<   2009年 11月 ( 6 )   > この月の画像一覧   

似た者同士   

近所の酒屋さんに寄った。ワインの品揃え豊富なお店である。「ボジョレー・ヌーボーですか?」とお上さん。「いえ。探しているスペインのワインがあって…」と私。すると、お上さん、ニッコリ!「嬉しいわねぇ、そういうお客さん。ウチは木曜定休だから、発売日(第三木曜)も関係ないの。ボジョレーだけがワインじゃないし」なるほど…。

数日後、フードコーディネーターの女性とご一緒した。お仕事柄、美酒、美食に関して、かなりの経験を積んでいらっしゃるらしい。「ボジョレー・ヌーボーは“お祭り”として飲むには楽しいですよ。でもまぁ、そんなところで」そうか…。

そのまた数日後にお目にかかったワイン通のセニョール。「僕、ボジョレー・ヌーボーは飲みません。ああいう若いワインを飲むと、お腹を壊しちゃうんですよ」それはそれは…。

まったく関係のないお三方。でも、流行にちょっと乗らない、似た者同士である。そのお三方とお喋りしてフムフムと納得する私、やっぱり似た者同士である。
…そんなことで納得するな!、と、叱られそうだけど。
[PR]

by Megumi_Tani | 2009-11-29 07:59 | エトセトラ | Comments(6)

Canta y no llores ~泣かないで、歌ってごらん!   

昔々、NHKスペイン語講座テキストの優しいイラストが好きだった。イラスト担当は土井宏之氏。後年、自分の第1枚目のCDの表紙絵を描いていただくことになろうとは夢にも思わなかった。土井氏は現在、東京とニューヨークを行き来しながら活躍中。
http://www.doi.muenchina.com/ 
このCDは、おかげ様で完売した。
e0172134_8305610.jpg

土井氏が主宰する年に一度のパーティーに出かけた。この画伯、実は、大変な料理人である。赤ワインに合わせて、極上のチーズ、生ハム、数種類のカナッペ、熱々のオムレツ、なぜか揚げシュウマイ!etc。土井氏と氏の料理のお弟子さん達(全員セニョール!)が腕をふるった料理が次々と運ばれてきた。

宴もたけなわの頃、若いチャーミングな女の子が舞台に登場。オカリナで「コンドルが飛んで行く」を吹けば、アコーディオンのおじ様は「カミニート」「ラ・クンパルシータ」で粋な味わい。飲めや、踊れや…会場が大いに盛り上がったところで、歌い手の私にもお役目が回ってきた。こんな時はメキシコの歌「[シェリト・リンド」がいい。「アイ!アイ!アイ!アイ!カンタ・イ・ノ・ジョレス~~」この部分は、楽譜無し、練習無しで、誰でも歌える。ちなみに今夏、北海道・故郷コンサートでは四百人が大合唱!圧巻だった。パーティーのお客様も「Ay!Ay!Ay!Ay!」皆さん、ノリノリである。

「アイ!アイ!アイ!アイ!カンタ・イ・ノ・ジョレス~~」日本語にすると「アイ!泣かないで、歌ってごらん。歌えば心が楽しくなるから」

誰だっていろんな時がある。ちょっぴり悲しい時、しょんぼり寂しい時、何もかもイヤになった時…ほら、泣かないで、歌ってごらん!歌えばきっと笑顔になれる!きっと勇気が湧いてくる!
[PR]

by Megumi_Tani | 2009-11-24 08:33 | エトセトラ | Comments(0)

Viva 森繁久彌さん!!   

森繁久彌さんが亡くなった。喜劇出身の方らしいが、私が物心ついた頃には、もう風格ある俳優さんだった。「屋根の上のバイオリン弾き」のテビェ役も有名である。

森繁さん作詞・作曲の大ヒット曲「知床旅情」の歌詞の最後に「白いカモメ」が出てくる。加藤登紀子が「白いカモメ(よ)」と歌っていたら、森繁さんは「そこは、絶対に白いカモメ(を)でなければいけない」と、訂正を求めたとのこと。厳寒の知床に残る者を白いカモメにたとえた、その心に、えもいわれぬ優しさを感じた。
「歌は語れ 語りは歌え」が信条だったとのこと。歌詞のひと言ひと言を大切に語る。歌うことは語ること。その心が聴く者の胸に迫る。追悼番組を見ながら、私は、大きな教えを戴いた気がしていた。

…と、そこへ、その道の通の方が、下記をご紹介くださった。


唖然!呆然!絶句!参った!ここでも森繁さん、しっかり「歌って」いる。「語って」いる。遊び心満載!ダンディ!お洒落!ザッツ・エンターテイメント!ジャケットの写真がまたニクイ!

「教えを戴きました」などと畏れみかしこまるより、思いっきり泣き笑いしてお送りするほうが、この粋な御仁はお似合いと気付いた。

心がホンワリ温かくなる。こんなお別れは、いい。
[PR]

by Megumi_Tani | 2009-11-18 09:23 | エトセトラ | Comments(0)

お目にかかったことのない御方ばかりですが…。   

11月12日は天皇陛下御在位二十年の記念日だった。

私がバルセロナにいた時、当時まだ皇太子であられた殿下と美智子妃がスペインをご訪問された。新聞やテレビで連日ご動向が伝えられ、女性雑誌には美智子様のファッションが詳しく紹介されていた。「今、日本のpríncipe(皇太子)が来てるだろう」とタクシーの運転手にまで声をかけられ、一介の留学生に過ぎない私も、誇らしく、嬉しかった。

私は昭和のど真ん中に生まれている。昭和天皇が崩御された時、えもいわれぬ寂しさを感じた。テレビに映し出された、氷雨降りしきる中での大喪の礼を思い出す。数日後に自分のリサイタルを控えていたせいか、記憶が鮮明である。ピアニストが練習を始めると、ご近所の方が「歌舞音曲は慎みましょう」と、注意に来たそうだ。

2016年夏のオリンピック開催地がリオ・デ・ジャネイロに決まった。各国の最後の誘致演説で、久しぶりにスペインのフアン・カルロス国王のお姿を拝見した。私はこの方のファンである。独裁者とされるフランコに預けられて育ち、そのフランコに後継者と指名され、フランコ亡き後、奇跡のようなスペイン民主化を成し遂げた人。政治のことは分からないが、ひとりの人間としての国王に深い尊敬と感動を覚える。

留学中、日本へ手紙を出すために数えきれないほどの切手を買った。どの切手でも、印刷されているのはすべて若き国王のお顔だった。通貨はまだペセタの時代。100ペセタ紙幣の顔は、スペインを代表する作曲家のひとり、マヌエル・デ・ファリャだった。使い残しの切手とペセタ…。今は、私のお宝である。
[PR]

by Megumi_Tani | 2009-11-13 07:50 | エトセトラ | Comments(0)

お客様に、ありがとう!!   

私はお客様に恵まれている。リサイタルの後、マネージのカノン工房さんが言ってくれた。「谷さんのコンサートのお客様は温かい。それに、とても質がいいです」例えば、開演時・休憩後などの時間をきちんと守る、演奏中は舞台に集中している、終演後のアンケートの回収率が高い等々。プロが見る、舞台裏側からのコンサートの姿があるらしい。「義理やお付き合いではなく、皆さん、本当に『聴こう』と思っていらっしゃっていることがよく分かります」とのこと。ありがたい。

温かいお客様に迎えられると、こちらもリラックスして演奏できる。歌やオシャベリに素直に応えていただけると、こちらも本番ならではのアドリブが出る。

ところがこれが、「なんとかケチをつけてやろう」「どこかにボロはないか」などという方達に取り囲まれると、そうはいかない。以心伝心、こちらも防御本能が働く。顔だけニコニコして歌っても、良い演奏など出来るはずがない。

演奏者にもミスが出る。お客様にも咳やクシャミが出る。バタンとどこかで何かが落っこちることもある。しかしそれでも、温かい心のやりとりがあれば、お互いを思いやる心があれば、決してコンサートは壊れない。災い転じて…の言葉通り、アクシデントのおかげでより結びつきが強くなることもある。

舞台と客席とのコラボレーション。心優しいお客様に、あらためて、ありがとう!!
[PR]

by Megumi_Tani | 2009-11-08 23:25 | リサイタル | Comments(2)

スペインの扇子   

リサイタルのアンケートを読ませていただいた。「古典歌曲にスペインの栄光の歴史を感じました」とお書きくださった方が複数いらっしゃる。嬉しい。セファルディーの歌は、根強いファンが定着している。「わが心のアランフェス」「グラナダ」「ラ・パロマ」は、皆様、待ってました!という感じ。そして「女中さんのタンゴ」、大好評である。

この歌では、いくつかの女中さん用グッズを使った。まずエプロン。最近は、サロンエプロン(いわゆる昔風の前掛け)をほとんど見かけない。大きなデパートから近所の洋品店まで、さんざん探し回ったが、無い。メイド服なるものを売る店ならあるかもしれない。しかし、ちょっと買いに行く勇気が…。困り果てていたら、「これ、今、使っているけど、どう?」と、相棒のピアニストが台所から一枚のエプロンを持ってきた。淡いピンクの花柄、長めの丈、リボンにフリル、ポケットも付いている。まさに、おあつらえ向き!心優しい彼女が、きれいにお洗濯、アイロンまでかけてくれて、このエプロンは、めでたく小道具入りした。ゴム手袋、ソックス、お出かけのショール、買い物袋もOK。

この歌のヒロインは、あの手この手を使って、最後には奥様に出世する。成り上がりの奥様の証し!これはスペインの扇子がいい。女中さんグッズを投げ捨て、得意気に扇子であおいでみせるのだ。手元にある黒レースの扇子、これを使おう。本当はもう少し明るい色が入っていると良いのだけれど…。

そんなことを思っていた9月初旬、バルセロナの友人から、突然、手紙が届いた。
ブログタイトル「人生の芸術家

手紙と一緒に、何か入っている。取り出すと、懐かしいEl Corte Inglés(スペインのデパート)の包み。開けてみると、なんと!扇子である。しかも私の願い通り、美しい色が散りばめられている。バルセロナの彼女は、私が女中さんグッズを探していることなど、知るはずもない。なぜ?なぜ?なぜ?なぜ今、この扇子を送ってくれたの???あまりの驚きに声も出なかった。

e0172134_8523946.jpg
かくして迎えたリサイタル本番。ご来場の皆様よくご存知の通り、私はゴム手袋やエプロンをお行儀悪く舞台に放り投げ、最後に、この産地直送の色鮮やかな扇子を思いっきりパタパタさせたのである。
[PR]

by Megumi_Tani | 2009-11-02 08:50 | リサイタル | Comments(0)