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スペインの華   

どういうものか、私は、スペイン語を「万華鏡」のように感じる。その緻密さ、美しさ、無限の広がり…。発音するだけで、口が、唇が、喜んでいる気がする。錯覚?いえ、確かに…。「スペイン語が美しい?どこが?」「万華鏡?ふ~ん」残念ながら、これまでに共感してくれた人はいなし。私の脳内では極めて明確なイメージなのだけれど…。

同じ「華」をスペインの歌にも感じる。スペインの歌は、その一曲、一曲が、誇り高く咲く華のようだ。ここは、やはり「花」ではなく「華」と書きたい。華の字が、美しさの奥にある棘も毒も涙も感じさせてくれる。色鮮やかに、個性豊かに、凛と在るスペインの歌の華たち。真紅のバラもあれば、真っ白なユリも、愛らしいカーネーションもある。その一輪、一輪を、最も魅力的に咲かせてお客様にお届けする、それが歌い手たる私の務め、喜びだ。

それにしても、漢字の力はすごい。もしも『スペイン浪漫』が「スペイン・ロマン」なら、アララ、どこぞの安い映画みたい…。

今回のリサイタルでは、ステージごとに、まったく色彩の違うスペインの華をお楽しみいただきます。パンフレットをご覧ください~「地中海の薫り」「グラナダ~光と影」「郷愁の華」「粋に、優雅に」
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どれも、ホンとに素敵な曲ばかり!と、本人の私が言うのも変ですが、華が素敵であればあるほど、咲かせる私のモチベーションも上がるというもの。まったくもって、華あっての歌い手なのです。
10月4日、谷めぐみの今年の咲かせ具合を、聴きに、眺めに、ぜひ皆様お出かけくださいませ。

第23回リサイタル《スペイン浪漫》
2014年10月4日(土)午後2時@Hakuju Hall
ご来聴をお待ちしています。 詳しい情報はクリック↑↑060.gif

それでは今日は、軽くスペインひと巡りとまいりましょう。
でも、なぜか、画面が半分しか映りません(^^;;  こちらのアドレスです。『うるわしの国、スペイン』

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by Megumi_Tani | 2014-06-28 22:10 | リサイタル | Comments(0)

abdicación~退位   

6月2日、日本時間の6月3日、通常めったにお目にかかることのないスペイン語が世界を駆け巡った。「abdicación」スペインのホアン・カルロス国王が、突然、退位を表明、息子であるフェリペ皇 太子に王位を譲ることを発表したのだ。

●国王による退位の演説  


私がスペインと出会った頃、ホアン・カルロス国王は、絶大な人気を誇っていた。フランコの後継指名を受けて、1975年、国王に即位。1981年2月23日に起きたクーデター未遂事件での演説は、現代スペインの「伝説」として、広く語られていた。さっそうとした立ち姿も格好よく、そばに控える聡明なソフィア王妃もどこか親しみやすい。私は、いささかミーハー的気分で国王夫妻のファンだった。

●1975年10月22日「即位式」 



●1981年2月23日「クーデターでの演説」   


帰国後、とある書物を読んで、ホアン・カルロスという人物に別の意味で興味を抱いた。
彼はわずか10歳で、自由主義者である父君ドン・ホアンから独裁者フランコにその身を預けられ、その後、約二十年もの年月、フランコのの下で帝王教育を受けた。かの書物によると、この時代の彼は、内気、寡黙で、何事にも反応が鈍く、自らの意思を示さず、どうにもパッとしない青年であったらしい。「ホアン・カルロスは頭がノンビリしている。フランコが後継者に指名したけれど、本当に大丈夫か?」などという噂が、国民の間でまことしやかに囁かれていたという。

ところが、フランコが亡くなり、いざ国王に即位すると、彼は瞬時に、鮮やかに、変身した。大いなる知性と人間力を発揮し、薄氷を踏むようなスペインの民主化を、スリリングに、しかし堂々と、まさに一大スペクタクルのごとく強力に推し進めた。

能ある鷹は爪を隠す、というが、爪を隠すどころか、爪があることさえ周囲に忘れさせてしまっていたのだ。その意味では、皮肉なことだが、フランコは究極の帝王学を彼に施したのかもしれない。
心の奥底に固い決意を秘め、誰にも気取られることなく、黙して「その時」に備える。そして、いざ「その時」がきたら、真の己を現し、力強く、真っ直ぐに、時にはしたたかに、あらゆる知恵を駆使して突き進む。この、とんでもない精神の強靭さと平衡感覚は、ホアン・カルロスならではのものなのか?あるいは、人間誰の心にも潜む力なのか?

●昔の7ペセタの切手
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近年は、体があっちこっち悪くなり、スキャンダル諸々もあり、支持率が著しく低下していた。
そして、突然の退位表明~abdicaciónである。やはり、寂しい。。。
今年3月には、ともに民主化を進めたスアレス元首相が亡くなっている。時の流れか。。。

「スペイン国王として、39年間の歩み」  


6月20日、新しい国王に息子のフェリーぺ6世が即位した。国民の支持率も高い。
スペインに幸あれ!!
さて、ホアン・カルロスは、どんなご隠居様になるのだろう?
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それにしてもYoutube…。即位式からクーデターの演説まで見られるなんて、びっくりです。


第23回リサイタル《スペイン浪漫》
2014年10月4日(土)午後2時@Hakuju Hall
ご来聴をお待ちしています。 詳しい情報はクリック↑↑060.gif
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by Megumi_Tani | 2014-06-21 23:56 | ビバ!エスパーニャ! | Comments(0)

泣かないで歌ってごらん♪   

昨年のリサイタル『愛しのバルセロナ』で共演した合唱団、コール・シャンティーの定期演奏会に出かけた。
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今回は、スペインのヴィクトリアのミサ曲、東日本大震災がテーマの「つぶてソング」、珍しいエストニアの合唱曲、そして「さだまさしの世界」というプログラム。美しく荘厳なヴィクトリアのミサ曲は、指揮の野本明裕先生とコール・シャンティーのライフワークともいえる作品だ。「つぶてソング」は、和合亮一氏の詩が放つメッセージがひしひしと伝わる熱演。エストニアの合唱曲は独特の哀切なメロディーとともに団員さんの民俗衣装が可愛い!そして「さだまさし」は、愉快に、しみじみと聞かせてくれた。

団の創立50周年、定演は47回目。皆さん、普段は仕事を終えてから夜に集まって練習する。あるいは、貴重な休日を使って合宿する。運営諸々、きっとご苦労も多いと思う。それでも、こうして続いている。いや、続けている。本当に素晴らしい。

コール・シャンティーの演奏会に行くと、いつも心がホッコリする。素朴に、一生懸命に、歌を愛する心がひしひしと伝わってくるのだ。あぁ、これが歌の原点だなぁ…と、しみじみ思う。真っ直ぐな心で歌いたいと改めて感じさせてくれる。私自身が合唱の出であることも関係しているかもしれない。
「夢のひと夜」  「二月の余韻」 

帰り道、ふと、メキシコ民謡「シェリト・リンド」の一節が心に浮かんだ。
Ay! ay! ay! ay! Canta y no llores! ~泣かないで歌ってごらん♪♪
歌とともに集う心、歌とともに寄り添う心。歌はいつも優しい。
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第23回リサイタル《スペイン浪漫》
2014年10月4日(土)午後2時@Hakuju Hall
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by Megumi_Tani | 2014-06-17 19:44 | Musica あれこれ | Comments(0)

共演ピアニストご紹介   

第23回リサイタル『スペイン浪漫』ピアニストは浦壁信二さん。  『インタビュー記事』
今回で三度目の共演です

安定した超絶テクニック、深く穏やかな音色、柔らかい抒情で歌うかと思うと、ここぞ!という場面では圧倒的なパワーを発揮する。いや、発揮する、というよりも、作品の核に、妥協なく、どこまでもどこまでも迫る。煽る演奏ではなく、内奥を見つめる演奏。浦壁さんが弾くラベルを聴いて、私のラベル感が変わりました。
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明日6月15日、大阪で、浦壁さんのコンサートがあります。関西方面の方、いかがですか?
『グレイスフル・ピアノコンサート』

あんなにスゴイ演奏をするのに、いつも飄々としている。このお人柄が、お客様にまた人気!
カタルーニャの歌曲から、グラナドス、ファリャ、アルベニスetc.の作品、ギターの名曲のヴォカリーズ版「わが心のアランフェス」「アルハンブラの想い出」、懐メロ歌謡「すみれの花売り娘」、お久しぶりの「エル・ビート」…。色とりどりのスペインを鮮やかに弾いていただきます。お楽しみに♪

第23回リサイタル《スペイン浪漫》
2014年10月4日(土)午後2時@Hakuju Hall
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by Megumi_Tani | 2014-06-14 20:31 | リサイタル | Comments(0)

浪漫の心   

『スペイン浪漫』さっそくチケットのお申し込みをいただいています。「白寿ホールでのリサイタルは、まさに秋を彩る恒例のステージとして楽しみにさせていただいております」「今年はいつかな?と、ご案内を待っていました」等々の嬉しいコメントもいただきました。ありがとうございます。

e0172134_21324530.jpgところで、この浪漫という言葉、西洋ロマンティシズムの
「ロマン」に、夏目漱石が漢字を当てたといわれています。浪漫…風情のある響きですね。漢字のもつ力を感じます。

スペインのロマンティシズムは、ただ甘くうっとりと優雅なものではありません。逃れえぬ現実の厳しさ、宿命を受け入れる凛々しさ、痛みゆえの喜び、諦観ゆえの熱い祈り…。そんな激しく強く、時に矛盾する様々な要素が陰影を成し、スペイン独自の世界を生み出しています。一筋縄ではいかないロマンティシズム、とでもいうのでしょうか。19世紀末から20世紀初頭にかけての日本では、大正浪漫の華が咲きました。その艶やかさ、奥に秘められた儚さは、スペインの心にどこか相通じるものがあります。この時代、スペインでは、アルベニス、グラナドス、ファリャら、重要な音楽家が活躍していました。スペイン浪漫…。粋と情熱と命をこめた、
スペインならではの浪漫を存分にお楽しみいただきたいと思います。

それにしても驚いたのは、夏目漱石とグラナドスが同じ年の生まれで、同じ年に亡くなっていることです(1867 / 慶応3~1916 / 大正5)。漱石は重度の胃潰瘍が命取りになり、グラナドスは、自作のオペラ『ゴイエスカス』のニューヨーク初演に立ち会い、その帰路で、乗った船がドイツ潜航艇の無差別攻撃を受け、夫人とともに英仏海峡の藻屑と消えました。こうして二人のお顔をしみじみと眺めていると、浪漫の時代がすぐそこに感じられるような気がします。

グラナドス「 嘆き または マハと夜鶯」~ゴィエスカスより



            第23回リサイタル《スペイン浪漫》
               2014年10月4日(土)午後2時@Hakuju Hall
            060.gifご来聴をお待ちしています。 詳しい情報はクリック↑↑
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by Megumi_Tani | 2014-06-08 21:55 | リサイタル | Comments(0)

第23回リサイタル『スペイン浪漫』   

19世紀末から20世紀初めの時代、スペインは、政治的にはかつての勢いを失っていたものの、その文化、芸術は独自の香りを放つ大輪の華を咲かせ、世界の憧憬を集めていました。グラナダを愛し、色鮮やかなスペインを鍵盤に描き続けたアルベニス、とびきりダンディな音の詩人グラナドス、情熱の高み、天に昇華する音楽を生涯追い求めたファリャ。街に流れるハバネラやクプレ、下町の人情の機微あふれるサルスエラ…。まさに百花繚乱。今日、私たちを魅了する“スペイン音楽”のエッセンスが、この時代にギュっと凝縮しています。

ほぼ時を同じくして、日本では、あでやかな大正浪漫の華が咲きました。“浪漫”の文字は、夏目漱石が考案したといわれています。漱石とグラナドス。浪漫の旗手、浪漫の申し子のような二人は、奇しくも同じ年に生まれ、同じ年にこの世を去りました。

美しくも儚く、哀しくも愛しい。そんな浪漫の心に、熱いリズムと粋の香りを添えて…。“スペインならではの浪漫”を存分にお楽しみください。皆様のお出かけを心よりお待ち申し上げております。

●日時:2014年10月4日(土)14:00開演(13:30開場)   
●会場:Hakujuホール  
●後援:スペイン大使館/セルバンテス文化センター東京/日本・カタルーニャ友好親善協会  
   日西翻訳通訳研究塾
●主催・企画 谷めぐみ
●お問合せ:テンプリント(鈴木)03-3263-7728
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★歌の「いのち」を知る人、谷めぐみ
 グラナドスほかの「芸術歌曲」から、「ラ・ビオレテーラ」などの「懐メロ流行歌」に至るまで、それぞれに魅力的なスペインの歌たち。今年もまた、それらに歌としての「いのち」を吹き込む術を心得た人、掛替えのないスペシャリスト、谷めぐみのリサイタルを味わえる。題して「スペイン浪漫」、スペイン語で言うとすれば「エスパーニャ・ロマンティカ」となるだろうか。たしかに、スペインの歌には、つねに微妙な「粋(いき)」のスパイスを混ぜ込んだロマンティシズムの甘美さ、優美さが行きわたっている。ただし、スペインのロマンティシズムは、たんに夢のような甘美さに浸るだけのことではない。そこには常に、リアリズムの裏打ちがあり、実人生の悲哀、苦痛、あるいは宿命感といったものが浸み込んでいる。そういった「裏のもの」までも、余さず歌に込め、味わわせてくれる人こそ、歌の「いのち」を知る谷めぐみなのである。 
                     音楽評論家・スペイン文化研究家 濱田滋郎

★第22回谷めぐみソプラノリサイタル≪愛しのバルセロナ≫評
『音楽の友』2013年8月号より抜粋
極上の歌声に浸った一日。前半での〈五月〉(トルドラ)の透明感ある響き、歌曲集《夢のたたかい》(モンポウ)での言葉の繊細な扱い、カザルスの〈鳥の歌〉(コール・シャンティーとの共演)での抑えた憂色の美学、ガルシア・モランテ編のカタルーニャ民謡で醸し出された哀感ある抒情性などどれも特筆すべきもの。グラナドス〈内気なマホ〉でのコケティッシュな表現力、〈ゴンドラの舟歌〉(アルベニス)の優美さ、モンサルバージェ〈黒人の子守歌〉での声の精妙な絞り方など傑出。浦壁信二のピアノも粒揃いのタッチが光り、〈パーニョ・ムルシアーノ〉(ニン)の飄々とした感など印象に深い。(6月1日・Hakuju Hall)                            
                                    岸 純信                         (『音楽の友』編集部の了解を得て掲載)

●プログラムにまつわるエピソードあれこれを、ブログに綴ってまいります。
 どうぞ折々、ご訪問ください。

      ♪ご来聴を心よりお待ち申し上げます♪
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by Megumi_Tani | 2014-06-02 15:05 | リサイタル | Comments(2)