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スペイン民衆の音楽・大衆音楽   

スペインの音楽講座も終盤に入りました。スペイン語の、つまり「語学の塾」が「音楽」について一年間の講座を設けてくださる、というだけでも画期的なことですが、なんと!第9回から第11回は軽音楽編です。講師は、塾頭の碇順治先生。実は、実は、碇先生は、スペイン音楽に深い造詣をお持ちです。

「音楽」という言葉が存在しない遠い昔から、労働のなかで、日常生活のなかで、楽しい時、嬉しい時、苦しい時、辛い時、いつも人間は音楽とともに生きてきました。やがて「民族」の音楽から「民俗」の音楽が生まれ、やがてそれが「民衆」の音楽に変化していきます。かつて王侯貴族の楽しみだった音楽が、民衆に近い音楽、民衆が自ら楽しむ音楽に姿を変えていくのです。

中世から近世にかけての時代、職業としての「吟遊詩人」が登場しました。歴史の伝承、社会のニュース、そして恋愛物語と、歌い語る内容を変えながら、彼らは街角に立ち、「音楽」を広めていきました。

当時の雰囲気を伝える演奏 
Nuevo Mester de juglaria


18世紀になると「音楽の大衆化」がどんどん進みます。
当時から続く大学生伝統のトゥーナ。なんと楽しそうなこと!
Tuna de Salamanca


19世紀から20世紀には、サルスエラから発展した民衆歌謡~歌謡曲が生まれます。

ローラ・フローレス  スペインの美空ひばり?


インぺリオ・アルヘンティーナ


こちらは、おなじみ「パソ・ドブレ」
元々は軍隊の行進曲だったものが闘牛場で使われるようになり、民衆に広がりました。
Luis Cobos


音楽は時代とともに変わる。音楽という文化も「生きもの」であることをあらためて実感します。

第5回教養講座『Las Músicas de España』(スペインの音楽)
これまでの講座の様子は、こちら。
『第1回』 『第2回』 『第3回』 『第4回』 『第5回』 『第6回』 『第7回』  『第8回』
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by Megumi_Tani | 2014-05-25 00:26 | 講座/セミナー | Comments(0)

Transparency4 透明展   

アーティスト、山本篤子さんの個展が開かれます。
5月27日(火)~6月1日(日)会期中無休
会場:Gallery Kabutoya 兜屋画廊
繊細な作品の数々をぜひご覧ください。
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by Megumi_Tani | 2014-05-25 00:01 | エトセトラ | Comments(0)

《スペイン浪漫》 プロローグ   

第23回リサイタル『スペイン浪漫~Mi España romántica』のチラシが出来上がりました。デザインは、おなじみのVamosさん。タイトル『スペイン浪漫』の心を、素敵に描き出してくれました。
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★今回のリサイタルに寄せて、日本におけるスペイン音楽の父、濱田滋郎先生からコメントをいただきました。

歌の「いのち」を知る人、谷めぐみ
 グラナドスほかの「芸術歌曲」から、「ラ・ビオレテーラ」などの「懐メロ流行歌」に至るまで、それぞれに魅力的なスペインの歌たち。今年もまた、それらに歌としての「いのち」を吹き込む術を心得た人、掛替えのないスペシャリスト、谷めぐみのリサイタルを味わえる。題して「スペイン浪漫」、スペイン語で言うとすれば「エスパーニャ・ロマンティカ」となるだろうか。たしかに、スペインの歌には、つねに微妙な「粋(いき)」のスパイスを混ぜ込んだロマンティシズムの甘美さ、優美さが行きわたっている。ただし、スペインのロマンティシズムは、たんに夢のような甘美さに浸るだけのことではない。そこには常に、リアリズムの裏打ちがあり、実人生の悲哀、苦痛、あるいは宿命感といったものが浸み込んでいる。そういった「裏のもの」までも、余さず歌に込め、味わわせてくれる人こそ、歌の「いのち」を知る谷めぐみなのである。 
                           音楽評論家・スペイン文化研究家 濱田滋郎

これまでのリサイタル
第20回『鳥の歌』 「終演御礼」  「鳥の歌~聴き較べ」 
第21回『絆』 「終演御礼」  「Recitalあれこれ~ふるさと
第22回『愛しのバルセロナ』  第22回『愛しのバルセロナ』


★昨年、第22回は、とても光栄な批評をいただきました。
第22回谷めぐみソプラノリサイタル≪愛しのバルセロナ≫評
『音楽の友』2013年8月号より抜粋
極上の歌声に浸った一日。前半での〈五月〉(トルドラ)の透明感ある響き、歌曲集《夢のたたかい》(モンポウ)での言葉の繊細な扱い、カザルスの〈鳥の歌〉(コール・シャンティーとの共演)での抑えた憂色の美学、ガルシア・モランテ編のカタルーニャ民謡で醸し出された哀感ある抒情性などどれも特筆すべきもの。グラナドス〈内気なマホ〉でのコケティッシュな表現力、〈ゴンドラの舟歌〉(アルベニス)の優美さ、モンサルバージェ〈黒人の子守歌〉での声の精妙な絞り方など傑出。浦壁信二のピアノも粒揃いのタッチが光り、〈パーニョ・ムルシアーノ〉(ニン)の飄々とした感など印象に深い。(6月1日・Hakuju Hall)                        岸 純信                                             
                                 (『音楽の友』編集部の了解を得て掲載)

チケット発売開始は、6月2日です。
あらためて詳しいご案内をさせていただきます。どうぞお楽しみに060.gif
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by Megumi_Tani | 2014-05-17 22:40 | リサイタル | Comments(0)

『Penélope』   

諸事、雑事、猛烈に忙しい。忙しい時に限って、ありえない事が起きたりする。
Fuera! Go to bed! まさに、そんな気分だ。

昭和40年~50年代、日本で一世を風靡したポール・モーリア楽団。
大ヒット曲『エーゲ海の真珠』


ポール・モーリアには、オリジナルのほかに、クラシックからポピュラーまで、様々な曲をアレンジした作品がありましたね。この『エーゲ海の真珠』もアレンジものです。原曲をご存知でしょうか?
『ペネロペ』カタルーニャが生んだアーティスト、ジュアン・マヌエル・セラの作品です。



当然のことながらメロディーが同じ。
ジュアン・マヌエル・セラが先です!お間違いなく。

さて、同じ『ペネロペ』でも、こんなアレンジもあります。う~ん♥



ジョアン・マヌエル・セラ、私が一番好きな曲はこれです。
『Mediterraneo~地中海』
僕は、地中海で生まれ、子どもの頃、地中海の砂に戯れて遊んだ。ワインとギャンブルが大好き。船乗りの心をもつ。いつか死んだら地中海の見える場所で眠りたい。なぜなら、僕は、地中海で生まれたのだから…。


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by Megumi_Tani | 2014-05-14 00:47 | スペイン音楽 | Comments(0)

バルセロナに響いた日本の歌   

1985年6月10日、バルセロナ市庁舎にて、師マヌエル・ガルシア・モランテ編曲『日本民謡集』の出版記念演奏会が開かれた。
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会場は、市庁舎の中にある「百人会議の間」。中世バルセロナの歴史を誇る由緒ある部屋だ。
小説「海のカテドラル」にも、その名が登場する。

市主催の行事とあって、お歴々の長い祝辞があり、その後で、日本民謡集の中から数曲を先生と私が演奏した。当日の様子は、歌修行日記「Hola!バルセロナ」をご覧いただきたい。
「Hola!バルセロナ43」 「Hola!バルセロナ44」
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さて、思いがけず、その日のライブ録音がYoutubeにアップされた。スペインでアップされたものを即、日本で視聴できる。手紙到着に片道一週間かかったあの頃からは、想像もできない時代だ。
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by Megumi_Tani | 2014-05-01 22:58 | 音楽あれこれ | Comments(0)

新刊『オペラは手ごわい』   

今年のお正月、NHK教育テレビ『らららクラシック』で、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」が取り上げられていた。このオペラには、リューという女奴隷が登場する。原作にはなかった役だそうな。オペラ化にあたり、プッチーニが、わざわざこの哀れな女奴隷の役を創作したのだ。では、なぜプッチーニは、そこまでしてリューを登場させたのか?その辺の事情を、オペラ研究家、岸純信氏が極めて分かりやすく解説してくれた。なるほど。プッチーニって、恋多き男だったのね。。。
それにしても、リューとは、懐かしい!昔々の鮮烈な記憶が蘇った。

大学を卒業して間もない頃、まだスペイン歌曲に出会う前の話だ。私はとある演奏会でリューのアリアを歌うことになった。いや、正確には、何かアリアを歌わなければならない会だったので、自分でこのアリアを選んだのだ。エキゾチックな音と切々たる哀感、そして鋭く突き刺さるような最後の二音が好きだった。聴き映えしないとか、短い、とか、地味だとか、周りには色々言われたが、自分と自分が歌う歌との違和感にずっと苦しんでいた私は、もう何かの理由付けで選曲するのが嫌だった。自分が「歌おう」と思う歌を歌いたかったのだ。

「リュー」の練習を始めた頃、レコード店で輸入盤セールがあり、偶然、一枚のマリア・カラスのLPを見つけた。『椿姫』なら「あぁ、そはかの人か…花から花へ」ではなく「さようなら、過ぎ去りし日よ」という具合に、いろいろなオペラの一番目ではなく、二番目、三番目?に有名なアリアばかりを集めた、一風変わったレコードで、そのなかに「リュー」が収められていた。学生時代にアリア集を聴いて、独特の声に居心地の悪さを感じて以来、マリア・カラスは苦手だった。でも、まぁ「リュー」が入っているから聴いてみようか。そんな軽い気持ちでLPを買って帰った。

その夜、ステレオに針を落とし、部屋いっぱいに「リュー」が鳴り響いたときの衝撃…。ハンマーで頭を殴られたようだった。ひれ伏したいような気さえした。声がどうしたとか、好きだとか嫌いだとか、そんな言葉に出来るありとあらゆる理由を超えて、わずか2分半のアリアが、私の中の何かを引っくり返した。 「マリア・カラスは凄い!」



テレビでリューを語ってくれたオペラ研究家、岸純信氏の新刊が出た。
冒頭、マリア・カラスとレナータ・スコットの手に汗握るエピソードが紹介されている。
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「椿姫」「ノルマ」「ルチア」「カルメン」「ペレアスとメリザンド」そして幻の「ラ・エスメラルダ」etc。
数々の傑作オペラが、どのように生まれ、どのように存在し、どのように消えていったか。社会的背景、歴史的意味、ストーリー、音楽内容、作曲家の人となり、各々の作品にまつわる奇々怪々な人間ドラマ、悲喜こもごものエピソード…。熱く真摯な筆にぐんぐん惹きこまれ、心はいつのまにかオペラの迷宮へ…。ただのガイド本ではない。「オペラのすべて」への著者の愛が感じられる、まさに、情熱のオペラ文化論だ。

隠れたテーマとされている「19世紀のパリが世界中から音楽家を呼び寄せた理由」も、興味深い。スペインの偉大な音楽家達、アルベニスもグラナドスもファリャもトゥリーナも皆、「パリ無し」では存在しなかった。19世紀のパリとは?奇しくもこの八ヵ月、「スペインの音楽講座」を担当するなかで、私の心に強く留まったテーマだった。

あの時マリア・カラスのLPに出会ったのも偶然だった。今回テレビで「リュー秘話」を聞いたのも偶然だった。不思議。リューは時々、影のように、ふっと私のそばに現れ、何かシグナルを送ってくれる。
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by Megumi_Tani | 2014-05-01 00:16 | 本の窓 | Comments(0)