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ファリャが書いた反戦の歌   

フィギュアスケート浅田真央選手の来季の曲がマヌエル・デ・ファリャ作曲「リチュアルダンス」と発表された。これは嬉しい。スペイン音楽で彼女が舞ってくれるとは!

「リチュアルダンス」は英語。オリジナルのスペイン語は「Danza ritual del fuego~火祭りの踊り」、1914年の作品『恋は魔術師』の中の1曲だ。ファリャ独特の研ぎ澄まされた情熱の世界を浅田選手がどのように表現するか!楽しみ。

その「リチュアルダンス」と同じ1914年に書かれたファリャの作品『わが子を腕に抱く母たちの祈り』を、9月リサイタルで歌う。

1914年は、第一次世界大戦が勃発した年だ。ヨーロッパは不穏な空気に包まれていた。この年、ピアノ版「ゴイエスカス」パリ初演を成功させたグラナドスは同作のオペラ化を依頼され、完成させる。しかし戦争の混乱から、いつまで待ってもパリ初演が実現しない。代わりに初演を引き受けてくれたニューヨークへ渡ることになった。ニューヨークで大成功を収め、栄誉と喜びに包まれて帰国する途中、ドイツ潜航艇の無差別攻撃に遭い、悲劇の最期を遂げた。歴史に「もしも」は無い。しかしそれでも思わずにはいられない。もしも戦争さえ起きていなければ…。

そんな時代の心を詠んだ曲がファリャの『わが子を腕に抱く母たちの祈り』だ。「私の腕で眠る可愛い坊やを兵隊にとらないでほしい、この子は私のすべてだから…」と母親が神様に切々と祈る。初めてこの歌詞を読んだとき、まさにスペイン歌曲版「君死にたまふことなかれ」だと思った。地味な曲だ。ほとんど誰も歌っていない。しかし2014年のリサイタルで歌った際、大きな反響をいただいた。

グラナドス没後100年の陰に隠れて?いるが、ファリャも今年、没後70年記念の年を迎えている。グラナドスを深く敬愛していたファリャ。そのファリャが書いた反戦の歌を、今年ふたたび、歌う。

第25回リサイタルスペイン浪漫Ⅱ~エンリケ・グラナドス没後100年に捧ぐ
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「リチュアルダンス~火祭りの踊り」


やはりこの動画は必見!必聴!「火祭りの踊り」⇒「鬼火の歌」
アントニオ・ガデス×クリスティーナ・オヨス×ロシオ・フラード

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by Megumi_Tani | 2016-06-30 00:30 | リサイタル | Comments(0)

ご案内『ADESSO』ライブ   

スペイン食文化のエキスパート、銀座、月島、市ヶ谷、門前仲町にお洒落なレストラン&バルを展開するスペインクラブからご案内が届きました。
スペインオペラ界実力派トリオ『ADESSO』がピアニストとともに来日。2日間のライブを行います。会場は月島スペインクラブ。スペシャルなステージをスペシャルなお料理とともにどうぞ!

7月10日(日)17時30分ライブ開始 / 7月14日(木)19時15分ライブ開始
ご予約お問合せ:03-3533-5381
詳細はこちらをどうぞ ⇒ 『ADESSO来日公演』

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by Megumi_Tani | 2016-06-29 21:51 | 音楽あれこれ | Comments(0)

マラッツ 『スペインのセレナータ』   

今回のリサイタルのテーマは二つ。第一次世界大戦に巻き込まれ、悲劇の最期を遂げたエンリケ・グラナドス没後100年への哀歌、そして彼を取り巻く郷友たちとの絆の物語だ。

グラナドス、アルベニス、ファリャ、カザルス、トゥリーナ、マラッツ、ニン…etc。この時代のスペイン音楽界は、まさに百花繚乱。艶やかな大輪の華が咲き乱れている。そして嬉しいことに、彼らはとても仲が良い。故国スペインの音楽を愛し、よき友、よきライバルとして、互いの才能を認め、讃え、切磋琢磨して、各々独自の芸術を創りだした。先日カザルス『さようなら…!』でご紹介したように、彼らは音楽のみならず、プライベートでも親交が深い。

グラナドスのそんな郷友のひとりが、ホアキン・マラッツだ。グラナドスとマラッツは5歳違い。ともにパリで修業を積んだ。熱心にレッスンに励むかたわら、時にはカフェで画家や詩人たちと語り合い、時には当時大流行の二人乗り自転車!を乗り回し…。若い二人は、芸術の都パリを謳歌したという。

マラッツ作曲『スペインのセレナータ』タイトルはご存じなくても、音を聞けば、そういえばどこかで耳にしたような…と、記憶をたどられる方が多いのではないだろうか。オリジナルはピアノ曲だが、後に、あの『アルハンブラの想い出』で名高いタレガによって編曲され、すっかりギター曲として定着した。ところが何と!この作品はは歌曲にも姿を変えていた。情緒たっぷりの風情に魅せられた詩人が、歌詞をはめ込んだのだろう。歌い手としては嬉しい限り!カザルスの『さようなら…!』同様、こちらもほとんど演奏されない作品だが、グラナドスとマラッツ、若き二人の青春の日々に思いを馳せ、思いっ切り“スペイン風に”歌ってみたい。

第25回リサイタルスペイン浪漫Ⅱ~エンリケ・グラナドス没後100年に捧ぐ
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貴重な音源!!マラッツ本人が弾く『スペインのセレナータ』


セゴビアが弾くギター版

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by Megumi_Tani | 2016-06-24 22:11 | リサイタル | Comments(0)

【ぴあクラシック】2016夏号掲載   

第25回リサイタル『スペイン浪漫Ⅱ』が、【ぴあクラシック】2016夏号に紹介されました。オペラ研究家、岸純信先生がコメントを寄せてくださっています。オールカラー、お役立ち情報満載のフリーペーパー。チケットぴあ店舗、タワーレコード、新星堂、山野楽器、ヤマハ、HMV、各音楽大学で手に入ります。拙リサイタルの記事はP.27

詳細は、HPをどうぞ。
第25回リサイタルスペイン浪漫Ⅱ~エンリケ・グラナドス没後100年に捧ぐ

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by Megumi_Tani | 2016-06-18 21:03 | リサイタル | Comments(0)

6月講座《魅惑のスペイン歌曲 Ⅱ》   

セルバンテス文化センターでのセミナー《魅惑のスペイン歌曲》第2回目が終了しました。
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前半は、今年没後100年を迎えた作曲家、エンリケ・グラナドスの生涯を一気にたどり、後半は、スペインが生んだDiva、Divoをご紹介。彼らのお人柄とともに名唱を楽しみました。グラナドス、アルベニス、カザルスら音楽仲間の友情、歌い手達の心温まる交流に、いつも胸打たれます。音楽だ、芸術だ、と言っても、その根底にあるのは、人としての在り方、魂そのものだと教えられます。

受講生の皆さん、とても熱心に視て、聴いて、最後には、ご質問、ご希望も寄せられました。
またご一緒する機会があるといいですね。

今日の講座でご紹介したYoutubeです。
昔風の粋な歌曲集」「愛の歌曲集」「嘆き、またはマハと夜鶯」「恋するマハのセギディーリャ
テ・キエロ・モレーナ」「ホセ・カレラスを迎える仲間達」「7つの民謡より」「
ベルガンサ&ドミンゴのカルメン」「ベルガンサのスピーチ

大好評をいただいているスペイン語の歌のクラス。春期最後の7月は「ラ・パロマを歌おう!」
詳しくはこちらをどうぞ ⇒ スペイン語の歌のクラス@セルバンテス文化センター

本日の締め、です。
5年前の春、外国人演奏家の来日公演キャンセルが相次ぐなか、ドミンゴが「予定通り」やって来てくれました。あの時ほどスペインを誇らしく思ったことはありません。
ありがとう!Domingo再び」 「ありがとう!ドミンゴ 再び


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by Megumi_Tani | 2016-06-18 00:47 | 講座/セミナー | Comments(0)

カザルス作曲『さようなら…!』   

1916年3月11日。ニューヨークの港には、帰国するグラナドス夫妻を見送りに、カザルス、クライスラー、パデレフスキーら大勢の音楽家が集まっていた。

1月26日、メトロポリタン歌劇場で初演されたグラナドス作曲『ゴイエスカス』は大成功を収めた。憧れのゴヤの世界を音で描いたオペラ、ヨーロッパの浪漫、暗い宿命と粋な風情に彩られたマハとマホの恋物語がニューヨークで受け入れられたのだ。世に思われがちな「スペイン」とはおよそ趣きを異にする音楽。期待外れと批判される危惧もあった。しかし、音楽とは己の内奥から湧き上がるもの。その信念のもと、自身の最高傑作と確信した『ゴイエスカス』が人々に支持されたのだ。グラナドスは幸福だった。

彼の名声はいやがうえにも高まり、急きょホワイトハウスに招かれることが決まった。帰国の船はすでに予約してあったが、グラナドスはやむなく帰国を延期、予定の船をキャンセルした。

そんな思いもがけない慶事も含め、数々の祝賀レセプションや仕事を終えて、今やっと船に乗り込もうとしている。バルセロナを出発したのは前年の暮れだ。クリスマスも東方の三博士の日も留守だった。幼い子ども達は両親の帰りを首を長くして待っているに違いない。「今、英仏海峡を渡るのは危険だ」と忠告してくれる人もあったが、もうこれ以上、帰国を延ばす気にはなれなかった。

港に集まった仲間たちと挨拶を交わす。ニューヨークでのグラナドスの成功を、皆、我が事のように喜んでくれている。なかでも郷友、カザルスは格別だ。彼はメトロポリタン歌劇場でのリハーサルから本番まで、助手として、友として、ずっとグラナドスの傍らにいた。「次はバルセロナで会おう!」故郷での再会を約束する二人。鳴り響くドラ、ゆっくりと港を出る船、互いに大きく手を振りあうグラナドスと友人達…。

1916年3月11日。ニューヨークの港で繰り広げられたであろう光景が、あたかもこの目で見たかのようにくっきりと心に浮かぶ。グラナドスの訃報を知ったカザルスは、『ゴイエスカス』が大成功を収めた、その同じメトロポリタン歌劇場で、グラナドスの遺児達のためのチャリティーコンサートを企画。賛同する多くの音楽家が駆けつけた。照明が落とされた舞台、ピアノの上の燭台にロウソクが灯され、パデレフスキーがショパンの「葬送行進曲」を捧げたという。

リサイタル『スペイン浪漫Ⅱ』で、カザルス作曲『さようなら…!』を歌う。この悲劇が起きるずっと前、カザルス20歳の作品だが、あまりにもダイレクトな、このタイトルに胸を衝かれた。20歳といえば、ちょうどカザルスとグラナドスが出会った頃だろうか。

どうやら日本初演である。日本のスペイン音楽の父、濱田滋郎先生もご存じなかった。何でもあり?のYoutubeにも見当たらない。ひっそり楽譜に埋もれた曲ならば、グラナドス没後100年の今年、郷友二人の厚き友情に憧憬を捧げ、歌ってみたい。

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スペイン浪漫Ⅱ~エンリケ・グラナドス没後100年に捧ぐ

グラナドス最後の作品 『間奏曲~ゴイエスカスより』

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by Megumi_Tani | 2016-06-11 23:06 | リサイタル | Comments(0)

6月講座《魅惑のスペイン歌曲Ⅰ》   

セルバンテス文化センターでの6月講座《魅惑のスペイン歌曲》第1回目が終了しました。
PCのささやかな?アクシデントに見舞われるも、スタッフの方や偶然!通りがかった先生に助けられ、無事進行。中世から現代に至るまでの深くて幅広いスペイン歌曲の魅力を、やや駆け足ながら、Youtube満載でお楽しみいただきました。

受講生さんのおひとりが、さっそく素敵なレポートを寄せてくださいました。

『Ayer aprendi "Los encantos de las canciones espanolas 1 " Me encanta!!!
昨夜のセルバンテス文化センター、谷めぐみ先生のワークショップ「魅惑のスペイン歌曲1」は、先生のわかりやすいお話と、ご用意くださった年表、沢山のYOUTOBE映像を聴きながら(見ながら)の内容で、とっても楽しかったです。モンセラートの朱い本、聖母マリアのカンティガ集、ウプサラの歌曲集、サルスエラの誕生と衰退、トナディーリャの誕生と衰退、「La Paloma」のイラディエール、サルスエラの復活。そして、スペイン三大作曲家のアルベニス、グラナドス、ファリャ、彼らを育てたペドレル。そして、モンポウ、ロドリーゴ。受講生8名は、もう、すっかりスペイン歌曲の虜…。そして最後は下記映像。80年代、キャスリーン・バトルが歌い、ニッカウイスキーのCMで有名になった「De los Alamos Vengo Madre (ポプラの並木に行ってきた)」で終了。やすおんで、以前歌った曲です。あっという間の90分、2週間後の次回も楽しみです。めぐみ先生、ありがとうございました!』



こちらこそ、ご受講ありがとうございます♫
皆さん、とても熱心です。こうしてスペイン歌曲に親しんでくださる方が増えることは、何よりの喜びです。

第2回目講座は6月17日(金)午後7時~。今年没後100年を迎えたグラナドスの生涯、そして、スペインが生んだ豪華絢爛、キラ星のような声楽家たちをご紹介させていただきます。
スペイン語の歌のクラス』 
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by Megumi_Tani | 2016-06-04 22:36 | 講座/セミナー | Comments(0)