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桜源郷   

「着いたわよ!」バルセロナの友人から電話が入った。「エッ?月末に来るんじゃなかったの?」「違う、違う。月末にお花見に行こうかな、ってことだったの。ちゃあんともう来ました」いつもこうして突然、現れる彼女。でも、不思議にいつも会える。日々バタバタと走り回っているのに、どういうものか、私が時間を空けられる時にやって来てくれるのだ。

それだけではない。ある日ふと思い立って手紙を送ると、同じ日に彼女もバルセロナで手紙を投函していたりする。リサイタルで「お手伝いさんのタンゴ」を歌う時にぴったりのabanico(スペインの扇子)がほしいなぁ…と思っていたら、そんなことは全く知らない彼女から、誕生日でもクリスマスでもないのに突然、扇子が送られてきた。昨年暮れには、モンセラート修道院の楽譜「Virolai」が届いた。今回のリサイタルで、私がカザルス作曲「モンセラートの聖母に捧げる祈り」を歌うことなど、もちろん彼女は知らないのに…。不思議。そして何より嬉しいのは、いつも私がちょっぴりくたびれている時に、ひょっこり現れてくれることだ。

井の頭公園に出かけた。うららかな陽ざしの下、桜満開、いや、満々開。「¡Qué bonito!~なんて美しい!」「¡Maravilla!~素晴らしい!」友人も一緒に来日したスペイン人のamigaも感嘆の声をあげ、ただただ見入っている。今年のお別れに、と、いっぱいに、いっぱいに命を咲かせる桜。「夢のよう。天国にいるみたいね」友人がつぶやいた。そう、桃源郷ならぬ桜源郷…。
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モンセラート修道院の聖歌隊♪♪
リサイタルの成功を祈って!と、彼女のお土産です。
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by Megumi_Tani | 2013-03-28 23:41 | エトセトラ | Comments(0)

カタルーニャ民謡『鳥の歌』   

El cant dels ocells~鳥の歌。1971年、国連に招かれたパウ・カザルスが平和への深い祈りをこめてこの曲を奏でた。94歳のカザルスが渾身の力で発した「ピース、ピース」のメッセージを映像でご覧になった方も多いと思う。

これまでに、どれだけ歌ってきただろう?歌っても、歌っても、歌うたびに心がふるえる歌。哀しみ、喜び、願い、祈り、そんな何もかもを大きく包み込む歌、蒼穹のかなたに魂が飛び立つ歌。シンプル極まりない旋律の一体どこに、この大いなる力が秘められているのだろう…。

ピアノとの共演、ギターとの共演、ア・カペラ…。様々なアレンジで歌ってきたが、今回のリサイタルでは、初の合唱との共演が実現する。しかも、編曲はパウ・カザルス、その人だ。
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合唱に駆けつけてくれるのは、コール・シャンティーの皆さん。指揮の野本明裕先生の下、合唱を愛するメンバーが集まり、熱心に活動している。高校時代の合唱が歌人生の始まりの私にとっては、どこか心懐かしい存在。年に一度の定期演奏会が今年で46回目!1994年第27回定演に「スペイン歌曲」のステージを設け、私をソリストに呼んでくれた。以来、長いお付き合いが続いている。日本の合唱曲はもちろん、ゴスペル、ジャズ、昨年はチャイコフスキー(しかも原語!)と色々なジャンルに挑戦しているが、特筆すべきは、黄金世紀スペインの偉大な宗教音楽作曲家トマス・ルイス・デ・ヴィクトリアのミサ曲を、団のライフワークとしてずっと演奏し続けていること。宗教曲に生涯を捧げたヴィクトリアの作品は決して易しくはないし、派手でもない。その労多くして手ごわい作品を、こつこつと練習し、毎回定演で聴かせてくれる。パウ・カザルス編曲ソプラノと合唱のための「鳥の歌」は、無駄な音をそぎ落とし、深く重なる声の響きに祈りをこめた作品だ。ヴィクトリアの心を知るコール・シャンティーにぴったり!共演が楽しみだ。

プログラム前半は、カタルーニャの曲がずらりと並んだ。どういうものか、「祈り」の曲が多い。Hakujuホール聖堂化計画?やはり私は、歌うmonja(尼僧)か??
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by Megumi_Tani | 2013-03-24 22:00 | スペイン歌曲 | Comments(0)

ピアニストご紹介~浦壁信二さん   

第22回リサイタル『愛しのバルセロナ~Barcelona querida』では、ピアノの浦壁信二さん、合唱コール・シャンティーと共演します。今日はまず、ピアノの浦壁さんをご紹介させていただきます。

共演?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。一般には「伴奏」という言葉が使われますが、もうこれは絶対にありえません。ともに音楽を作る「共演者」、あるいは、時に保護者?時にナビゲーター?…。ソリストを生かすも殺すも、組む人次第。腕前と相性が良ければ、そりゃもう百倍も千倍も(笑)上手く歌えます。逆の場合は、、、、、撃沈。

浦壁信二さん。超絶テクニック、繊細なタッチ、深く優しい音色、柔らかい感性…素晴らしいピアニストです。ものすごい実力とキャリアの持ち主なのに、どこまでも自然体、そして何より!しっかりとソリストを支えてくれます。柔軟かつ頼もしい。これまで共演された方々がそのあたりを語っているインタビュー記事があります。
アンサンブルが素晴らしい一方で、ソロが、また聴かせます。
昨年リリースしたCD『Ravel~水の戯れ』
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5月には川崎でコンサートがあります。お近くの方は、どうぞ!

初めてのリハーサルの時に、ふとバルセロナの恩師のピアノの音色を思い出したものでした。6月1日、Granados「ゴヤのマハ」をはじめ、ピアノの聴かせどころもたっぷりのプログラムです。独特のリズム、色彩感、熱く深い抒情…。歌とピアノの共演、スペイン歌曲の粋をお楽しみください。
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by Megumi_Tani | 2013-03-21 00:08 | リサイタル | Comments(0)

小さな美術館   

Facebookに「写真アルバム」のスペースがある。ふと思い立ち、ここ数年のリサイタルのプログラムとCDの画像を並べてみた。
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リサイタルは今年で22回目。自分でも信じられない。よく続いてきたなぁ…と思う。前も後もない、ただその一回に賭けて無茶苦茶に突っ走る私を、たくさんの温かい心が支えてくれた。美しいデザインの背景に、お世話になったたくさんの人の顔が浮かぶ。
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その一期一会のコンサートをギュッと凝縮したライブCD。いつも事前の計画は無し。本番が終わってから、作りましょうか、ということになる。猪突猛進女の私は、そんな計画があったら、歌えないのだ…。おかげ様で、「スペインの熱情の果て」「スペインわが心の歌」は完売。ありがとうございましたm(__)m
「清子様に捧げる曲」は、元ホンジュラス大使・竹元様にお声をかけていただいた貴重な作品だ。

日々バタバタと走り回るなかで、これらをわざわざ眺める機会はほとんどない。あらためて取り出してみると、どれもデザイナーさんの力作ばかり。小さな美術館のようだ。知らないうちに、優雅なコレクターになっていた気分!
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by Megumi_Tani | 2013-03-19 23:32 | エトセトラ | Comments(0)

Facebook一週間   

とにかく始めて、一週間。

初日?二日目?忘れたけれど、驚いた。なにか画像をアップしようとPCの中をあれこれ探していたら、「○○さんがあなたの写真にイイネ!と言っています」というメッセージが飛び込んできた。エ~?自分のページに戻ってみると、どれにしようかな、と、選んでいた写真の一枚が、しっかり鎮座している。誰がアップしたの?誰って、そりゃあなた、自分でしょう?!変だなぁ、いつの間に…。という感じで一週間が過ぎた。

昔々FAXが世に登場した時、この細い線を通ってどうやって画像が伝わるの…?と不思議に思ったものだ。やがてメールが現れ、電話&FAXとは異次元のコミニュケーション革命。PC、携帯と、老いも若きもすっかりメールが当たり前になったところでSNS、mixi時代を通過して、フェイスブックだ。なぁんて、思わず来し方を振り返り感慨にふけるところが、自分でも笑える。

それにしても、よくもまぁ、こんなカラクリを作り出したものだ。何かひとつ操作をすると、次にしたい操作、したくなる操作を賢く?勝手に?察知し、誘導してくれる。そのプロセスの一つ一つが、いろいろにリンクして、いろいろに広がって…。こうして「いろいろの海」を漂いながら、見えない手と手をつないでいくんだなぁ。

とっくにフェイスブックを始めていたという生徒さんが、「先生のブログを読んで探したんですけど、見つかりませんでした」と言っていた。行方不明癖のある私。あぶない、あぶない。

一日一善ならぬ一日一技を目指した一週間。街中でも電車でもお店でもスマホを離さない方々のお気持ちが分かりました。
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by Megumi_Tani | 2013-03-14 22:05 | エトセトラ | Comments(0)

Sakura2011   

今日の東京は午前中、初夏を思わせる暑さ。午後、突然一転にわかに掻き曇り、あたりが一面、黄色く暗くなった。夜になって、気温が急降下している。明日は二年目の3・11。あの日も風が強く寒かった。

「忘れまい」という言葉が繰り返されているけれど、私は、忘れられないでいる。震災直後は、どうしようもない恐怖や怒りをブログにぶつけたが、今は、それらの想いが鈍く重く心の奥底に沈んだ感がある。一年目の去年より今年の方がより一層その実感が強い。

二年前の4月、東北に桜が咲いた。その時の想いを綴った文章を、2011年リサイタルのプログラムから転載させていただきたい。言葉にならない、心からの祈りを込めて。

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Sakura 2011

1985年6月、バルセロナ市庁舎内『百人会議の間』で、師マヌエル・ガルシア・モランテ編曲による『日本民謡集』の出版記念特別演奏会が開かれた。私はこの曲集の歌詞・解説の西訳、手書きの日本語による原稿作成、編集、校正等々を担当していた。師を手伝い、無事完成にこぎ着けたところで、光栄にもバルセロナ市主催の出版記念式典が開かれることになった。式典当日、市旗が掲げられた『百人会議の間』は厳かな雰囲気に包まれていた。ご招待客は皆、やや緊張した面持ちで着席。私には、師の奥様が、亡き母上から受け継いだ美しいレースのボレロを着せてくださった。市のお偉方の祝辞、師の謝辞に続いて、《さくら》《子守歌》など数曲を私が歌った。中世バルセロナの栄華を誇る『百人会議の間』に日本の歌が響き渡った。

終演後、ひとりの青年がやって来た。「初めて日本の歌を聴きました。とても美しかった。一曲目の《さくら》は不思議でした。花の歌なのに、なぜか、あなたの歌に“祈り”を感じたのです。Sakuraは日本人にとって特別な意味をもつ花なのですか?」思いも寄らぬ問いだった。まだ若かった私に適確な答えが出来たのかどうか…。

2011年4月、福島の桜が咲いた。天災にも人災にも負けず、いつもの年と同じように人々に季節を知らせ、泰然と咲く花。黙して語らぬその存在の頼もしさ、そして愛おしさ。あの空も、あの海も、あの大地も、生きて支えあう者も、この世では二度と会えない人も、すべてが安らかでありますように。心からそう願わずにいられなかった。

「Sakuraは日本人にとって特別な意味をもつ花なのですか?」四半世紀前、私に桜への祈りを教えてくれたのは、あのスペイン人青年だったのかもしれない。
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by Megumi_Tani | 2013-03-10 23:46 | 思い&想い | Comments(0)

余計なお世話~その2   

朝から花粉がすごい。すごいけれど、済ませなければならない用事がある。よし!と、覚悟を決めて隣町に出かけた。幸い?花粉症の薬がよく効いている。春の陽ざしに誘われて町をぶらぶら…。長く住んだ町だ。懐かしい。すると、おや?なんだ?人だかりが出来ている。近づいてみると、靴屋の新規開店セールだ。あちらこちらの駅ビルで見かけるチェーン店である。

この場所、最初は輸入雑貨店だった。気の利いた品がお手頃価格で買える、お気に入りの店だった。やがてその店がつぶれて、高級食料品店が入った。かなり頑張っていたが、やがて、それもつぶれて300円ショップに変身。先月通った際、その300円ショプが閉店セールをやっていた。今度はいったい何が入るのだろう?と思っていたのだ。靴のチェーン店か…。しかし、ものの2分も歩いたところの駅ビルに靴屋がある。そして駅とは反対方向、やはり2、3分のところに別の靴屋がある。名物のおやじさんがいる地元の老舗だ。大丈夫だろうか、この二店…?

そういえば、前にもそっくりなことがあった。その時はラーメン屋だ。こちらはうまくお客が分散したのか、両軒とも生き残っている。靴屋三店もうまくいくのかな?「あたしたち、ムカデじゃないんだから、近所に靴屋ばっかりあっても困るのよ!」と、いつか、元気なオバサンがチェーン店の若い店員を怒鳴りつけていた。たしかに、ラーメンは週に何回でも食べられるけど、靴はそんなにしょっちゅう買うものじゃない。限られた人口、歩いて5分圏内に靴屋が三軒。まずくはないか…。

ちなみに、「余計なお世話~その1」は、こちら
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by Megumi_Tani | 2013-03-09 22:48 | エトセトラ | Comments(0)

本日、記念日   

本日3月7日は、私の花粉記念日。命名日のブログはこちら。
北国の方には申し訳ないが、東京も今年は冬が寒くて長かった。本当にお疲れ様でした。

そんなブルブル震える寒さの中でも、律儀に花粉はやってきた。2月半ばからそれとなく気配を漂わせ、次第に何気なくその存在感を増し、3月の声とともに「やぁやぁ待たせたなぁ。我こそは花粉なり!」状態である。先手必勝!先回りしてお薬を服用していた私だが、今日は電車に乗った途端にクシャミ連発。鼻の奥がムズムズ、唇までアレルギー反応でしびれている。
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その3月7日が、今年から別の記念日にもなった。Facebookなるものを始めたのだ。何を今さら、というか、いま頃何言ってるの?というところ。これまでにも何度かお誘いやお奨めがあったけれど、そのたびに、「そうねぇ…」と、何となく手を出さなかった。ところが、ここ一週間くらいの間に、またもやFacebook!Facebook!とお声がかかり、ついに重い腰を上げることにした。
思えば、携帯電話なるものを使い始めたのも、人よりずい分遅かったなぁ、私。

昨夜遅く日付が変わった頃に登録終了。とはいえ、まだ右も左もちんぷんかんぷん、さっぱり分からない。自慢の天然ナビ(笑)でどこまでいけるか??

というわけで、3月7日は、W記念日になりました。めでたい?041.gif
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by Megumi_Tani | 2013-03-07 22:31 | エトセトラ | Comments(2)

心が伝わる   

ポカポカと気持ちよい陽ざしの中、ドス・ガトスのランチに出かけた。高森シェフと、先日のテレビの話から始まってポンポンお喋り。日本語で話してもスペイン語モードになる稀有な?友人。
メインは、今日届いたばかりのお魚、ホウボウ。身がほっこり、プリプリ!
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デザート盛り合わせ。小さなオリーブオイルのマドレーヌ&クワハーダ&クレマ・カタラナ。
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メインの前には、トルティーリャ、エンパナーダ、ムール貝、武蔵野のお野菜たっぷりの前菜盛り合わせ。お写真撮るのを忘れましたm(__)m

このお店のお料理は美味しいのはもちろん、とても丁寧だ。シェフはじめスタッフの心意気と細やかな心遣い、料理を愛する思いが伝わってくる。これが元気をくれるのだ。

以前、複数の声楽家が順番に出てきて、次々とオペラ・アリアを歌う演奏会に出かけた折のこと。有名どころのアリアに華やかなドレス。まさに定番通り?の演奏会。途中で、一緒に聞いていた知人が私に言った。「この人達って、イタリア語の意味が分かっているのかな?」「そりゃ、分かっているんじゃない?」と私。「そうじゃなくて、歌そのものの意味、っていうか、その歌の存在そのものが分かっているのか、っていうこと」「あ、、、それは、どうかなぁ」彼曰く、たとえ外国語で歌っていても、歌い手が、歌詞の内容は言うに及ばず、その言語、その歌を愛し、歌そのものの存在になっていれば、言葉の壁などこえて、必ず歌の心が伝わってくるのだそうだ。「今日はまるでそれが感じられないから、この人たち、辞書を引いて調べた程度の理解なんだよ、きっと」とのこと。なるほど。“聴く人”は聴いてくれるのだ、と嬉しい気持ちと、身が引き締まる思いと…。

絵音痴?だった私に絵の喜びを教えてくれたのはカタルーニャ美術館だ。古い教会の壁画が伝える真摯な心が、言葉や理屈を越えて、私の心を解放してくれた。バルセロナで最も好きな場所、ということで、今年のリサイタルのパンフレット中央に、でも、あの素朴な絵たちにふさわしくシンプルに何気なく、登場してもらった。

心が伝わることに、ジャンルはない。音楽も絵もお料理同じ。伝われば、つながる。つながれば、また伝えられる。
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by Megumi_Tani | 2013-03-06 23:45 | 思い&想い | Comments(0)

¡Viva!スペイン   

東京は春一番が吹いた。しかし、その後すぐに、北風ピューピューで歩くのもままならない。北国はこれでもか、という大雪に見舞われている。3月の雪は湿って重いのだ。春よこい♪早くこい♪

3月に入り、NHKテレビでが続けて放送された。1日は『ドラクロワ~バルセロナで輝く女たち』、2日は、先日ご案内の『世界ふれあい街歩き~スペイン・ポルトガルスペシャル』ぽんぽん飛び交うスペイン語を聞いているだけでも楽しいが、街並みがいい、人が親しい、リズムが心をかきたてる。セゴビアの水道橋、ランブラスの賑わい、巡礼の道、夕暮れの街角、とめどないお喋り…。生きていることが楽しくなる、生きていることに素直になれる、生きていることを信じられる、不思議な国なのだ。
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三十年くらい前の聖家族教会。この頃に比べると、ずい分出来上がりました。
高森シェフ、majoでしたね!
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by Megumi_Tani | 2013-03-02 23:32 | ビバ!エスパーニャ! | Comments(0)