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トゥリーナ 『歌』   

スペイン浪漫Ⅱ』に登場する作曲家、作品について、思いつくままに綴って来た。今日は最後のひとり、ホアキン・トゥリーナをご紹介する。

トゥリーナはセビーリャの生まれ。裕福な家庭に育ち、音楽の才能に恵まれた彼は、20歳の頃、同門のマヌエル・デ・ファリャと親しくなる。やがてパリで学ぶようになった二人は、ひとつ屋根の下で暮らし、修業に励んだ。一台のピアノを一緒に使っていたというから、何とも微笑ましい。パリで出会った先輩アルベニスの助言を受け、トゥリーナは、故郷セビーリャに根差した音楽を書くことに己の音楽人生を捧げる決意をする。一緒に演奏会を開いたり、プライベートでも親しく行き来するなど、ファリャとの友情は長く続いた。謹厳実直、求道者のようなファリャに対して、トゥリーナは、いかにも粋でお洒落なセビーリャ紳士の風情。一見真逆のタイプのような二人が仲良しだったということがまた興味深い。

そんなトゥリーナの歌曲作品のひとつ『歌』を、3ステージで演奏する。紙きれの端に火を付ければ、じわじわと、やがてメラメラと燃え上がる、そんな炎のような歌だ。炎に定まった形が無いように、この曲は、演奏者によって、いかようにも姿を変える。ハッと気づけば、演奏者の方が焼け焦げ寸前?のような、そら恐ろしい曲でもある。わずか2分の小品ながら、情熱を一瞬の炎に昇華させた、トゥリーナならではの名曲だ。

第25回リサイタルスペイン浪漫Ⅱ~エンリケ・グラナドス没後100年に捧ぐ
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トゥリーナ、こんな方です。


初々しい


名テノール


甘い


貫録

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by Megumi_Tani | 2016-08-31 00:41 | リサイタル | Comments(0)

アルベニス 『舟歌』   

ある時、突然「出会う」演奏がある。一瞬で心の奥に届き、深く刻まれ、その鮮明な記憶は消えることがない。何かの時、何かの原点になり、何かを示してくれる。

初めてその経験をしたのは、マリア・カラスのリュウを聴いた時だ。学生時代は、何だかそら恐ろしい声のような気がして、マリア・カラスが苦手だった。卒業後、たまたま出かけたレコード屋の輸入盤フェアで、彼女のLP『隠れた名アリア集』に遭遇。ふと気が向いて購入した。帰宅後、プレーヤーに針を下し、リュウのアリアが聴こえて来た時の衝撃。まるで雷に打たれたような、と書けば、いかにも大袈裟だが、まさにそんな感じだった。マリア・カラスはすごい…。私の中のマリア・カラス観は一聴でひっくり返ってしまった。



こういう時、そのひっくり返った理由を言葉で表現するのは難しい。言葉を越えた何かが魂に働きかけてくれた、とでもいうのだろうか。あたかも天からもたらされた滴のように…。

次に思い浮かぶのが、アルベニスの『舟歌』だ。30年前の夏、私はバルセロナ市から招聘を受け、音楽祭グレックに出演、師マヌエル・ガルシア・モランテの伴奏でリサイタルを開いた。本番が無事終了。数日後、ビクトリア・デ・ロス・アンへレスと師の演奏会を聴きに、アルベニス生誕の町、カンプロドンへ出かけることになった。急なことで、ホテルは満室。従業員用の部屋を無理矢理空けてもらい、泊まった記憶がある。

弟子特権?でリハーサルからずっと聴かせてもらった。ビクトリアの歌と師のピアノ、二人の信頼から生まれる音楽。えもいわれぬ美しい時間だった。そこで、アルベニス『舟歌』を初めて聴いた。何と穏やかな、何と優しい響き…。それから十年以上が過ぎて、偶然日本でその楽譜に遭遇した時の喜び!その後また様々なプロセスを経て、初めてリサイタルで演奏した時の嬉しさ!この曲を歌えば、いつも、あのカンプロドンが蘇る。
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「9月のリサイタルで『舟歌』を歌います。三十年前にカンプロドンで聴いた二人の演奏が今も心に深く刻まれています」と、師にメッセージを送った。「そんなに時間が流れたとは信じられないね。大成功を祈っているよ」と返信が届いた。音楽は時空を越えている。

『舟歌』も、ほとんど誰も歌わない曲。同じアルベニスの『カディス』といい、マラッツ『スペインのセレナータ』といい、カザルス『さようなら…!』といい、今年のプログラムには珍しい曲が多い。マニアック?いえいえ、隠れた名曲ばかりです。お楽しみに!

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カタルーニャ音楽堂での二人の演奏会 1分20秒あたりから『舟歌』です。

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by Megumi_Tani | 2016-08-28 23:02 | リサイタル | Comments(0)

アルベニス 『カディス』   

幼い頃からスーパー・ピアニストとして世界を股にかけて活躍したアルベニス。後年は、スペインを代表する作曲家として、色彩感豊かな魅力溢れる作品を数多く発表した。故国の音楽を愛し、その発展を願い、郷友、後輩達への助言、援助を惜しまず、当時のスペインの音楽家達の兄貴分のような存在だった。晩年、重い病に罹った折は、グラナドス、カザルスら、彼を慕う“弟分たち”が南仏の保養地へ見舞いに訪れている。奇しくもグラナドスと同じ48歳でこの世を去った。

アルベニスの作品は圧倒的にピアノ曲が多い。おそらく日本で最も有名な「グラナダ」もオリジナルはピアノ曲だ。しかしこの魅惑の旋律をピアノだけに独占させるのはもったいない!?とばかりに、ギター編曲版が登場。そして後に、歌詞がはめ込まれ、歌曲にまでなった。今回リサイタルで歌う『カディス』も同様だ。オリジナルのピアノ曲がギター曲にも歌曲にも姿を変えた。後付けの歌詞では、魅力的なカディス娘への熱い恋心が歌われている。独特のゆったり弾むリズムが何とも心地よい。

時にスリルに満ち、時に熱く心煽るスペイン音楽のなかで、アルベニスの音楽が鳴るとホッとする。信頼に満ちた明るさ、豊かで穏やかなロマンティシズム…。善良で太っ腹、人情に厚く、皆に慕われたというお人柄が偲ばれる。

ピアノ版『カディス』


のどかな映像とともに…ギター版『カディス』


グラナドス『スペイン舞曲第5番アンダルーサ』、マラッツ『スペインのセレナータ』、そしてアルベニス『カディス』と、今回はアレンジものが盛り沢山だ。こうして自由にジャンルを行き来する作品が多いことも、スペイン物の魅力のひとつかもしれない。とはいえ、歌曲版『スペインのセレナータ』『カディス』は、ほとんど演奏される機会がありません。どうぞお聴き逃しなく。

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by Megumi_Tani | 2016-08-25 22:23 | リサイタル | Comments(0)

HP リニューアル   

台風9号が東京を直撃した。朝から夕方まで、ちょうど人が活動する時間帯に暴風雨が通過。大木が倒れて山手線まで止まってしまった。これから台風は北へ向かう。東北、北海道で、どうぞ大きな被害が出ませんように。

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今日オリンピックが閉会式を迎えたリオ・デ・ジャネイロも雨だった様子。これからまた大変なんだろうな、と、思うけれど、とにかく無事に終わってよかった。

ブラジルを代表する作曲家、ヴィラ・ロボス『ブラジル風バッハ第5番』

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by Megumi_Tani | 2016-08-22 22:24 | リサイタル | Comments(0)

2016年夏に思うこと   

今年は9月19日にリサイタル『スペイン浪漫Ⅱ』が控えているため、夏休み返上。リオ・オリンピックを横目に見ながら、日々諸々に追われている。今日午前中の女子卓球団体戦は残念だった。激戦の末、二勝二敗で迎えた第5戦。本当にギリギリの最後の場面で不運のエッジボール。愛ちゃんがしばしコートに立ちつくしていた…。今大会、彼女の戦いぶり、そしてお姉さんぶりが何ともいい。明後日の三位決定戦、頑張れ三選手!

卓球にはちょっぴり思い入れがある。中学の時、夢中になっていた。地方予選を勝ち抜き、全北海道大会まで勝ち進んだっけ。得意技は、魔球サーブ!(笑)懐かしいなぁ。
秘かに保存してあった当時のラケット今はほとんど使われないペンホルダーです。
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それにしても、どの選手も試合直後のインタビューに皆、堂々と、立派なコメントをする。インタビューアーのかなり無知&無礼&無神経&不躾な質問にも、めげず、負けず、答えている。周囲への感謝あり、自己分析あり、先への抱負あり…。この応対も任務と教えられ、鍛えられ、割り切っているのだろうか?そういえば、今回のオリンピックでは、これまでより「逆転」が多いような気がする。諦めない、引っくり返す、精神力。年月の流れのなかで、選手のメンタルの在り様も変化しているのかもしれない。

メンタルの在り様の変化、これが、よき方向に発揮されることを願う。今日8月15日。私は戦争をまったく知らない世代だが、そんな私でも、昨今は何か嫌な気配を感じている。

あの「前畑ガンバレ!」で有名なベルリン・オリンピックは、一度は1916年に開催が決まっていたが、第一次世界大戦のために中止になり、1936年に改めて開かれたものだった。

この1916年という年は、グラナドスが亡くなった年だ。第一次世界大戦さえなければ、彼のオペラ『ゴイエスカス』は、パリで初演されるはずだった。戦時下のヨーロッパではオペラどころではなく、その事情を知ったニューヨーク・メトロポリタン歌劇場が初演を引き受けてくれたのだ。初演に立ち会うため、大嫌いな船に乗ってアメリカへ渡ったグラナドス。しかし帰路の船がドイツ潜航艇の無差別攻撃を受け、命を落とした。ロマンティストとしての個性が語られることの多いグラナドスだが、世界史の視点から考えれば、明らかに戦争の犠牲者だ。

仕切り直しとなった1936年ベルリン・オリンピックの陰に、バルセロナで計画され、直前に中止された幻のオリンピックがあったことは、日本ではあまり知られていない。前夜祭に演奏する「第九」のリハーサル中だったカザルスは、オリンピック急きょ中止の報を受け、「次にまたいつ会えるか分からない。最後まで通して別れよう」と、あの有名な合唱付きの四楽章までを全員で演奏したという。信念の人、反骨の人、カザルス。しかし彼の歌曲作品からは、時に、超ロマンティスト・グラナドスをも上回るほどの?メランコリックかつロマンティックな性格が垣間見える。リサイタルで歌う「さようなら…!」の音を初めて出した時は、その切なさ、やるせなさに、驚いた。強靱な精神の持ち主は、一方で、繊細で感じやすい心の持ち主でもあったことを伝えてくれる。

個人のレベルでも一旦何かが起きれば、オリンピック観戦どころではない。ましてや、個人の力ではどうしようもない何かが起きた時には…。こうして、朝から晩までオリンピック、オリンピックと騒ぐことが許される、その平和の尊さを知らなければ、と、思う。

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これはお宝!カザルスが奏でるグラナドス「スペイン舞曲第5番アンダルーサ」

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by Megumi_Tani | 2016-08-15 21:25 | リサイタル | Comments(0)

ロルカ『4人のラバひき』   

今春4月、スペイン料理研究家渡辺万里さんが主宰されるスペイン料理文化アカデミーで開かれた「川成洋氏特別講演会」に参加した。スペインに関する数々の著書で名高い川成洋先生が、スペイン内戦をテーマに、複雑な歴史、内戦の背景、隠れたエピソード等々を熱く語ってくださった。講演終了後は、美味しいワインと特製タパスの時間。あれこれお話させていただきながら、先生ご自身が蒐集された内戦当時の貴重な資料を見せていただく。書籍あり、画集あり、レコードあり…。
ふと見ると、歌の本らしきものがある。「Canciones de guerra~戦いの歌」

同じく講演会に参加されていたSherry Museum館長中瀬航也さんが写真を提供してくださいました。
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Madrid 1937-1938 の文字がリアルだ。ページをめくってみる。歌集だ。ひとつの旋律にスペイン語、英語、ドイツ語etc、いくつもの言語で歌詞が付けられ、当時の内戦の在り様をうかがわせる。世界中から集まった兵士達が、この歌集を手に歌ったのだろうか…。あれこれ思いを馳せながら、1曲、1曲、眺めていくと…びっくり!「De los cuatro muleros」の替え歌を見つけた。「De los cuatro muleros~4人のラバひき」が「 Los cuatro generales~4人の将軍たち」に姿を変え、語呂のいいスペイン語とドイツ語の歌詞が付いている。なるほど。兵士たちは、こうして誰でも知っている民謡や巷の歌の歌詞だけを変えて、時に声を合わせ、時にひとり口ずさみ、歌っていたのだ。
目の前の資料が伝えている事実を皆さんにお知らせしなければ…。急に歌い手としての使命感?が湧き上がり、即席で、「 Los cuatro generales~4人の将軍たち」を歌わせていただいた。

こちらは、同じく講演会に参加されていた中京大学教授木越勉先生が撮影してくださいました。
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それにしても、今日ここでこの歌に出会うとは…。
今年はグラナドス没後100年記念の年だが、そのグラナドスを深く敬愛していた後輩ファリャも没後70年、そのファリャと年齢差を越えた友情で結ばれていたロルカも没後80年、各々記念の年を迎えている。9月リサイタルでは、平和への祈りを込めて、ファリャの「わが子を腕に抱く母たちの祈り」を、そして久しぶりに、ロルカ採譜の古謡を歌うことにした。全13曲の中から数曲を選ぶにあたり、どういうものか、「De los cuatro muleros~4人のラバひき」が心に留まった。単純素朴の極みのような曲で、もしかすると、これまで本番で歌ったことがないかもしれない。候補になりそうな曲は他にもあるのだが、これを歌おう、と、なぜか思う。その閃き?第六感?に素直に従い、プログラムに入れることを決めた。それがつい半月ほど前のことだ。まさか今日、この替え歌にめぐり合うなんて!川成先生、貴重な歌集をありがとうございました。

ロルカ採譜の古謡集をピアノ伴奏で歌うのは久しぶり。最後に歌ったのは、20年以上前かもしれない。素朴な音の中に、色濃い情念が、ときに重く、ときに軽快に弾ける4曲。グラナドスの洗練された歌曲と一緒にプログラミングするのは、なかなか勇気が要ります(笑)。「De los cuatro muleros~4人のラバひき」コンパクトな歌です。すぐ終わります。皆様、どうぞお聴き逃しなく。

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by Megumi_Tani | 2016-08-04 23:59 | リサイタル | Comments(0)

ピアニスト浦壁信二さんご紹介   

9月19日(祝)開催、第25回リサイタル『スペイン浪漫Ⅱ~エンリケ・グラナドス没後100年に捧ぐ』共演ピアニストは、浦壁信二さん。早いもので、浦壁さんとのコンビも5回目になる。

確固たるテクニック、深く柔らかい音色、繊細なタッチ等々、ピアニストとして一流の腕前はもちろん、共演者としての感性~作曲者の意図、ソリストの意思をキャッチし、共に音楽を創る~が素晴らしい。これだけ弾ける人なのに、どうだ!的な感性がない。いつも自然体。飄々としている。それでいて、ソリストを察し、しっかり支えてくれる。共演した多くの音楽家から信頼を集めていることも、なるほど、だ。『浦壁信二インタビュー』

オペラ研究家、岸純信先生が、2013年開催第22回リサイタル『愛しのバルセロナ』への批評の中で、彼のピアノに触れてくださった。

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第22回谷めぐみソプラノリサイタル≪愛しのバルセロナ≫評                                 『音楽の友』2013年8月号より抜粋
極上の歌声に浸った一日。前半での〈五月〉(トルドラ)の透明感ある響き、歌曲集《夢のたたかい》(モンポウ)での言葉の繊細な扱い、カザルスの〈鳥の歌〉(コール・シャンティーとの共演)での抑えた憂色の美学、ガルシア・モランテ編のカタルーニャ民謡で醸し出された哀感ある抒情性などどれも特筆すべきもの。グラナドス〈内気なマホ〉でのコケティッシュな表現力、〈ゴンドラの舟歌〉(アルベニス)の優美さ、モンサルバージェ〈黒人の子守歌〉での声の精妙な絞り方など傑出。浦壁信二のピアノも粒揃いのタッチが光り、〈パーニョ・ムルシアーノ〉(ニン)の飄々とした感など印象に深い。 (6月1日 Hakuju Hall)
                                      岸 純信
                             (『音楽の友』編集部の了解を得て掲載)

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本番の成否の鍵は、ある意味、共演者が握っている。歌い手は、乗せられれば、百万倍上手に歌います(笑)

ビクトリア・デ・ロス・アンへレスと師マヌエル・ガルシア・モランテのコンビが無言のうちに教えてくれた、伴奏、ではなく、共演の心、共演の舞台。今年も静かにチャレンジしてみたい。

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by Megumi_Tani | 2016-08-03 12:37 | リサイタル | Comments(0)

『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』   

2014年に突然逝ってしまったパコ・デ・ルシア。
『魂の絵を描く~パコ・デ・ルシア』   『パコ・デ・ルシア没後一年』

『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』は、天才パコの生きた軌跡を、本人はじめ多くの関係者へのインタビューと貴重なフィルムでたどるドキュメンタリー映画だ。監督が実の息子さんとのこと。いつか訪れる日を想定して、インタビューを撮りためていたのだろうか。マジョルカの家でのインタビューでのパコのリラックスした表情が印象深い。次々と登場するレジェンド達、超絶技巧によるパフォーマンス、もちろんそれだけでも楽しめるが、この映画の核はそこにはない。探求、挑戦、渇き、繊細、緻密、苦悩、内気、不安、怯え、狂気、歓喜、そして孤独、どこまでも孤独…。「彼の演奏のように、彼の死も即興だった」締めのナレーションが胸に落ちた。時々、この世から突然、姿を消す巨人がいる。彼もそんな人間のひとりだったのかもしれない。
映画『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』公式サイト

目下、猛烈に忙しいのに、突然ぽっかり時間が空いた。ならば、と、大急ぎで劇場へ。なにしろ私のパコ・フアン歴は、スペイン歌曲より長い(笑) 神様は時々、粋なお計らいをしてくださる。

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by Megumi_Tani | 2016-08-02 00:27 | スペイン音楽 | Comments(0)