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絆 ⅴ   

今日で9月も終わり。私には縁の深い月だが、暑い夏のしっぽのような、秋が始まるような始まらないような、何となく存在感希薄な月、の印象がある。9月は長月。30日しかないのに、なぜ長月:長い月なのか?子どもの頃、とても不思議だった。「夜長月(よながつき)」の略、とする説が有力らしい。なるほど、だ。

昨日は、夜7時のニュースの途中で、いきなり緊急地震警報が鳴った。いわき市で震度5強。まだ、決して、ホッとさせてはくれない。

春期、秋期に分かれている講座は期末を迎えた。春期開始は4月。まだ何もかも不安定で、突然の停電があるかもしれない、という時期だった。一番高い所では、ビルの10階が会場のクラスがある。もしも停電してエレベーターが止まったら、生徒さん達はどうやって昇る?降りる?
いやそれよりも、まさか、だが、エレベーターに乗っている時に急に停電して誰かがエレベーターに閉じ込められたらどうする?帰りの電車が止まって帰れない人が続出したらどうする?…心配だった。こんなに危ない状況なのだ。きっと大事をとって欠席する人が多いだろう、そう思った。予想は大ハズレ。お休みする人など誰もいない。皆、意気揚々と集まり、互いの無事を喜び合い、大いに歌った。

どのクラスも、とても熱心である。「思いっきり歌えるこの時間が楽しみで!」という方が多い。歌は心身を解放してくれる。年齢、性別、いろんな違いを越えて“歌”を楽しみに集う仲間たち。その“楽しみ”が、以前よりも、深く大切に感じられた半年だったように思う。

一週間ほど前、岩手県・久慈市で開かれた『NHKのど自慢』のドキュメントタリー番組が放送された。岩手、福島、宮城各県で行われた予選。そして本選。被災された方々が各々の思いをいっぱいに込めて歌っていた。歌には“力”がある。…私自身が、そっと背中を押された気がした。
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by Megumi_Tani | 2011-09-30 09:16 | 思い&想い | Comments(0)

ただシンプルに   

数日前の電車の中。ふと見ると、誰かに似ている人がいる。…S監督?エッ?まさか?いや、間違いなく、今をときめくS監督だ。あまりにフツーに乗っているので驚いた。スーパーウーマン軍団をまとめ上げる、その指導者としての自然体ぶりに感心していた。ここぞ!という時に笑顔が出る。あれがいい。ミーハーのオバサンよろしく「応援しています!」と声をかけたかったが、あたりをそっと見回すと、ほかの乗客は誰もまったく気づいていない。S監督のすぐそばに座っている若い女の子は化粧に夢中、その向かいの高校生は携帯ゲームに余念なく、スーツ姿のイケメン男子は口を半開きにして居眠り中…。ダメだなぁ。ここで私が典型的オバサン行動に出れば、車内は大騒ぎになってしまう。ウ~ン。悔しいけれどグッと我慢。窓の外を見たり、同行の青年と話したりのS監督。A駅でスタスタと降りていかれた。

自然体はいいなぁ。シンプルに、フツーに、ただ自分のやるべきことをやる。そして最後はニッコリ笑顔!これって、なかなか難しい。
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by Megumi_Tani | 2011-09-24 07:23 | エトセトラ | Comments(0)

絆 ⅳ   

今年のリサイタルのタイトル《絆》。パンフレットを見た方が「絆っていう言葉、今年はいろんなところで使われていますよね」と仰る。私は結構ひねくれ者だ。常ならば、いろんなところで使われている言葉は逆に使いたくない、と思ってしまう。しかし今回は違った。流行っていようがいまいが、そんなことには関係なく、《絆》を歌いたいと思った。動機はいくつもあるが、その中のひとつに、4月のプラシド・ドミンゴの来日がある。http://megumitani.exblog.jp/14586639/
その一方で、大震災から半年が過ぎた今になって、こんな記事に遭遇した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110916-00000138-jij-int

仕方がないのだと思う。世界地図で見れば日本は小さな国。国土全体が危険と考える人がいても不思議はない。国内にだって地方による温度差がある。個人による受け止め方の違いもある。これはもう、良い悪い、ではない。違って当然なのだ。神様はその違いをお許しくださっているような気がする。百人いれば百種類、千人いれば千種類の思い。その思いの違いを越えて、良い悪いも、好きも嫌いも越えて、国と国の境も、あの世とこの世の境も越えて、どこかでつながりあうもの、つながらずにはいられないもの、それが《絆》のような気がする。
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by Megumi_Tani | 2011-09-21 07:03 | 思い&想い | Comments(0)

天然ナビ   

8月の暑い日、所用で、とある街の駅に降りた。突然、「今日は駅の向こう側にあるショッピングセンターに行こう!」と思った。何故そう思うのか、自分でもさっぱり分からなかったが、行こう、というより、行かねば、という感覚に近い。「ソノミチヲマッスグデス」と、天然ナビが告げている。こういう時は素直に従うことにしている。

さて、ショッピングセンターに入ったが、何の目的があるわけでもない。夏物バーゲン中のフロアをひと回り。何だか意味が分からないけれど、まぁ、いいか。そろそろ帰ろう、と思ったところで、一軒のブティックが目に留まった。珍しい柄のカットソーを見ていたら、堀の深い顔立ちの店員さんが話しかけてきた。彼女おススメの一枚を買うことにして、店の奥に入ると、レジの周りにバルセロナゆかりの品が沢山並んでいる。「どうしてここにバルセロナの物があるの?」と尋ねると、「私のママはスペイン人、バルセロナに家があるので」とのこと。アララ!驚いた。しかも、次の週末、テレビにお店が映るという。「ママも出るので、よかったら見てください」とのこと。

帰りの電車の中で、ふと思った。もしかすると、彼女のママなる人物は、昔々、私のコンサートに来てくれた、あのスペイン人女性ではないか?お互いの転居等が重なりしばらく音信不通。今、どこにいるのかも分からない。いくら何でもそんな偶然はないだろう…と、頭では考えるのだが、なぜか、確信めいたものがある。胸がドキドキした。まさか…。週末、テレビを見た。画面に映ったのは、まぎれもなく、懐かしい彼女だった。

普段は娘さんが切り盛りし、ママはお店に出ていないらしい。それでも、娘さんにメッセージを託せば、ママに伝えてくれるだろう。彼女は私を覚えているだろうか?などと思っているうちに日が過ぎた。その街に出かける機会もあったが、何となくお店に寄るタイミングが見つからない。
ところが9月のある日、その街の駅に降りた途端、行かねば!と思った。「イマスグ、イキマショウ」だ。ショッピングセンターに直行。お店の中をのぞくと、はたして金髪の女性がいるではないか!「あの…」と声をかけると振り向いた彼女。「エッ!メグミさんなの?」かれこれ15年ぶりの再会だった。

その日は娘さんの代わりに店に出ていたが、あと5分もすれば引き上げるところだったそうだ。
8月からの経緯を説明する私に、「ただのPor casualidad(偶然)とも思えないわね」と、彼女。
同感、同感、まったく同感だ。

時々、天然ナビが働く。私の場合、地図を見て歩くこと、より、精度は高いかもしれない。でも、自分で起動させることも終了させることも出来ないのだから、とどのつまりは天然方向音痴と同じか…。(ソノトオリデス)
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by Megumi_Tani | 2011-09-14 09:25 | エトセトラ | Comments(0)

やっぱり天然…か。   

地図と道がどうしようもなく理解できない私。「天然方向音痴」である。夏休みに帰省中、札幌で、地下鉄の駅を「この道を500メートルくらい真っ直ぐ行けばあります」と教えられ、ただただ真っ直ぐ歩いた。ちょうどその日は「北海道マラソン」開催日。カンカン陽ざしが照りつける中を大勢のランナーが駆け抜けていく。近くで見るとものすごいスピードだ。テレビ中継車、先導のパトカー、沿道の人は旗を振って大声援を送っている。何だか平和でいいなぁ。オッ!美味しそうなイタリアンのお店がある。「北海マッサージ」って、どんなマッサージ?知らない町、楽しい散歩気分だ。とにかく真っ直ぐ歩けば着くのだから、何の心配もない。いや、ないはずだった。が、変だ。歩けども歩けども地下鉄の駅に着かない。500メートルどころか、もう小一時間は歩いたような気がする…。

信号待ちをしていたオバサンに尋ねた「あの、地下鉄●●駅ってどこですか?」「この辺に地下鉄の駅はないよ」マラソン警備のオジサンに尋ねた「この辺に地下鉄の駅、ありません?」「おい、お前、地図持ってるか?」オジサンは相棒を呼んだ。「俺たちが今、いるのはここだから、エーッと…」二人で地図を探し出した。どうやら地元人ではないらしい。ダメだ。ドアが開いているお洒落な喫茶店を見つけ、中に入って尋ねた「あの、地下鉄の駅を探しているんですけど…」「地下鉄?ちょうどここは三つの駅の真ん中。どこへ行くのも遠いのよ」「その中で一番近い駅は?」「この道を真っ直ぐ行った▲▲駅かな…。それでも歩いて10分以上かかる」美人ママの気の毒そうな視線に見送られて店を出る私…。炎天下をひたすら歩き、知らない路線の▲▲駅に到着。乗り換え、乗り継いで、やっと目的地、札幌駅に到着した。札幌駅に行くくらいで、こんなに迷うかなぁ。

事後検証の結果、道は間違えていなかった。ただ真っ直ぐなのだから間違えようもない(笑)。地下鉄の駅の入り口を見逃したらしい。(そんなもの、見逃せるの?という、読者諸氏の声が聞こえる…)楽しくお散歩気分で歩くうちに、心もフワフワとお散歩してどこかへ飛んでいってしまったのだろう。「●●駅地下鉄入り口」の看板に、まったく気づかなかった。駅の隣りだったらしいピザ屋やマッサージ店はしっかり記憶しているのに。ハァ~。

そこで私は考えた。道を歩いている時、あるいは、道を歩こうとして地図を眺めている時、実は私は、目の前の道や地図を見ていないのだ。目は見ているけれど、心は勝手にどこかへお出かけしてしまう。だから、方向も、地図も何が何だかよく分からないのだ。マジメに見ていない?いや、断じてそんなことはない。見ている。ジーッと大真面目に見つめている。そういえば、「聞いても聴こえぬお前の声 見ても視えぬお前の姿」という歌詞があった。誰の歌?そう!トゥリーナの『カンターレス』 人間、夢中になりすぎると、見えるものも見えなくなるのだ。ほら、やっぱり好きなものしか見ていないということだ。ということは、私は、地下鉄よりピザとマッサージが好きなのか??

やっぱり天然…だ。
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by Megumi_Tani | 2011-09-11 08:21 | エトセトラ | Comments(0)

絆ⅲ   

台風12号で和歌山、奈良に甚大な被害が出た。それでもまだ行き先が見つからない低気圧が、今度は北海道に大雨をもたらした。天変地異、水の脅威を、これでもか、これでもか、と突きつけられている。

東日本大震災からまもなく半年。「記憶を風化させないようにしましょう」なんてマスコミは呼びかけているが、私の中の記憶は未だ生々しい。あの日から、どこかで時間が止まっているような感覚がある。

春、福島の桜が咲いたことを知った時は本当に嬉しかった。天災にも人災にも負けず、いつもと同じように人々に季節を知らせ、黙って静かに咲く花。その存在が頼もしく、愛おしく、そして切なかった。「今年のリサイタルで『さくらさくら』を歌おう…」心の声が囁いた。バルセロナの恩師が極めてシンプルに編曲した楽譜がある。日本の大震災に深く心を痛めている彼の心にも沿えるだろう。『日本民謡集』出版のお手伝いをしたのは、かれこれ四半世紀も前のこと。バルセロナ市庁舎にある〈百人会議の間〉で開かれた出版記念演奏会で『さくら さくら』を歌った。http://megumitani.exblog.jp/12933289/ 

時を経て、こんな形で『さくら さくら』を歌うことになろうとは想像もしなかった。
遠く会えない人、言葉にできない思いを、ひとつの歌がつないでくれる。
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by Megumi_Tani | 2011-09-08 07:29 | 思い&想い | Comments(0)

絆ⅱ en 北海道   

8月の終わり、北海道で短い夏休み。昼間はそれなりに暑い。でも湿度が低く、風が爽やか。朝晩はヒンヤリしている。高く青い空、真っ直ぐに続く道、空気は澄み、人はゆったり穏やか。平和だなぁ。スーパーに行けば、米も肉も魚も野菜も果物も、もちろん牛乳も、ペットボトルの水までも、ほぼ全てが道内産。豊かだなぁ。

母校・小樽潮陵高校音楽部の合唱練習に飛び入り参加。恩師の指揮で、諸先輩、同級生、後輩、そして現役高校生の皆さんと一緒に久しぶりにハモった。年齢の差も、普段のご無沙汰も一気に飛び越え、心を合わせて音を作る。美しいハーモニーが生まれる。歌はいいなぁ。ちょっぴり手前味噌になるけれど、我らが母校の校歌は素晴らしいです。

山道には、もうススキの穂が白く光っていた。緑の田んぼ、どこまでも広がるビート畑。豊かな自然と人間が共に生き、互いに育んできた大きな底力がある。「北の大地 北海道」なんて使い古されたキャッチフレーズが、今年はしみじみ身にしみた。

帰京の羽田は台風接近中。電車は人身事故で大幅な遅れ。駅構内は節電で薄暗く、朝起きればさっそく余震…。束の間忘れていた緊張が蘇る。それでもポストにはバルセロナからの嬉しい便りが待っていた。よし!また励むとするか。

写真、遠くに見えるのは羊蹄山。蝦夷冨士とも呼ばれる北海道の名峰です。
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by Megumi_Tani | 2011-09-01 12:32 | 故郷 | Comments(0)