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2010年ありがとうございました   

夕暮れの日比谷界隈。わずかに黄色い葉を残した銀杏がすっくと空に伸びている。凛とした姿が美しい。道沿いのレストランはまだ人影もまばら。ほの暗い店内にテーブルクロスの白が映える。まだ仕事?あるいは約束の場所へ?冷たい風が吹きぬける中、急ぎ足で通りを行き交う人々…。今年も暮れようとしている。

10月のリサイタルでは、たくさんの“鳥”を羽ばたかせていただいた。12月は予期せぬ出来事が重なり、常にも増して人の“優しさ”が身にしみた。弱っている時にムチ打たれるのは応えるが、素朴な思いやりの心に触れたり、ほんの短いひと言でも「あぁ、分かってくれている」と感じた時は、本当に救われた気持ちになる。人は弱くて強い。でも、強くて弱い。

そういえば、今年ほどしみじみとした思いでクリスマスを迎えたことはなかったかもしれない。御子様のご誕生を寿ぐ“鳥の歌”を歌い続けた年だったから?すっかり夢中になった小説“海のカテドラル”の影響?

来年の干支はウサギ。スペイン語でconejo。risa de conejo~ウサギの笑い⇒作り笑い~なんて、変な言い回しがある。作り笑いなど、もってのほか!お腹の底から笑い、ピョンピョン元気に跳ね回る、明るい年にしたい!

不定期かつ気まぐれなブログにお付き合いくださる皆様、今年もありがとうございました。
どうぞ良い新年をお迎えください。
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by Megumi_Tani | 2010-12-29 08:51 | エトセトラ | Comments(0)

¡Feliz Navidad!   

K先生が旅立たれたことを知った。2005年、とあるCDのお仕事でご一緒させていただき、練習、録音、再録音と、あたたかくご指導、お見守りいただいた。

往年のフルートの名手であり、ご自身のフルート団を率いて、演奏会のための選曲、編曲、指揮を一手に引き受けておられたK先生。どんな曲も、先生の手にかかると、端正かつ優雅、上品で心地よい音楽に変身し、今の時代、ともすれば忘れられがちな“良きクラシック”を私たちの心に蘇らせてくれた。根底には、K先生の「音楽を信じる心」そして「音楽と生きる喜び」が深く優しく息づいていたように思う。

2007年、かのCD収録曲をカザルスホールでのリサイタルでお披露目した際、K先生も駆けつけてくださった。編曲者である先生をステージからご紹介すると、いつものピンと背すじを伸ばしたお姿で起立し、丁寧にご挨拶くださった。終演後、ロビーで、「まいっちゃったなぁ」と、ちょっぴり照れていらしたお顔が忘れられない。

きっと先生は軽やかなスキップであちらの世界へ渡られ、今もニコニコと指揮棒を振られていることだろう。細い目の柔和な笑顔、ユーモアたっぷりのお話ぶり…。「モシモシ、Kです」受話器の向うの明るいお声が聞こえるようだ。K先生、本当にありがとうございました。

12月は予期せぬお別れが続いた。クリスマスはクルシミマスならぬカナシミマス?いや、いや、そんなはずはない。「鳥の歌」が詠っている。我らを救い給う御子様のご誕生♪なのだから…。
2010年最終章が安らかな日々でありますように。¡Feliz Navidad!
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by Megumi_Tani | 2010-12-22 23:29 | エトセトラ | Comments(2)

Muy bien!   

12月3日、歌曲アンサンブル研究会主催「スペイン歌曲公開レッスン」が開かれた。

3組の歌い手とピアニストがE.グラナドス、M.デ・ファリャ、J.ロドリーゴの作品を演奏。客席では聴講の方々が楽譜を追いながら耳を傾ける。各曲の演奏が終わったところで、スペイン語の発音、歌詞の内容、作品の背景、スペインの歴史等々を解説しながら、歌い手とピアニスト両方にアドバイスをする。歌曲の世界は、歌とピアノの共同作業、いや、共感作業から生まれるものだ。どちらか一方だけのレッスンはありえない。歌い手とピアニストの間を行ったり来たりで、私は大忙し。しかし、いずれのコンビも真剣そのもの、反応がいい。指摘した内容のポイントを鋭く捉え、積極的にチャレンジしてくれた。Muy bien!

公開レッスンというもの、演奏者は衆目にさらされ「まな板の鯉」になる。まず「鯉」になる勇気が必要だ。さらに、鯉になっても、煮たり焼いたり、人前で調理されるのだから、微妙なプレッシャーがかかる。しかしそのプレッシャーが良い意味での緊張につながり、歯ごたえのいい演奏、解釈が出来る。一方、聴講する側は、レッスンの成果、演奏の変化を目の当たりにできる。先生と受講生とのやり取りも興味深い。そして最後に「なるほど!」と、会場全体で納得、共感する。これぞ、公開レッスンの醍醐味。

レッスンが終わって受講生さん達はホッとひと息。質問時間には客席で何人も手が挙がった。「スペインの歌をこれだけまとめて聴いたのは初めてです」「今日はリズミカルな曲が多かったですが、スペインの歌は、皆こんな感じなのですか?」「Yoはヨですか?ジョですか?」「20回目のリサイタルを終えたそうですが、選曲はどうしているのですか?」etc。「歌とは直接関係ないのですが…」と前置きして、スペインの国そのものについてお尋ねになった方もいた。そういえば昔、とあるコンサートで、「スペインのEC(当時)加盟について、どう思われますか?」と質問されたことがあった。私の答えにウンウンと頷く方、一生懸命メモを取る方、何か問いたげに楽譜をめくる方、目をクリクリさせて嬉しそうに聞いている方、2階席でニコニコ笑顔の方…。会場は和やかな雰囲気に包まれ、定刻、めでたく終了した。

第140回例会にして、初めてスペイン歌曲が取り上げられたとのこと。研究会の皆さんの真面目な取り組みが素晴らしい。担当世話役の方の細やかなお心遣いも印象的だった。

「Muy bien!」は「よくできた!Good!」の意。レッスンでさんざん歌い、しごかれ、最後に先生からこの言葉が出ると本当に嬉しかったものだ。

穏やかな師走の夜≪スペイン歌曲公開レッスン en 雑司が谷≫ Muy bien!でした。
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by Megumi_Tani | 2010-12-06 09:07 | スペイン歌曲 | Comments(0)