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魂の絵を描く~パコ・デ・ルシア   

パコ・デ・ルシアが急逝した。心臓発作。まだ66歳。寂しい。
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もう三十年以上も前、FM大阪から流れてきた『Friday Night in San Francisco』を聴いたときの衝撃!まだスペイン歌曲に出会う前のことだ。『スーパー・ギター・トリオ』 
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そう、Zyryabなんて奇妙な言葉に、意味も分からず心魅かれたのも、パコのCDだった。
『Zyryabと空海』

愛する楽器ギターを駆使し、己の魂の絵を描き続けた偉大な芸術家、パコ・デ・ルシア。
ジャンルの枠を軽やかに飛び越え、粋に、鮮やかに、スペインを「魅せて」くれた。

ギタリストはギターで、アスリートはスポーツで、画家は絵筆で、シェフは料理で、作家はペンで、華道家は生け花で、ファッションデザイナーは洋服で、ピアニストはピアノで、チェロ弾きはチェロで、陶芸家は焼き物で、歌い手は歌で…etc。己の魂の絵を描く。どうしても描かずにはいられない絵を描く。その絵を真摯に探求し、その絵をこの世に具現化すべく、真摯に努力、格闘する。それが芸術家。純粋に、嘘なく。だから人の心に響く。

その「絵」を支持する人もいる。支持しない人もいる。まぁそれは仕方がない。その「絵」が彼や彼女にとって唯一無二の絵なのだから。その「絵」を描くために生まれてきたのだから。

『Friday Night in San Francisco』 より 『地中海の舞踏』


私達に、たくさんの色鮮やかな「魂の絵」を残してくれたパコ。
ありがとう。
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by Megumi_Tani | 2014-02-28 00:01 | スペイン音楽 | Comments(0)

『カザルスと国際政治』   

先日の音楽講座に関連して、細田晴子著『カザルスと国際政治』をご紹介したい。
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国際政治学者である著者が、残された膨大な資料をもとに、詳細にカザルスの生涯をたどっている。カザルスといえば、平和主義、反フランコ、と、すぐに心に浮かぶ。では、彼はいかなる経緯を経てその主張にたどり着いたのか?96年という長い生涯のなかで彼の思いは変化したのか?あるいは、しなかったのか?文化国際主義とは?カザルスが信じた音楽の力とは?etc。
激しく揺れ動く国際情勢、複雑に絡み合う主義主張、人間関係…。客観的な資料の検証から、人間カザルスの姿が浮かび上がる。 ユニークな切り口!カザルスファンの方、お薦めです。

思わずタメ息が出たのは、「クラシックは売れないから」との理由で、マエストロ・カザルスでさえレコード発売を断られていること。昔から、みんな苦労していたんだなぁ。。。

カザルスご本人の語りをまとめた 『カザルスとの対話』 こちらも興味深いエピソード満載です。

カザルスはピアノも上手かった!
ヴィクトリア・デ・ロス・アンへレスの歌、カザルス伴奏によるブラームス歌曲です。

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by Megumi_Tani | 2014-02-20 12:49 | 本の窓 | Comments(0)

『カタルーニャから世界へ』   

第6回『スペインの音楽講座』が終了しました。第1回から約二千年の時を駆け抜け、ようやくたどり着いた19世紀。第6回からは、重要な音楽家にスポットをあて、彼らの人生と音楽について探っていきます。今回とりあげたのは、アルベニス、カザルス、グラナドス。全員がカタルーニャの人です。

アルベニスは、なんと!4歳で演奏会にデビューした神童ピアニスト。10歳になる前から、自慢の腕で稼ぎながら、世界各地を放浪しました。超一流のピアニストとして名を馳せた一方で、作曲家として、『スペイン組曲』『組曲イベリア』に代表されるスペインの香り豊かな作品を多数残しています。「ドン・キホーテの心を持ったサンチョ・パンサのような人」と称されるアルベニス。出会った人は皆、善良で心優しくユーモアにあふれた彼を好きにならずにいられなかったとか。

『タンゴ』 クライスラー演奏。昭和3年の録音


『ラ・ベーガ(グラナダの沃野)』  アルベニス夫妻


さて、そのアルベニスがバルセロナで活躍していた頃、街にある噂が流れました。「最近、ものすごく腕のたつ”子ども”が、Café Tosdでチェロを弾いているらしい」…。どれどれ、と、店を訪れたアルベニが出会った少年、それが生活のためにアルバイト中のカザルスでした。この出会いがきっかけで、後にカザルスは音楽への道が開かれていきます。独自のチェロ奏法の開拓、バッハ『無伴奏組曲』の発見、そして生涯を通して発し続けた平和への強いメッセージは、世界に強いインパクトを与え、今も語り継がれています。

亡命後、プラドでバッハを演奏するカザルス


『鳥の歌』 1961年、ケネディ大統領に招かれたホワイトハウス・コンサートでの演奏


さて、そのカザルスと公私ともに仲がよかったのがグラナドスです。十代から人気ピアニストとして活躍した彼は、教育者としても若手ピアニストの育成に努め、作曲家としてはピアノ曲はもちろん、声楽曲、オペラにも傑作を残しました。超ロマンティストで、ゴヤの時代に限りない憧れを抱いていたグラナドス。彼の作品には、妖しくも儚い一瞬の光、そして深い影があります。自作のオペラ『ゴイエスカス』ニューヨーク初演に立ち会い、大成功を見届け、帰途についたその航路で、ドイツ潜水艦の無差別攻撃を受け、愛する妻とともに帰らぬ人となりました。ニューヨーク公演を現場で見守ったカザルスは、友人の突然の訃報に驚き、チャリティー・コンサートを開くなどしてグラナドスの遺児を助けました。

スペイン舞曲第2番『オリエンタル』 グラナドス本人の演奏(ピアノロール)


スペイン舞曲第5番『アンダルーサ』 グラナドス本人の演奏(ピアノロール)


オペラ『ゴイエスカス』より
ロザリアのアリア 『嘆き、または、マハと夜鶯』 ピラール・ローレンガー


私が留学していた時、グラナドスの末娘ナタリアさんがまだご存命でした。モランテ先生と一緒に彼女のお宅にお邪魔して『Tonadillas~昔風の粋な歌曲集』を聴いていただいたのは、懐かしくも貴重な思い出です。この時に戴いたナタリアさんのサインを、17日の講座で受講生の皆さんにご披露しました。「私の父の作品を歌う素晴らしい歌い手、メグミへ」と書かれています。光栄!

ブログでご紹介しているのは、講座のごく一部です。お話もYoutubeも盛り沢山。かなりユニークかつ興味深い講座かと存じます。

第5回教養講座『Las Músicas de España』(スペインの音楽)
これまでの講座の様子は、こちら。
『第1回』 『第2回』 『第3回』 『第4回』 『第5回』
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by Megumi_Tani | 2014-02-19 00:00 | 講座/セミナー | Comments(0)

『スペインの音楽講座』後期ご案内   

すでにこのブログでもご案内の通り、昨年秋より、日西翻訳研究塾にて教養講座『スペインの音楽』を開講しています。「スペイン語は完璧だけど、スペインの音楽にはこれまで接する機会がなかった」「そもそもスペインの音楽って、何?」「スペインのワインと料理は大好きだけど、音楽はどうかな?」「スペインの旅先で聴いたあの音楽が忘れられない」「最近スペインが気になり出した…」etc、etc..そんなスペインにご縁のある方、スペインに心惹かれる方に、楽しく気軽に、そして実は深く存分に、スペインの音楽を味わい、その魅力を実感していただこうというクラスです。音楽専門家向けの講座ではありません。したがって、音楽の知識はまったく不要です。突然、歌わせたりもしません、念のため(笑)

後期クラスについて、塾からご案内が発信されました。以下、そのまま転載します。

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『スペインの音楽』講座への誘い

この講座は、昨年の9月に始まり8月に終了予定ですが、これまで次のテーマで講義があり、参加者の皆様も毎回とっても楽しんでおられます
これほどの講座を僅か10人だけで独占しても良いものか?!
と言うことで、今回、後期からでも参加されませんか?との思いから、ご案内を差し上げました

実際の音楽を聴きながら、また映像を見ながらの大変楽しい講座です

後期には、テーマも時代も現代(20世紀)になり、09~11回には、より身近な『スペインの音楽=軽音楽』の分野のお話しに突入!!
したがって、映像や音楽もより身近なものが満載!!
この機会にあなたも『スペインの音楽』についての知識を増やしてみませんか?!

《前期》
第01回『Zyryabと空海』
第02回『黄金世紀のAve Maria』
第03回『ルネッサンス・ビウエラの謎に迫る』
第04回『黄昏のスペイン』
第05回『¡Viva スペイン! そして...』

そして、来週17日の月曜日には:
第06回 偉大なる音楽家たち(その1) 「カタルーニャから世界へ」
アルベニス、カザルス、グラナドスの生涯と作品。三人を結ぶ絆とは!?を学びます

《後期》
以下の各月曜日:19-21時に開講:

第07回 2014年3月17日(谷 めぐみ講師)
偉大なる音楽家たち(その2) 「内戦の影」
ファリャ、ロドリーゴの生涯と作品。詩人ガルシア・ロルカと音楽

第08回 2014年4月21日(谷 めぐみ講師)
偉大なる音楽家たち(その3) 「変わるもの・変わらないもの・変わろうとするもの」
20世紀における“スペイン音楽”を探求、創造した音楽家たち。
トゥリーナ、モンポウ、モンサルバージェ、エスプラ、グリディ、ニン、ジェラルドetc.

第09回 2014年5月19日(碇 順治講師)
スペイン民衆の音楽・大衆音楽(吟遊詩人・Chotis・Paso Doble・Tunaを中心に)
より民衆に近づいた音楽!!

第10回 2014年6月16日(碇 順治講師)
20世紀の民衆の音楽(内戦後・50年代以降のポップミュージックを中心に)
  The Beatles?それともLos escarabajos?? 独裁政権の最中にまさか「ビートルズ」?
スペインの存在がなければビートルズも存在しなかった??!!??

第11回 2014年7月14日(碇 順治講師)
ジャズ・フラメンコ??(ジャズとフラメンコの関係・スペインジャズ界・ポップフラメンコを中心に)
ジャズの世界とスペインとは無関係?

第12回 2014年8月18日(谷 めぐみ講師)
スペインが生んだ世界的演奏家-ロス・アンへレス、カバリェ、ベルガンサ、ドミンゴ、カレラス、
ラローチャ、カザルス、セゴビア、イエペスetc-による名曲名演をたっぷり味わう。
日本における、スペイン音楽とは?

参加費:1,800円×残り回数 (現役塾生:1,500円) まったくの初めての方は入塾金が必要になります

お申し込みは、以下のページから ⇊
第5回教養講座『Las Músicas de España』(スペインの音楽)
この講座を受け、更にスペイン語の背景知識を増やして下さい!!
日西翻訳通訳研究塾(『スペイン語塾』で検索!)

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日西翻訳通訳研究塾は、スペイン語のプロが学ぶ、極めてレベルの高いスペイン語塾です。
専門的なスペイン語クラスと並行して、「言語の背景に文化あり」のモットーのもと、宗教、美術、日本事象など様々なテーマで教養講座が開かれてきました。今期は「音楽」です。日本では、知られているようで、実はあまりよく知られていないスペインの音楽について、このような語学の場で真正面から取り上げていただくことは、スペイン歌曲の歌い手として、本当に嬉しいことです。演奏会とはまた違う身近な距離でお話しすることで、受講生の皆さんも、音楽をより親しく感じられるようです。これを機に、スペイン音楽ファンが増えることを願っています。後期は、塾頭先生による「スペインの軽音楽」の講義もあります。必聴!

歴史あり、人あり、芸術あり…。スペインの音楽、奥が深くて素敵です。
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by Megumi_Tani | 2014-02-13 00:00 | 講座/セミナー | Comments(0)

雪が降れば思い出す♪   

降っても降っても、まだ降る雪…。昨日は大変だった。交通機関は止まり、高速道路も通行止め。陸の孤島になった成田空港では、6,000人が夜を明かしたという。何といっても、こちらでは備えが無い。かく言う私宅も、スコップなどないので、以前100均で買った大きなチリトリで玄関前の雪かきをした。

北海道育ちだから、雪の思い出は数知れない。けれど、大雪に遭遇した時に必ず心に浮かぶのは、大学受験の思い出だ。

生まれて初めて飛行機というものに乗って、私はひとり京都に行き、大学受験に臨んだ。八坂神社近くのレディースホテルに滞在すること二週間。最初はホテル中に溢れていた受験生が、試験が一次、二次と進むうちにどんどん減り、最終試験に残ったのはほんの数名。私以外は四国や九州の人で、最後の試験が済むと、皆、その日のうちに帰ってしまった。ポツリとひとり、レストランで最後の夕食を食べていると、雪が降ってきた。少し湿った重い雪だ。ふ~ん京都でも雪が降るんだ…。

翌朝起きると、一面の銀世界が広がっていた。二週間お世話になったフロントの酒井さんが、「早めに空港バスの乗り場に行った方がええよ」と言う。それでは、と、予定よりかなり早くホテルをチェックアウトし、市バスで八条口へ向かった。途中、すでに市内の道は大混乱している。どの車もまともに走れないのだ。市バスもノロノロ…。やっと八条口の空港バス乗り場に着くと、長い長い列が出来ていた。どうしたのだろう?最後尾の人に尋ねると、「さっきから待っても待ってもバスが来ない」とのこと。その人の後ろに私も並んだものの、あたりの気配が尋常ではない。皆、相当イライラしている。バスは来るのだろうか?来るとしてもいつ来るのだろう?この様子なら来たとしてもノロノロ運転だ。空港に着くのが遅くなる。ということは飛行機に乗れない?ま、まさか。。。万が一そうなったらどうすればいいのだろう?代わりの便に変更してもらえるのだろうか?今日乗れなかったらどこに泊まる?ホテルに戻って事情を話せば酒井さんは部屋を空けてくれるだろうか?etc,etc…。空港との行き来は空港バス、の知識しかない私には、代わりに電車で移動することなど考えられるはずもなく…。

と、ここまで書いて、気がついた。この話、前にも書いたことがある。呆然と立ち尽くす私の前に、天の助けが現れたのだ。詳しいてん末は、前のブログをどうぞ。「雪ニモマケズ」

あの夜、ホテルのレストランの大きな窓から見えた雪景色が今もはっきり目に浮かぶ。道産子の私には「これっぽっち」の雪で、交通機関がストップすることなど思いもよらなかった。翌日大パニックが待っていることも知らず、長い試験が終わった安堵感とともに、「なぜ私は今、京都にいるのかしら」などと、18歳らしい(笑)感慨にふけっていたのだ。

その後、バルセロナでも40年ぶり?という大雪に遭遇した。東京でも、二度もリサイタルが大雪の日を当てている。冬じゃなければ台風もあった。う~ん。困った人だ041.gif

『小樽雪明りの路』 ただ今、開催中です。
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by Megumi_Tani | 2014-02-10 00:42 | エトセトラ | Comments(0)

Res no és mesquí   

バルセロナのE子さんからメールが届いた。恩師マヌエル・ガルシア・モランテが伴奏する演奏会に初めて出かけ、とても素晴らしかった!とのこと。「控えめなのに艶があり…」とは、まったく言い得て妙だ。ソリストの心もお客様の心も溶かしてしまう。彼のピアノには不思議な力がある。

『Res no és mesquí~悲しいものは何もない』
この曲は、彼の初期の作品だ。細やかなトレモロ、優美な旋律、柔らかな紗のベールがふわりと風に舞うような音楽は、美しく豊潤、そして、儚い。私のバルセロナの原点にある曲のひとつで、定期的に(笑)歌いたくなる。目下、10月4日リサイタルに向けて選曲最終盤。今年は久しぶりに歌おうか。。。

バルセロナでは今週末、聖エウラリアを祝し、市庁舎でプロジェクト・マッピングが行われます。
『LlumBCN2014~バルセロナ光の祭典』

同じく7日から、小樽では『雪明りの路』開催。雪国の人間は雪に負けない!楽しみます。
…と言っても、雪かきは本当に本当に大変 (>_<)(>_<)(>_<)(>_<)(>_<) 春よ来い、早く来い!

寒い季節にはラーメンでも?! 
こちら、バルセロナで話題の行列が出来るラーメン屋HIRO 
並んで食べました。美味しかったです。
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雪国の友人が寒のお餅を送ってくれました。ヨモギの緑の見事なこと!
搗き立ての味、MikikoさんやE子さんに食べさせてあげたいなぁ。。。
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by Megumi_Tani | 2014-02-06 13:56 | スペイン歌曲 | Comments(0)