歌の国、ピアノの国
2014年 08月 27日
10月4日『スペイン浪漫』のピアニスト、浦壁信二さんが呟いた。
ビクトリア・デ・ロスアンへレス、プラシド・ドミンゴ、テレサ・ベルガンサ、ホセ・カレラス、モンセラ・カバリェetc。スペインは世界に名だたる声楽家を輩出している。あの三大テノールのうち、二人がスペイン人だ。ピアニストでは何といってもアリシア・デ・ラローチャが有名だが、歴史を一世紀さかのぼれば、アルベニスもグラナドスもファリャも皆、傑出したピアニストだった。テクニックがある作曲家は、テクニックが必要な曲を書く。自分が弾けるから、他の人が弾けるかどうかなんて考えたりしない。自らの音楽の境地が深まり、演奏の腕前が上がれば上がるほど、作品に必要なテクニックも高度になっていく。アルベニスの初期の作品は指なじみの良い曲が多いが、晩年の組曲『イベリア』は、浦壁さんによると、「おそろしく難しい」そうだ。おそろしくおそろしく難しいピアノ曲を楽々と弾きこなす浦壁さんが言うのだから、これはもう、おそろしくおそろしくおそろしく難しいのだろう。
そんな「歌」と「ピアノ」が創りだす小宇宙、それが「スペイン歌曲」だ。スペイン独特のリズム、スペイン独特の抒情、スペイン独特の人生観…。この「独特」だらけが溶け合い、ぶつかり合い、「独特の味わい」を醸し出す。その妙味!歌曲の伴奏というのは、なかなか難しい。なかでも、スペイン歌曲の伴奏というのは、かなり難しい。まさに、伴奏、ではなく、共演、だ。
オリジナルのピアノ曲に歌詞が後で付けられた「グラナダ」のほか、抒情あふれるトルドラの歌曲、これぞスペイン!の連打が迫る「エル・ビート」など、今回のプログラムでも、ピアノが大活躍する。ご来聴の方々、ぜひ歌とピアノ両方に耳を澄ませて、スペイン独特の小宇宙をお楽しみください。
第23回谷めぐみリサイタル《スペイン浪漫》
2014年10月4日(土)午後2時@Hakuju Hall
ご来聴をお待ちしています。 詳しい情報は、上をクリック
今日は、アルベニス「グラナダ」を、セゴビアのギターで、どうぞ。