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〈着衣のマハ〉   

国立西洋美術館で開催中の《ゴヤ~光と影》に行ってきた。お目当ては〈着衣のマハ〉。昨年10月の会期初めからずっと気になっていたが、リサイタル前はまったく時間が取れず、終了後はバタバタしているうちに年末年始に突入し、行けそうで行けない。ほとんど諦めかけていた。ところが、ある日、別バージョンのポスターを見た。「私をこのまま帰すの?」 マハが妖しく微笑んでいる。プラド美術館でこの絵を見たときの印象が鮮やかに蘇った。やはり行こう!あのマハにまた会いに行こう。

金曜日の夕方。幸い、それほど混んでいない。〈着衣のマハ〉と向き合う。しなやかに光る脚のライン、くびれた腰、豊かな胸、ゆったりと気怠く組まれた腕、黒レース、そして、この眼…。
ほかにも多数の作品が年代別に展示されていた。正直なところ、晩年のゴヤの絵は苦手だ。〈ロス・カプリチョス〉も見れば見るほどamargo~苦い。でも、だからといって、〈日傘〉のような明るい絵が好きか、というと、俄然そうではない。ゴヤの絵が醸し出す黒い何かに心が吸い寄せられるのだ。

グラナドスは、ゴヤとその時代に深い思慕を寄せていた。オペラ〈ゴイエスカス〉では、ゴヤの時代のマホとマハの恋模様が描かれるが、緻密なレースのように美しいその音楽には、常に、ほの暗い闇、深い陶酔、切なさと儚さが漂う。グラナドスはこのオペラの初演に立ち会うためにニューヨークへ渡り、その帰路、ドイツ潜航艇による無差別攻撃に遭って命を落とした。ゴヤの世界が醸し出すもののひとつは、逃れえぬ宿命、死の香りなのかもしれない。

否応なくゴヤのメッセージが迫ってくる。すべての絵と向き合うには、とてつもないエネルギーが必要だ。くたびれる。でも、楽しい。〈ロス・カプリチョス〉は、タイトルにひと癖もふた癖もある。日本語訳と対比して眺めるのも興味深い。

夜6時を回り、お客がどんどん増えてきた。
明日29日が最終日。
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by Megumi_Tani | 2012-01-28 08:46 | ビバ!エスパーニャ! | Comments(0)

何も終わっていない   

阪神淡路大震災から17年目を迎えた1月17日。東日本大震災と重ねて検証する報道がとても多かった。

17年前の1月16日夜、私は某高級中華料理店にいた。ある会にお招きいただいたのだが、親しい人がいるわけでもなく、すこぶる居心地が悪かった。次々と運ばれてくるのは、中華とはいえ見たこともない料理ばかり。「これ、なんですか?」と、ざっくばらんに尋ねる雰囲気でもない。美味しくもなく不味くもなく、何だかよく分からないうちにお腹が一杯になった。疲れた。やれやれと帰宅し、夜遅く就寝。ところが翌17日朝、イヤなかゆみで目が覚めた。起きてみると、腕や脚にポツポツと蕁麻疹が出ている。食べつけない料理にやられたのか?ムズムズして眠れない。仕方なくテレビをつけた。そこにいきなり映し出された画面。高速道路が傾いていた…。まだ体内に残る食材がうねり出し、蕁麻疹が一気に全身に広がるのが分かった。ぬくぬくと暖かい場所で、高級食材なんぞにやられている自分が申し訳ない気がした。

毎年1月17日が来ると、あの朝のどことなく後ろめたい気持ちが蘇る。もう過ぎたことなのだ、と、思おうとしても、やはり蘇る。17年が過ぎても、被災者でない私でさえこうなのだ。
まして…。

時の経過とともにより複雑化する被害や影響を知るにつけ、心の奥が重く鈍く沈む。先般の原発事故収束宣言や、原発老朽化は事故には影響していなかった、とする保安院の発表など、やたら迅速な結論付けに違和感を覚えるのは私だけだろうか?

東北の被災地は厳寒の冬だ。黙って、静かに祈り続けよう。そんな気持ちになる。
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by Megumi_Tani | 2012-01-19 08:42 | 思い&想い | Comments(0)

お帰りなさい!   

<その1>058.gif060.gif
体調を崩してお休みしていた何人かの生徒さんがクラスに復帰した。たまたま同じ講座の受講生、というだけのご縁が、楽しい時間を積み重ねるうちに、やがて大切な仲間になる。誰かが長くお休みすると、皆で安否を心配する。戻っていらした時には大喜び!よかった、よかった、と、皆で安堵する。そんな時、歌はいい。ひと声出せば、ブランクなどなんのその。あっという間に心がひとつになる。袖触れ合うも多生の縁、ならぬ、声合わせるも多生の縁!
<その2>072.gif060.gif
生徒さんのひとりがスペインへ行ってきた。若いけれど長く長くレッスンに通って来ている彼女。これまでにも、あちらこちら海外を訪ねている。スペインの感想を聞くと、どう表現しようか、と思いあぐねている様子。「ひと言では語れない」そんな複雑なスペインをしっかりキャッチしてくれたらしい。その感性が嬉しい、というのも変だが、それくらいスペインというのは複雑な国だ。その複雑さが、よそには絶対にない魅力:魔力を生み出している。バルセロナ、マドリード、グラナダ等々のお土産話をつらつらと…。今年は暖冬。ジャケットなしで歩けるほど暑かったそうだ。「当たり前ですけど、スペインでもオリオン座が見えて何だかホッとしました」帰り道でふと呟いた彼女の言葉に、思わず共感。
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by Megumi_Tani | 2012-01-14 08:32 | エトセトラ | Comments(2)

可愛い後輩   

お正月休み明け、新千歳空港から東京行きの便に乗った。私の席は窓側と通路側に挟まれた真ん中。チェックイン時、前方はもうその席しか空いていなかった。私が座って間もなく通路側の男子がやって来た。純朴そうな青年?少年?ものすごく大きい、というか、巨体。彼が座ってほどなく窓側の女子がやって来た。若いお嬢さん。ベージュと黒のセーターがよく似合っている。巨漢の青年に一旦立ち上がってもらい、「どうぞ」と示す私の前を「ごめんなさい!」と通る様子が何とも感じがいい!

やがて飛行機は離陸。寝不足だった私はほどなく眠りこけた。1時間ほどして目が覚めると、喉が乾いてカラカラ。ペットボトルの水を飲んでも飲んでも、まさに焼け石に水。お天気のせいか、関東平野の灯りが見えるところまで来て、なかなか羽田に着かない。通路側の巨漢青年は大イビキで爆睡中。シーンと静まり返った機内。エンジン音だけが唸りをあげている。酸欠?息苦しい。あと何分?あと何分?…。ガタン。やっと着陸。ホッとして、思わず窓側の女の子に話しかけた「疲れましたね」「本当ですね」と彼女。しっかりした印象。でも自然体でニコニコと可愛らしい。年末年始帰省していて東京に戻る、とのこと。ふと「どちらですか?」と聞くと「小樽です」との答え。「エッ?じゃあ高校はどこ?」「潮陵です」 「エ~ッ!!」これには驚いた。はるか年下の、でも間違いなく後輩女子だ。ドアが開いた。もう降りなければならない。お互い大荷物を担いで(笑)羽田空港内を移動。電車の駅で別れるまでの短い時間、楽しいお喋りに花が咲いた。

誰でも「母校」に対する思いは格別だろう。我ら小樽潮陵高校卒業生も潮陵が好きだ。たぶん、皆、かなり好きだ。いつぞやは、仕事絡みのパーティーで初めてお目にかかった方が潮陵の先輩と分かりビックリ!氏はそれがご縁でリサイタルに駆けつけてくださった。「あぁ潮陵に~」で始まる校歌は誠に素晴らしい。

2012年スタート。可愛い後輩との偶然の出会いに、ふと明るい光!
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by Megumi_Tani | 2012-01-06 10:17 | 故郷 | Comments(0)

迎春   

お正月、皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
2012年が明るく穏やかな年でありますように!

このブログも2月で丸三年を迎えます。
本年もご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。
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by Megumi_Tani | 2012-01-02 10:39 | 故郷 | Comments(2)