本領発揮   

8月31日、関東地方に台風がやって来た。「出来るだけ外出を控えてください」と、テレビやラジオで何度も繰り返している。お昼前には雨、風とも強まってきた。しかし出かけなければならない。今日はワインコンサート本番である。

自己申告するのもなんだが、私は雨女である。以前、真冬にリサイタルを開いていた頃には、二度も大雪に見舞われた。それでは、と、秋に開催時期を移すと、今度は台風がやって来た。一昨年、昨年のリサイタルは好天に恵まれ、先日の故郷コンサートは、雨続きだったにもかかわらず当日だけ晴れた。ようやく汚名返上かと秘かに思いきや、ここへ来て、本領発揮である。

お客様は会場にたどり着けるだろうか?無事お帰りになれるだろうか?諸々案じながら、横なぐりの雨の中を移動していると、メールが入った。「やっぱり来たね、台風!歌を楽しみにしています」「雨ニモマケズ風ニモマケズ行きます」温かいエールに、ホッと緊張がゆるむ。

開場時間には雨風も少し治まってきた模様。続々とお客様がやって来た。レインコート、長靴姿の方もいる。最近の長靴、いや、レインブーツは、とてもお洒落…。遅刻者もなく、定刻7時、満場のお客様をお迎えしてコンサートが始まった。

歌とギターにはおあつらえ向きの会場。とても心地よく演奏させていただいた。コンサートの後は、皆様、スペインワインとスペイン料理をご堪能。その間に台風はどこかへ行ってしまったらしい。午後9時前、お客様がお帰りの頃には、雨もすっかり上がっていた。

主催者、スタッフの方々にご挨拶をして、我々も会場を出る。明るい夜空。駅への道での別れ際、心優しいギタリスト氏が私にそっと囁いた。「実はね、僕も雨男なの」アララ…どうやら二人で本領を発揮してしまったらしい。

お客様、ゴメンなさい。そしてそんな中、笑顔でお出かけいただき、本当にありがとうございました。
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# by Megumi_Tani | 2009-09-03 13:27 | リサイタル | Comments(2)

「スペイン歌曲って、何ですか?」その3   

8月31日開催のワイン・コンサート、スペインの歌とワインとお料理をまとめてお楽しみいただこう、という贅沢な企画である。
http://www.spainclub.jp/

「ワインでくつろいで、クラシック歌曲を聴く。そんなことが成立するのですか?」とお尋ねになった方がある。クラシックといえば、どことなく付きまとう堅苦しいイメージ。やや窮屈なその枠を軽々と越えられるのがスペインの歌の魅力だ。芸術歌曲、民謡や伝承歌を基にした作品、器楽曲をアレンジした歌曲、ポピュラー音楽のように親しまれている歌等々、その世界は多彩で奥深い。楽しい歌も哀しい歌もある。固い歌も柔らかい歌もある。バラードもあれば思いっきりリズミカルな曲もある。時と場と気分に応じて、様々な味わいをお楽しみいただける。

今回のワイン・コンサートは、食べながら聴く…ではない。まずゆっくりと演奏をお聴きいただき、その後、立食で自由にお食事を、というプログラム。私ども演奏者にとってはありがたい。歌っている目の前をパスタの皿を持った人がウロウロするのは、やはりあまり嬉しくないものである。

「スペイン歌曲って、いいですね!」そんな思いをこめて、皆様と乾杯!させていただきたい。
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# by Megumi_Tani | 2009-08-25 08:32 | スペイン歌曲 | Comments(2)

体育会系   

10月17日開催のリサイタルまで、あと2か月。
http://www.atelier-canon.jp/tani-megumi/

http://www.e-yakushiyo.net/Tani_Megumi_Reciatal_Octubre.htm

その前にワイン・コンサートもある。
http://www.spainclub.jp/

ひたすら歌っている。はかない夢、出会いと別れ、永遠の哀しみ…歌う詩は美しい。その世界は透明にどこまでも広がってゆく。まさに「なんと哀しく なんと愛しく」である。しかし、ナマの声で勝負する私たち。どんなに繊細な表現も、柔らかな声も、最後は、体力がなければ続かない。竹久夢二の絵に出てくる女性のようなわけにはいかないのだ。クーラーの温度を高めに設定、首にはタオルで、汗だくになって歌う。食べて、寝て、また歌う。黙々とそれを繰り返す。先日の故郷コンサートでは、朝からトンカツをたいらげる私を見て、甥っ子が目を丸くしていた。

歌い手は体育会系である。最近実感している。
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# by Megumi_Tani | 2009-08-18 07:29 | リサイタル | Comments(4)

道新さん   

このタイトルを見てピンとひらめく方は北海道ご出身だろう。道新とは、北海道新聞の略称、愛称である。大手全国紙もあるが、北海道ではやはり道新が強い。子供の頃の私は、新聞=道新と思い込んでいた。亡くなった父も、朝起きるとまず道新、が習慣だった。

以前、某地方紙トップの方に歌とピアノをお教えしていたことがある。お話の楽しいジェントルマンだった。お互いひどい花粉症、同病相哀れむ仲でもあった。ある時、出身地の話題になった時、その方が「先生は道新さん育ちですね」と仰った。長い年月とともに忘れていた「道新さん」という響き!私は思わず「懐かしい」を連発。以来、ジェントルマン氏のご挨拶の言葉が変わった。ニッコリ笑って、「お晩でございます」とレッスン室に入ってこられるようになった。(野良猫さん、読んでいますか?)

今回の故郷コンサートでは、その道新さんにずい分お世話になった。「記事、見たよ!」と連絡をくれた道内の友人、知人も多かった。さすが、道新さんである。
http://www.e-yakushiyo.net/Tani_Megumi-IP-Hokkaido-01.htm
http://www.e-yakushiyo.net/Tani_Megumi-IP-Hokkaido-02.htm
http://www.e-yakushiyo.net/Tani_Megumi-IP-Hokkaido-03.htm
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# by Megumi_Tani | 2009-08-11 08:54 | 故郷 | Comments(9)

「スペイン歌曲って、何ですか?」 その2   

8月1日開催の故郷コンサートでは、日本語詞を付けるにあたって生じるいくつかの課題(原詞の意味が伝えきれない、著しく違和感があるetc)をとりあえず解決できた作品、数曲を、スペイン語+日本語で歌った。「意味が分かってよかった」「まるで日本語の歌のようにピタッとはまっていました」など、お客様に書いていただいたアンケートの大半が褒め言葉である。日本語詞が評価されている。「言葉が分からないから…」の壁は、やはり越えられないのだろうか。

一方で、次のような記述もあった。「両方の歌詞を並べて聴くと、スペイン語のほうがメロディーが自然に流れている気がしました。原語で歌う、とはこういうものかと思いました」これは嬉しい。勇気づけられる。

「スペインの歌を初めて聴いて好きになりました」「単語の意味は分からなくても、歌そのものが伝わりました」心の中で(スペイン歌曲って何だろう?)と問いかけながらお聴きくださっていたことが分かる。

「私は演歌しか聴かない人間ですが、これからはソプラノというものも聴いてみようと思います」と書いてくださった男性。このエールには大いに励まされた。

日本人の私が日本語で日本の歌を歌うとき、いつも自分の感覚にピタリと来るかというと、そうではない。歌いたくない、つまり、語りたくない歌も沢山ある。歌っている自分に違和感を覚えることもある。「スペイン歌曲って、何ですか?」この問いは、突き詰めれば、「歌って、何ですか?」という歌い手にとっては究極の問いにつながるのかもしれない。

実は、過日第一回目の「スペイン歌曲って、何ですか?」には多くの反響をいただいた。嬉しかった。だが、なぜか皆さん、書き込みをせず、メールをくださる。中にはお手紙を書いて送ってくださった方もいた。寿限無太郎?寿限無花子?どんなお名前でも大歓迎。どうぞご遠慮なく、思うところを書き込んでいただきたい。
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# by Megumi_Tani | 2009-08-09 08:28 | スペイン歌曲 | Comments(2)