢の悲しみ、郷愁。かなたに海を見る私は、少し寂しかったのかもしれない。

アランフェスはマドリードの南にある内陸の古都、港町ではない。この曲は私の中で勝手に姿を変え、住み着いてしまったらしい。
[PR]

by Megumi_Tani | 2009-10-05 08:31 | スペイン歌曲 | Comments(0)