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ファリャ前、ファリャ後   

スペインの三大作曲家、アルベニス、グラナドス、ファリャ。三人揃って、キャリアの始まりはスーパーピアニストだが、作曲家として為した仕事には違いがある。作品のほとんどがピアノ曲だったアルベニスに対し、グラナドスは、やはりピアノ曲中心ではあるものの、歌曲集『トナディーリャス』『アマトリアス』、遺作オペラ『ゴイエスカス』等、声楽のジャンルにも名作を残した。ファリャになると、ピアノ曲はもちろん、歌曲、オペラ、バレエ音楽、室内楽等々、オーケストラや舞踊を駆使した作品を手掛け、その音楽世界はより多彩に、より高次に広がった。ファリャで一つの頂点を極めたスペイン音楽は、その後、試行錯誤を繰り返しつつ、様々な方向に枝分かれする。

録音、録画に関しても、ちょうど技術の端境期だったことが分かる。幸いなことに、三人とも本人の演奏が残されているが、長兄アルベニスと次兄グラナドスには動画が見当たらない。三男坊ファリャは動く姿をちらっと見ることが出来るが、演奏中の動画はやはり見当たらない。ところが、ファリャとも深い交流があり、『恋は魔術師』ピアノ版を得意としたルービンシュタイン(1887~1982)になると、演奏中の動画が一気に増える。ちょうどファリャ前後の数年が変わり目だったのだ。ファリャがもうほんの少し長生きしていれば、私達は、彼の生真面目な?指揮ぶりにお目にかかることが出来たのかもしれない。

●本人の演奏です。お宝!
アルベニス


グラナドス


ファリャ


★11月4日&18日開催のセミナー『魅惑のスペイン歌曲Ⅱ』
テーマはファリャ。音と映像たっぷりで、ファリャの世界をお楽しみいただきます。
詳細、お申し込みはこちら ⇒ 『スペイン語の歌のクラス』

ルービンシュタインが弾く、ファリャ『恋は魔術師』


『恋は魔術師』といえば、やはりこれ!なぜかポルトガル語の字幕入り(^^;;

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by Megumi_Tani | 2016-10-30 23:21 | スペイン歌曲 | Comments(0)

苦労人?ファリャ   

「グラナドスのほうが熱狂的なファンがいますよね!」先日のブログを読まれた方からメッセージが届いた。ウ~ン、たしかに。。。

グラナドスは、数々のロマンティックな作品群とともに、やはりそのドラマティックな人生が深く印象に残る。名ピアニスト、名作曲家、国際的名声、栄光の頂点、第一次世界大戦、予期せぬ悲劇の最期…。人生そのものがまるで一編の映画のようだ。残された写真を見ると、お洒落でダンディ、なかなかのイケメンである。

一方、生真面目に、ひたすらに、音楽の高みを追求し続けたファリャの人生は、いささか映画には不向きかもしれない。グラナドス同様に、ある意味では長生きした分、グラナドス以上に国際的名声を得たが、ファリャの生きる姿勢は終生変わらなかった。謹厳実直、寡黙、律儀、いつも黒づくめの服。地味、派手、で言えば、地味?いや、しかし、その一見地味なファリャの音楽におけるエネルギーの爆発ときたら!尋常ではない。熱さ、濃密さ、鋭敏さ、華やかさ、骨太さ、そして緻密さ…。先輩アルベニスもグラナドスも達しえなかった境地を、ファリャは見据えていた。第一次世界大戦、スペイン内戦、第二次世界大戦に翻弄され、遠いアルゼンチンで最期を迎えている。

己に厳しく、先輩やお世話になった人への感謝を決して忘れなかったファリャ。「グラナドスのほうがファンが多いのですが…」もしも、こんな問いを投げかけたら、きっと答えるに違いない。「当然です。敬愛してやまないマエストロ・グラナドス。彼ほど素晴らしい音楽家はいません。私など足元にも及ばないのです」と。こういう方は気苦労が多い。なかなか自らがスター★になれないタイプだ。まだダメだ、まだ足りない、と、自分を責め続けてしまう。生きるのが辛かっただろうな。。。

★11月4日&18日開催のセミナー『魅惑のスペイン歌曲Ⅱ』、テーマはファリャです。
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by Megumi_Tani | 2016-10-28 00:23 | スペイン歌曲 | Comments(0)

ファリャとベティカ   

「歴史」が好きだ。下手なドラマよりずっと面白い。しかし、どちらかというと、好みは日本史。世界史は敬遠しがちだった。ところが何の因果か、スペイン歌曲を歌う身となり、スペインとスペインに関わりのある国々の歴史に無縁ではいられなくなった。知り始めると面白い。それどころか、日西翻訳通訳研究塾で二年に亘って学んだ『スペイン現代史』の興味深かったこと!「奇跡の国スペイン」をあらためて実感した。

この秋から始まった『スペインしませんか?(史ma専科?)』は、古代から現代までのスペイン史を一気に駆け抜けようという意欲的な講座。その第2回の講義が終了した。ローマ帝国の侵入、繁栄、分裂、西ゴート時代、そしてイスラムの侵入、三つの宗教の共存共栄…。かの天才シルヤブが登場したイスラムの時代は、音楽史的にも非常に興味深い。

紀元3世紀、イベリア半島は6つの地域に分割され、その中のひとつ、現在のアンダルシア辺りを「ベティカ」と呼んだ。マヌエル・デ・ファリャの作品の中に『ファンタシア・ベティカ』というピアノ曲がある。ベティカ、すなわち、ローマ時代のアンダルシアに思いを馳せて書かれた作品だ。

『はかなき人生』『恋は魔術師』で、アンダルシア音楽の頂点を極めたファリャだが、彼はそれで満足しなかった。より昇華されたスペイン音楽、より純化された音楽そのものを追求し続ける。ちょうどその曲がり角の時期に書かれたのが『ファンタシア・ベティカ』だ。テクニック的にも理解するにも難しい曲ということで、なかなか演奏されないらしい。

ファリャという人は、何事も純粋に突き詰めて、突き詰めて、突き詰める。時には突き詰め過ぎて、壊れてしまう。しかし、その異常なまでの突き詰めから、ファリャ独自の高次に熱く純粋な音楽が生まれた。アルベニス、グラナドス、と来て、ファリャで一つの時代の終わり=始まりの時期を迎えたことがよく分かる。

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ファンタシア・ベティカ(アンダルシア幻想曲)

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by Megumi_Tani | 2016-10-25 23:45 | スペイン歌曲 | Comments(0)

『音楽の友』コンサート・レビュー   

9月19日開催、第25回リサイタル『スペイン浪漫Ⅱ~エンリケ・グラナドス没後100年に捧ぐ』から、今日でちょうど1ヶ月。『音楽の友』11月号に、素敵なリサイタル評が掲載されました。
ただ今、発売中。『音楽の友』11月号 もちろん本屋さんにもあります。ぜひご一読ください。
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by Megumi_Tani | 2016-10-19 22:31 | リサイタル | Comments(0)

人ありて歌   

子どもの頃から世界各地を放浪、己のピアノの腕一本で稼ぎ歩き、長じては豪放磊落、仲間や同郷の後輩を惜しみなく援助したイサーク・アルベニス。天才ピアニスト、天才作曲家として浪漫の時代の寵児となり、後輩の指導にも尽力したエンリケ・グラナドス。謹厳実直、生涯をかけてスペイン音楽の高みを追求したマヌエル・デ・ファリャ。スペインを代表する作曲家達の人生をたどると、とても興味深い。

若き日、グラナドスは家計を助け、留学費用を貯えるためにバーやキャバレーで酔客相手にピアノを弾いた。ファリャも生活のために、レッスンはもとより夜会の伴奏、巡業ピアニスト、カタログの翻訳までこなした。彼は「音の苦情」にも悩まされ、何度も引っ越しを余儀なくされている。

今でこそ「スペインを代表する作曲家」と呼ばれる彼らだが、アルベニスは生前、故国から何の栄誉も与えられなかった。ファリャの作品は国外での高い評価に較べて国内で演奏される機会が少なかった。そして哀しくも、三人そろって故国スペインの外で最期の時を迎えている。グラナドスは戦争に巻き込まれての非業の死だ。

太っ腹で人々に愛されたアルベニスは、きっと心優しい淋しがり屋だったにちがいない。グラナドスは己のイケメンぶりに結構自信があった、かな?ファリャの頑固さと生真面目さは、俗世を生きる困難を感じさせる。奇しくもファリャとパウ・カザルスは同じ年に生まれているが、その人生の逞しさ、もっと言うなら図太さ、には大きな違いがある。カザルスの方がずっとこの世というものを知っていた。そして、そのカザルスもまた、故国の外で天に還っていた。

どんな人も必死にこの世を生きて、その中から何かが生まれる。人ありて音楽。人ありて歌。だからこそ愛おしい。

11月開催セミナー『魅惑のスペイン歌曲Ⅱ』テーマは、マヌエル・デ・ファリャ。スペイン音楽に捧げた人生、多彩な作品、パリやグラナダを舞台にした仲間達との交流、エピソード etc を音と映像でたどります。もちろん!今話題、真央ちゃんの「火祭りの踊り」も!ご参加をお待ちしています。
お申込み詳細はこちら ⇒ 『スペイン語の歌のクラス』

フャリャが生まれた街カディスの大聖堂
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by Megumi_Tani | 2016-10-17 22:49 | スペイン歌曲 | Comments(0)

セミナー『魅惑のスペイン歌曲Ⅱ』   

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スペイン歌曲の魅力を視て、聴いて、味わう講座。前回の大好評を受けて、11月に第2回の開講が決まりました。メインテーマは、今年、生誕140年、没後70年を迎えた作曲家マヌエル・デ・ファリャ。浅田真央選手の今季の曲「火祭りの踊り」の作曲者です。

開講日:11月4日、18日(いずれも金曜日)19時~20時30分
場所:セルバンテス文化センター東京
受講料:6,000円

どなたでも受講できます。詳細は、こちら↓↓
『スペイン語の歌のクラス@セルバンテス文化センター』


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by Megumi_Tani | 2016-10-08 22:25 | 講座/セミナー | Comments(0)

『ロポポポン♫』 講座終了   

地下オーディトリアム貸し切りの贅沢な企画『スペイン語で歌おう』@セルバンテス文化センター
第3弾『太鼓をたたく少年~El tamborileroを歌おう!』が終了しました。皆さん、とても熱心にご受講。2回のレッスンで見事にマスターされました。受講生のお一人Mさんがフェイスブックに投稿してくださった第2回クラスのレポートをご紹介します。

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セルバンテス文化センターのカルチャー講座「《太鼓をたたく少年》を歌おう」2回目。
今日は前回の復習と歌詞の意味。スペイン語は「繰り返し同じ単語を使うことを嫌う」ので、クリスマスのこの歌も、「聖なる御子」のことを、実に様々な単語で歌います。文中でも大文字で始まる単語に要注意。「Dios」「Nino」「El」「Rey」...。そして、スペイン語のみならず、ラテン語系の曲を歌うときに発音の重要ポイント、「口角あげて」は、毎回勉強になりました!歌いにくい単語の前はハッキリ歌う、これも歌うコツですね!そして、スペインのクリスマスについて、めぐみ先生を筆頭に、参加者が体験談や知ってる知識を披露。私も、9年になるbvocalとの交流で得た体験をお伝えしました。待ち遠しいクリスマス、大家族で祝う手作りディナー、クリスマスのプレゼント交換。
締めくくりは、課題曲「El tamborilero 」をステージから客席に向かって歌い、このワークショップを終えました。めぐみ先生,Muchisima gracias!!! ご一緒に歌った皆さま、ありがとうございました。Nos vemos pronto.またお会いしましょう。
写真に写っていますが、11月はスペインの作曲家ファリャ。めぐみ先生の絶妙トークのご講義と秘蔵資料の数々に出会えることでしょう!4日(金)と18日(金)19時から20時30分です。
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Mさんのご投稿にもある通り、11月は、セミナー『魅惑のスペイン歌曲Ⅱ』を開催します。
どなたでも受講できます。詳しくは、こちら ⇒ セミナー『魅惑のスペイン歌曲Ⅱ』
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by Megumi_Tani | 2016-10-08 20:25 | 講座/セミナー | Comments(0)

バルセロナから30年   

このブログでもお馴染み、東京・吉祥寺にあるスペイン料理店『ドスガトス』が開店30周年を迎え、先週末、お祝いの食事会が開かれた。カバ、赤ワイン、白ワイン、そして、色とりどり盛り沢山のタパス、生ハム、ガスパチョ、パエリャ、炭火焼のお肉、チーズ、特製デザートetc。高森敏明シェフの想い溢れる一皿、一皿を、長年のドス・ファン一同、夜が更けるのも忘れて楽しませていただいた。祝!

読者の皆さんの中には、30周年?あれ?と思われた方もいらっしゃるかもしれない。そう、私も昨年30周年を迎え、『記念リサイタル』を開かせていただいた。つまりシェフと私は一年違いの帰国。まったく見知らぬ仲ながら、偶然、同じ時期をバルセロナで過ごしている。もしかすると「お互いよく歩き回っていたゴシック地区ですれ違っていたかもしれませんね」というわけだ。

1992年オリンピックを境にバルセロナは大きく変貌したが、1980年代半ばのバルセロナには、子どもの頃の記憶~古きよき昭和を髣髴とさせる、のどかな雰囲気が漂っていた。かの聖家族教会の建設は資金難から遅々として進まず、完成は無理とさえ言われていた。現在の隆盛ぶりにはガウディもビックリだろう。カテドラル、海の聖母教会、ランブラス、ボケリア市場、カタルーニャ音楽堂、リセウ劇場、カタルーニャ美術館、ピカソ美術館…。私にとって、そしておそらく高森シェフにとっても、バルセロナは今が在る原点、懐かしい青春の修業の街だ。 『歌修業日記¡Hola!バルセロナ』

くたびれると、ドスガトスに駆け込む。美味しいエネルギーチャージの時間だ。それにしても、ハッと気づけば30年。30年後に自分が歌っているかどうかなんて、あの頃、考えもしなかったなぁ。。。

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お祝いの会の夜、高森シェフご夫妻とソムリエ菊池貴行氏@ドスガトスのお写真です。
菊池氏は、シェフのご紹介で、先日の『スペイン浪漫Ⅱ』をご来聴くださいました。
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by Megumi_Tani | 2016-10-05 00:27 | エトセトラ | Comments(2)

ホームページ更新   

ホームページを更新しました。
9月19日開催『スペイン浪漫Ⅱ~エンリケ・グラナドスに捧ぐ』をはじめ、セルバンテス文化センターでの秋講座等々、情報をまとめてあります。どうぞご訪問ください。
『谷めぐみの部屋』
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by Megumi_Tani | 2016-10-04 12:07 | エトセトラ | Comments(0)

太鼓をたたく少年~El tamborilero   

セルバンテス文化センター秋期講座『スペイン語で〈太鼓をたたく少年〉を歌おう!』
1回めのクラスが終了した。スペイン語の発音と音符への載せ方を猛練習!終了時には、受講生の皆さん、ずい分口が滑らかに動くようになった。Muy bien!

スペイン語に限らず、外国語で歌うには、やはり歌ならではのコツがある。その言語に堪能で文法も会話もパーフェクト!という人が、メロディーに歌詞をうまく載せられるか、というと、必ずしもそうではない。母国語とする人達がごく当たり前に出来ることでも、我々外国人にとっては、しばしばとんでもなく難しい。「R」だ「L」だ、舌が上だ下だ、と悪戦苦闘するハメになる。それでも皆さん、頑張るのは、スペインが大好き!だから。

〈太鼓をたたく少年〉スペイン語タイトル〈El tamborilero〉、英語では〈The Little Drummer Boy〉。世界中で愛されている曲だが、クリスマスの歌だということは日本ではあまり知られていない。
今年のクリスマスは、またまた三連休。まだちょっと気が早いけれど、受講生の皆さん、次回のクラスで「ropopopón, ropopopón」マスターしましょう!

『スペイン語の歌のクラス@セルバンテス文化センター』
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上の動画、歌っているのはこの人です。


お宝英語バージョン!デビッド・ボーイ×ビング・クロスビー

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by Megumi_Tani | 2016-10-02 20:00 | 講座/セミナー | Comments(0)