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番組ご案内~街角ピアノ@バルセロナ

あちらこちらで人気の街角ピアノ。コロナ禍では接触禁止!→休眠状態でしたが、最近、また見かけるようになりました。イケメンの若者、お稽古帰り風?の女子学生、ちょっと素敵なおじさま…その時、その時、いろいろな人がいろいろな想いを込めて奏でています。

バルセロナにも街角ピアノはあるの?あるならどんな感じ?どんな人が弾いている?…そんな素敵な番組が放送されます。しかも、バルセロナ在住のピアニスト、鈴木羊子さんが出演!
放送は、11月3日(祝)午後7時45分~8時30分@NHKBS。ぜひご覧ください♪
下記リンク↓予告編のトップに、さっそく羊子さんが登場しています。

バルセロナで、ピアニストとして、オルガニストとして活躍する羊子さん。11月には、今年生誕100年を迎えたアリシア・デ・ラローチャに捧げるリサイタルを日本で開催します。



# by Megumi_Tani | 2023-11-01 00:17 | ビバ!エスパーニャ!

「聖母の御子」

歌に"呼びかけられる"ことがある。
文字で書くとちょっと不思議な感じだが、時に、そんなことが起きる。

先日のリサイタルのアンコール、1曲目は、ファリャ作曲「わが子を腕に抱く母たちの祈り」を歌う予定だった。1914年、第一世界大戦下の作品。可愛いわが子を兵隊にとらないで、と、母親が神に懇願する反戦の歌だ。世界が不穏に混乱している今、ささやかな祈りを込め、演奏したいと考えていた。
ところが、本番が近づいたある日、別の歌に”呼びかけられた"。「聖母の御子~El Noi de la Mare」、聖母の御子様に何をお贈りしよう?干しブドウ?イチジク?ナッツ?オリーブ?…と歌う、カタルーニャのクリスマスの歌だ。この世を嘆き慟哭するファリャの歌ではなく、高く天を見上げ魂を光に託す「聖母の御子」…。理由は分からないものの、”呼びかけられる”ままに、アンコール1曲目を変更することにした。

ほどなく、京都在住の大学時代の友人と先輩から「リサイタル、聴きに行くよ!」と連絡が入った。約40年ぶりの再会だ。ひょんなことから、その先輩と、Facebook上で「聖母の御子」の話題になった。「いつか貴女が歌う「聖母の御子」を聴いてみたい」と先輩。「あ!実はアンコールで歌います!」と即返したいところをグッと我慢。アンコール曲は、私とピアニストだけが知るトップシークレットなのだ(笑)

「聖母の御子」_e0172134_00560269.jpg


リサイタルから数日が過ぎ、森一弘司教様が帰天されたことを知った。私が森司教様にお目にかかったのは、ただ一度だけ。元NHKアナウンサー室長・山根基世さん主宰「声の力」講座でのことだった。「声の力を学ぶ」連続講座 第8回
「ダバール」に深く共鳴。心が大きく揺れ、いきなり昔の記憶が蘇った私は、講演終了後の質問タイムに思わず挙手。大切な想い出をお話させていただいた。お話せずにはいられなかった、というべきか。想いが溢れすぎて纏まりがつかないまま話し終えると、森司教様は静かに仰った。「よかったですね」と。涙が溢れた。司教様の言葉には”共感”があった。ガンバレを否定はしないが、人を何より慰め勇気づけるのは温かい”共感”ではないか。森司教様がお示しくださった”共感”は、どこか深いところで私を安堵させてくれた。そして、言葉にならない言葉でそっと励ましてくれた。穏やかに充たされた時間。たった一度だけの、ごく短い、しかし、決して忘れられない触れ合い。森司教様、ありがとうございました。

歌は、時に、いろんなことを知っていて”呼びかけて”くれる。やさしく、愛おしく、光あふれる「聖母の御子」。今年のリサイタルで歌わせていただいてよかったな、と思う。






# by Megumi_Tani | 2023-10-22 21:49 | 想いあれこれ

野本先生、ありがとうございました。

合唱団コール・シャンティーの指揮者、指導者だった野本明裕先生が天に還られた。突然の知らせに、まるで実感が湧かない。

野本先生率いる合唱団コール・シャンティーとの出会いは、かれこれ二十年ほど前になるだろうか。この年、コール・シャンティーの定期演奏会でスペイン語の曲を演奏することになり、私はソリストとして招かれた。第1回リハーサルの日、初めてお目にかかった野本先生は人間味あふれる ”エネルギーの塊” のような方だった。お話もご指導も熱い!先生を囲む団の皆さんの仲のよさも印象的だった。

時は流れ、2013年、リサイタル愛しのバルセロナ開催にあたり、私には実現させたい作品があった。パウ・カザルス編曲「ソプラノと合唱のための『鳥の歌』」だ。
コール・シャンティーとの共演を野本先生にお願いすると、よし!と二つ返事で引き受けてくださった。「鳥の歌」の歌詞はカタルーニャ語。カタカナ表記し難く、発音も難しい。先生ご自身が事前に私に何度も読み方を確認され、先生のご指導の下、団の皆さんは、熱心に取り組み、練習に励み、本番に臨んでくださった。「愛しのエピローグ

野本先生、ありがとうございました。_e0172134_22435829.jpg

その後も交流は続き、野本先生、コール・シャンティーの皆さんが私のリサイタルに来てくださるようになった。野本先生は、それはそれは素敵な文章を書かれる方だった。終演後のアンケート用紙には、いつも紙の表裏いっぱいに先生の流麗な文字が躍っていた。その日の演奏曲目から私のトーク、会場の雰囲気、はたまた時事ネタ、お天気に至るまで、あの短い時間にどうやって書いたの?と不思議に思うほど、内容充実、読み応え満点。粋なミニ・エッセイのようだった。

こよなくバラを愛する超ロマンチストでもいらした野本先生。同じ道産子ということもあったのだろうか。あまり陽の当たらない?スペイン歌曲を歌い続けている私を、遠くから、黙って、応援してくださっていた。あの元気なお声をもう聞けないと思うと、とても寂しい。今頃は、空の上で、熱く語り、歌い、指揮していらっしゃるのだろうか。。。野本先生、温かく優しい思い出をありがとうございました。と、書いていても、やはりまだ実感が湧きません。

野本先生、ありがとうございました。_e0172134_23300621.jpg


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# by Megumi_Tani | 2023-10-08 23:51 | 想いあれこれ

つかぬことを伺いますが…

初めてリサイタルに来てくださったお客様とお話する機会があった。銀髪が美しいとてもエレガントなおばあちゃま。コロナの間ずっと引き籠っていた。鬱々していたら、知り合いの方が私のリサイタルに誘ってくれた。クラシック音楽の演奏会は初めてだけれど、勇気を出して参加してみたら…「外国語の歌にあんなに感動するなんて!」「ちっとも堅苦しくない雰囲気。楽しかった!」「元気と勇気をいただきました!」と、目を輝かせ、次々と感想を述べられる。あぁよかったなぁ…と、私も嬉しくなった。

「ところで、つかぬことを伺いますが…」と、おばあちゃま。「あのボリュームと響きはナマですか?それともマイクですか?」「……」
数年前の出来事が蘇った。その年のリサイタル終了後、同じ趣旨のことを仰った方がいたのだ。

Hakuju Hallの響きは素晴らしい。お客様はもちろん、舞台上の歌い手とピアニストも幸せにしてくれる。が、その素晴らしさゆえ、「まさかナマでこんなに響くはずはない」と、秘かに思われる方がいるらしい。録音設備として、天井からマイクが吊るされている。あのマイクを、録音用ではなく、拡声用と勘違いされるのだろうか。。。

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©藤本史昭

ある年、リサイタル本番中にそのことを思い出し、トークの中で「ナマですよ」と軽く言ってみたことがある。会場中大笑い、大ウケだった。しかしもしかすると、「そうだったのか…」と秘かに思われた方がいたかもしれない。今回も事前に同様の危惧が頭をよぎった。しかし、毎回、毎回、ナマですよ、と念を押すのはいかにもイヤらしい。今回はこの件には触れずに終えた。
先述のおばあちゃまに「マイクは一切使っていません。全部ナマだったんですよ」とお答えすると、「あらぁ!」と絶句。目をまん丸にして驚かれていた。

スペイン歌曲の魅力は、その人間味、懐の深さだ。モンポウ作品のように内なる緻密な作品からエル・ビートのようなイケイケの歌まで多種彩々、実にバラエティー豊か。普段クラシック音楽とは無縁の方から、オペラ三昧、演奏会三昧、クラシック音楽通の方まで、幅広くお楽しみいただける。誰でも思わず共感してしまう ”何か” があるからこそ、どなたでもお誘いできる。限られた人だけの限られた楽しみにはしたくない。だから、クラシックの演奏会初めての方!大歓迎!ぜひご来聴ください!なのだ。で、その上で、、、さて、マイク疑惑?はどうしたものか…。

9月が終わる。とりあえず今日のところはそっと小声で囁いておきます。
「プログラム第1曲目から締めの「鳥の歌」まで、歌もピアノも、いつも全部ナマです♪」

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©藤本史昭
                                      


# by Megumi_Tani | 2023-10-01 00:53 | リサイタル

2023ならではの

「当たり前の日常が、そうでない稀なものであることに気づかされた時間を経て、耳に届いた音楽は、この上もなく、心揺さぶられるものでした」
リサイタル後、お客様のひとりから寄せられたメッセージです。
4年の時を越え、おなじみのホールで再会できた喜び…。今回のリサイタルでは、そんな想いがホールいっぱいに溢れていました。恐怖と不可解に翻弄された4年。しかし、その重苦しい4年をともに乗り越え、今日ここに集まることが出来た!舞台も客席もそんな高揚感に包まれていました。まさに今年、2023年ならではの時間だったように思います。

皆様からいただいた沢山のメッセージ、Facebookへのご投稿のなかから、ほんの一部ですが、HPにまとめさせていただきました。それはそれは詳しくレポートしてくださっている方もいます。
一期一会、2023年ならではの忘れがたい記憶に♪ → HP スペイン歌曲浪漫

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                                       ©藤本史昭



# by Megumi_Tani | 2023-09-22 00:44 | リサイタル

スペイン歌曲のスペシャリスト♪谷めぐみのブログです


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