タグ:ハバネラ ( 10 ) タグの人気記事   

オペラ・ブック・カフェ   

オペラ・キュレーター井内美香さん主催〈オペラ・ブック・カフェ〉にお邪魔した。井内さんとは、昨年暮れ〈カルメン勉強会〉でお目にかかったのがご縁。「スペインで何か面白い本はありませんか?オペラと関係なくても構いません」と、お誘いいただき、本好きの虫がウズウズ。無理やり時間を空け、参加させていただくことにした。

出席者各々が自分のお気に入りの本、お薦めの本1冊について自由に語る会。オペラ、クラシック音楽全般、オペラ日めくり事典から音楽家裏話、精神分析、ギリシャ神話、村上春樹まで、登場する本は様々。熱のこもった解説を含めてのご紹介はとても興味深い。オペラ原作本を読むお薦めも。本の話題の合間には、会を共催されている坂元勇仁氏の質問を通して、オペラ公演の舞台裏など、普段は聞けない話もあれこれ。オペラでもリサイタルでも、裏を固めるスタッフの強力なサポート無しに公演の成功はありえないことを、あらためて実感。 
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11月のリサイタルをご案内くださったので、オペラ《カルメン》のハバネラ〈恋は野の鳥〉と〈エル・アレグリート〉にまつわるエピソードを再度ご紹介させていただいた。
さすがオペラ通の皆様!〈エル・アレグリート〉に興味津々。《カルメン》といえば、先日ビクトリア・デ・ロス・アンへレスの復刻新盤が出たばかり。〈エル・アレグリート〉のおかげで、長年遠い親戚のように感じていたカルメンが、ごく親しい従妹?従姉?のような存在に変わった。秋に歌うのが楽しみ♫ オペラ好きの方々の中にも「スペイン歌曲をぜひ聴いてみたいです」「モンポウ、大好き!」と仰る方がいらっしゃったのは嬉しい限り。これを機に、ぜひスペインの魅力にも触れていただきたい。

第26回リサイタル
2017年11月19日(日)14:00開演@Hakuju Hall
ご来聴をお待ちしています!

さて、リクエストにお応えして?私がご紹介した、オペラとも音楽とも関係のない本は,
イルデフォンソ・ファルコネス著〈海のカテドラル〉
中世バルセロナを舞台にした歴史エンターテイメント小説。バルセロナ・ファン必読の書!「ダウントン・アビー」風にドラマ化したら、きっと面白いのになぁ。。。
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by Megumi_Tani | 2017-07-16 21:15 | 本の窓 | Comments(0)

ビクトリア・デ・ロス・アンへレス《カルメン》新譜   

ビクトリア・デ・ロス・アンへレスが歌うカルメンの新譜が発売された。1958年録音、トーマス・ビーチャム指揮の名盤を最新のSACDで楽しめる。

歌劇《カルメン》(全曲)
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ブックレット冒頭、ビクトリア・デ・ロス・アンへレスならではのカルメンの魅力について、オペラ研究家岸純信氏が非常に興味深い文章を寄せられている。私が通訳させていただいた折の体験談もご紹介くださった。

国を超え、時代を超え、絶大な人気を誇るオペラ《カルメン》。世界中の名だたるソプラノ、メゾ・ソプラノが名演、名録音を残している。ビクトリア・デ・ロス・アンへレスにとっても、この役は格別だったに違いない。1980年代後半、来日の折にも、ハバネラ〈恋は野の鳥〉、セギディーリャ〈セビーリャの砦近くで〉は、本プロ、あるいはアンコールの定番だった。そして、1994年、バルセロナのリセウ歌劇場焼失の際の演奏会でも、彼女はカルメンを歌っている。

1972年、49歳


1978年、55歳


1994年、71歳 リセウ歌劇場焼失にニュース映像とともに


今回発売SACDの音源は1958年の録音。ビクトリア・デ・ロス・アンへレス、35歳の名唱をご堪能いただきたい。

今秋リサイタルでは、上述のハバネラ〈恋は野の鳥〉の生みの親?生みの歌?〈エル・アレグリート〉を歌う。蒸し暑さと戦いながら(^^;; 準備に奔走する今、この新譜が発売されたことは嬉しい偶然!「ありがとうございます!」と、思わず、天に叫びたくなる。

第26回リサイタル
スペイン浪漫Ⅲ~グラナドス生誕150年、モンポウ没後30年に捧ぐ
2017年11月19日午後2時開演@Hakuju Hall(代々木八幡)
ご来聴をおまちしています♪


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by Megumi_Tani | 2017-07-06 20:21 | Musica あれこれ | Comments(0)

『カルメン』 勉強会   

坂元勇仁氏主宰「学び舎遊人」で定期的に開かれている勉強会『みんなでオペラ』に参加させていただいた。今回のテーマは、ご存じ『カルメン』。語り手は、オペラ・キュレーター井内美香さん。

原作、台本、初演日など作品に関する基礎知識から、時代背景、ビゼーの生涯、登場人物の個性と音楽の関係、特徴、魅力等々について、詳しく分かりやすくお話くださった。井内さんお手製のハートマーク入り人物相関図が何とも可愛らしい。お話の合間に聴いた、ご推薦音源は、こちら。



たしかにカルメンは勝手気ままで、手の付けられない女だ。しかも最後は刃傷沙汰で終わる。決して明るくはない。それどころか、どちらかといえば陰惨なオペラだ。それでも世界中で人気が衰えないのは、カルメンをはじめドン・ホセ、ミカエラら登場人物各々に、お客様各々が秘かに共感するからではないか。実は言ってみたいけれど言えない台詞を言ってくれる、やってみたいけれど出来ないことをやってくれる…etc。蔑みつつも共感せずにはいられない、そんな人間の業を鋭く、巧みについた作品なのだ、きっと。

それにしても、一般にこれがスペイン!と括られることには微妙な違和感がある。ここまで濃く煮詰まった所謂スペイン話は、外国人のビゼーだからこそ描けたのだと思う。

ムチャぶりでマイクが回って来たので、スペイン音楽の特徴に加えて、ハバネラ「恋は野の鳥」に欠かせない裏エピソード、イラディエール「El arreglito」をご紹介させていただいた。

スペインがどう語られ、どう受けとめられているか。いつの場合も興味がある。『カルメン』をきっかけに、より多彩なスペインに触れていただければ嬉しい。

もうひとつ、井内さんご推薦の音源からフィナーレ

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by Megumi_Tani | 2016-12-13 22:23 | Musica あれこれ | Comments(0)

30周年エピローグ 2   

私はハバネラが好きだ。とりわけ今年は、ハバネラを世界に知らしめたイラディエールの没後150周年にあたる。第3ステージ『ハバネラの夢』では、世界的大ヒット曲「ラ・パロマ」に加えて、隠れたお宝曲「エル・アレグリート」をお楽しみいただいた。

「エル・アレグリート」とカルメン「恋は野の鳥」にまつわる経緯は、先日ご紹介した通り。Programa ご案内「エル・アレグリート」

事実を知らされたビゼーが即、己の勘違いを認めたところに、「創作の苦しみを知る人」の心を感じる。ビゼーの純粋さに、その時すでに天国にいたイラディエールも「まぁ、そんなこともあるさ」と、お咎めなしの気分だったのではないか。

同じ旋律が使われているとはいえ、この両曲はまったく似ていて非なる作品だ。「恋は野を飛び回る鳥のように自由なものよ。私に惚れられたら気をつけなさい」とヒロイン・カルメンが蠱惑的に歌う「恋は野の鳥」に対して、「エル・アレグリート」には、登場人物が二人いる。「パロマちゃん、僕のこと好きになっておくれ」「愛しいペピート、浮気しないって約束してくれるなら好きになってあげてもいいわ」と、男女二人が、ああでもないこうでもないとゆる~いムードで囁き合い、最後に「あぁ!二人は恋人!幸せ!」と、めでたしめでたし、で、終わる。緊張感をはらみ、悲劇的結末を予感させるカルメンのアリアとは正反対だ。

リサイタルでは、この一連のエピソードをご紹介してから、演奏。「知らなかった。そんな話があったのか」「なるほど。それで今日はこの曲を歌うのね」「似ているって、一体どんな感じ?」etc。お客様が興味津々で聴いてくださっているのが分かる。嬉しい。多くの方がお察しくださるように、歌の合間に「おしゃべり」を入れることは、歌い手にとって、なかなかハードな作業だ(^^;; しかしそれでも、せっかく歌うからには、しかもほとんどのお客様が直接意味の解らないスペイン語で歌うのだから、何とか少しでも多くの方に少しでも親しくアプローチしていただけるよう努めたい。30年間変わらぬ願いだ。

極めつけ「恋は野の鳥」


パロマとペピートの恋のかけひき「エル・アレグリート」


「エル・アレグリート」大好評でしたよ~~!
天国のイラディエール氏、喜んでくれているかしら010.gif

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by Megumi_Tani | 2015-10-25 19:11 | リサイタル | Comments(0)

Programa ご案内~ハバネラの夢   

前回は、歴史に埋もれたハバネラ「エル・アレグリート」とカルメン「恋は野の鳥」誕生秘話をご紹介した。

ハバネラに魅せられたのは、イラディエールやビゼーだけではない。ラヴェルの「バネラ形式の小品」は、チェロ、ヴァイオリン、フルート、クラリネット、そしてヴォカリーズでも演奏される妖艶なハバネラだ。

こちらはチェロ・バージョン。伴奏のピアノが素晴らしい。


ラヴェルにはこんなハバネラ作品もある。


こちらは、サン・サーンスのなんとも香しいハバネラ


ビゼーを筆頭に、フランスの作曲家がハバネラを採り上げているのは興味深い。スペイン人とフランス人の気質の違いはよく語られるところだが、ハバネラには、フランス人が心惹かれずにはいられない魅力-たとえそこに秘かな揶揄が隠されていても-があったのだ。

スペインの作曲家の中でも、特にモンサルバージェはハバネラがお気に入りだったらしい。歌曲集『黒人の歌』全5曲のうち、「ピアノの中のキューバ」「黒人の子守り歌」と、2曲がハバネラだ。

ハバネラはカタルーニャにも深い縁がある。18世紀~19世紀、サトウキビでひと旗揚げようと、カタルーニャ人が続々とキューバへ渡った。1898年のキューバ独立に伴い、彼らはカタルーニャに戻る。その際、キューバの音楽やリズムを「持ち帰った」のだ。彼の地で成功を収めた人々の財力が、カタルーニャ・モデルニズモを支えたと言われる。

こちら、ハバネラス・カタラナスの代表曲「私のお爺さん」


第3ステージ『ハバネラの夢』では、イラディエール「ラ・パロマ」「エル・アレグリート」、モンサルバージェ「黒人の子守り歌」、そして、甘いラブソング「紺碧の空」を演奏する。お客様と一緒に、古きよき時代の夢に揺れてみたい。




              谷めぐみ30周年記念リサイタル
           スペイン わが心の歌
              2015年10月17日(土)午後2時開演
                 会場:Hakuju Hall
               ご来聴をお待ちしています

060.gifPrograma ご案内
母なるマリアに」 「心よ、ともに悲しもう」 「カタルーニャの歌」 
エスペランサの聖母に捧げる祈祷風のサエタ」 「ロドリーゴとファリャ」 
天上のVictoria de los Ángelesに捧ぐ」  「エル・アレグリート
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by Megumi_Tani | 2015-09-18 23:47 | リサイタル | Comments(0)

Programa ご案内「エル・アレグリート」   

私は「ハバネラ」が好きだ。カタルーニャ民謡「鳥の歌」は別格として、この30年間で最もステージにのせた曲はセバスティアン・イラディエール作曲「ラ・パロマ」だろう。歌曲、ポピュラーのジャンルの枠を越えて、広く世界で愛されるハバネラの名曲だ。
愛しの「ラ・パロマ」    ハバネラ大好き
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「ラ・パロマ」で世界に名を馳せたイラディーエルだが、彼にはもうひとつの隠れた「重要な」ハバネラ作品がある。「エル・アレグリート」、かのビゼーのオペラ『カルメン』のアリア「恋は野の鳥」に姿を変えた作品である。

ヒロインが歌うアリアの構想を練っていたビゼー。ある日ふと、以前どこかで聞いたスペインの「俗歌」の旋律が心に浮かんだ。「お、これはいい!」耳に残るその旋律をより濃密にアレンジすると、まさに魔性の女カルメンにぴったりのハバネラ「恋は野の鳥」が完成した。大傑作だ!ところが、そこで、思わぬ事実が判明する。「俗歌」とばかり思い込んでいたその旋律は、実は、セバスティアン・イラディエールというスペインの作曲家が書いたれっきとした「作品」だったのだ。ま、ま、まさか…。し、し、しらなかった…。驚愕動転するビゼー…。ビゼーの名誉のために申し添えておくと、彼は、この旋律が自分のオリジナルではないことを即、認めている。

さて、この二つの作品、確かによく似ている、というより、そっくりである。しかし聴きこめば、そして歌いこめば、似ていて明らかに非なる作品であることがよく分かる。「エル・アレグリート」のままであれば、俗歌と受け取られかねない作品で終わっていたかもしれない。それを世界で最も有名なアリアのひとつに変身させたビゼーの閃き、力量、手腕に、ただただ感じ入る。しかし翻って考えると、そのビゼーの閃きも、「エル・アレグリート」無しには生まれなかったわけだ。

こちらは、ソプラノが歌う可愛い「エル・アレグリート」
上記エピソードが字幕で紹介されています。


男の子も歌います。


こちらは合唱版。おば様達が頑張っています。


こんなド迫力?映像も


並べてみると面白い。この曲は変幻自在、どのようにでも姿を変えられることが分かる。ビゼーが「これだ!」と膝を打ったのも、むべなるかな…。

この忘れられがちなハバネラ「エル・アレグリート」を、今年、没後150年を迎えたイラディエールに捧げたい。30年目にして、初めてプログラム入りした曲。


              谷めぐみ30周年記念リサイタル
           スペイン わが心の歌
              2015年10月17日(土)午後2時開演
                 会場:Hakuju Hall
               ご来聴をお待ちしています

060.gifPrograma ご案内
母なるマリアに」 「心よ、ともに悲しもう」 「カタルーニャの歌」 
エスペランサの聖母に捧げる祈祷風のサエタ」 「ロドリーゴとファリャ」 
天上のVictoria de los Ángelesに捧ぐ
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by Megumi_Tani | 2015-09-13 00:39 | リサイタル | Comments(0)

『スペイン浪漫』~郷愁の華   

『スペイン浪漫』第3ステージは、古きよき時代のマドリードの下町にご案内します。にぎわう街角、街に流れるクプレ…。人々は仕事帰りにバルで一杯ひっかけ、日頃の憂さを晴らします。17世紀に王家の娯楽として始まったサルスエラも、この時代にはすっかり様相を変え、庶民の娯楽に生まれ変わっていました。笑いと涙、時にはピリリと風刺のきいたストーリー。すったもんだの挙句、最後はすべてハッピーエンドの大団円!そんな人情話に、人々は、自らの人生を重ね、舞台とともに笑い、涙し、明日へのエネルギーを蓄えたのでした。

当時、流行していたリズムがハバネラ、そしてハバネラから生まれたゆる~いタンゴです。「すみれの花売り娘」は、ホセ・パディーリャの作品です。チャップリンの映画『街の灯』でご存知の方が多いと思います。チャップリンが無断で使用したため、後に訴えられた、といういわく付きの曲でもあります。でも、この映像、いいですね…。(画面左上の白文字クリック ⇒ フル画面)


パディーリャは、何と!パリのムーラン・ルージュの超売れっ子作曲家でした。「サ・セ・パリ」や「バレンシア」も有名です。

次に歌う「嫉妬」は、タイトルを見ると、どんなオドロオドロシイ曲か…という感じですが、実は、恋をしたら誰もが心に飼ってしまう嫉妬の虫を嘆く、という、何とも憎めない歌です。

そして、劇場のお楽しみ、サルスエラ!「彼が来ないからどうしたっていうの?」では、ヒロインが恋に落ちた自分を嘆き、「お手伝いさんのタンゴ」では、若い娘が奉公の身の上を嘆きます。どちらも嘆きに暮れる女の歌ですが、そうなると、お手伝いさんはたくましい!嘆いてばかりはいられない、と、あの手この手で人生を切り開いてまいります(笑)。

地中海、グラナダ、マドリード、と巡った旅が、次の第4ステージでフィナーレを迎えます。
第1ステージのご紹介はこちら ⇒ 『スペイン浪漫』~地中海の薫り
第2ステージのご紹介はこちら ⇒ 『スペイン浪漫』グラナダ~光と影

ご来聴をお待ちしています。 詳しい情報は、下をクリック060.gif
第23回谷めぐみリサイタル《スペイン浪漫》
2014年10月4日(土)午後2時@Hakuju Hall
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by Megumi_Tani | 2014-09-18 14:59 | リサイタル | Comments(0)

ハバネラ大好き!   

前回19世紀スペインの音楽のなかでハバネラをご紹介した。それにしても、マリア・カラスのカルメン『恋は野の鳥』は凄かった。その前の『El arreglito』が元歌なのに、歌っている可愛らしいソプラノさんの存在が完全に吹っ飛ばされている。

あまりにも有名なこの曲。世界の名だたるメゾ・ソプラノが名演を残している。その一人、今も美しくお元気なテレサ・ベルガンサのカルメン。ドン・ホセはドミンゴ。


ハバネラといえば忘れられないのが 『La paloma』


この『ラ・パロマ』、音楽講座では私のライブ録音を聴いていただいた。大好きな大好きな曲だ。リサイタルやコンサートで最も多く歌っている曲かもしれない。ハバネラのリズムに、えもいわれぬ懐かしさ、郷愁を感じる。

ハバネラは、18世紀~19世紀頃、海を越えてキューバへ渡ったカタルーニャ人たちが持ち帰ったリズムだ。後に、このハバネラが転じて、同じ二拍子のタンゴが生まれた。なるほど、私がハバネラやタンゴが大好きな理由はそこにあったか、と、勝手に納得した次第。

カタルーニャのハバネラの代表曲「El meu avi~私のおじいさん」

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by Megumi_Tani | 2014-01-31 02:16 | スペイン歌曲 | Comments(0)

¡Viva スペイン! そして…   

音楽講座『Las Músicas de España~スペインの音楽』第5回目が終了しました。今回のテーマは19世紀の音楽。ナポレオン侵攻からスペイン独立戦争、そして世紀末に勃発した米西戦争まで、まさに動乱の時代です。

前世紀に一時代を築いたサルスエラやトナディーリャはすっかり忘れ去られていました。しかしそこは歌好きの国スペイン。ギターあるいはピアノ伴奏付の歌曲、民謡調の歌などは作られていました。ギターの佳曲「月光」で有名なフェルナンド・ソルは、ギター曲以外にもオペラ、ギター伴奏の声楽曲を残しています。音楽の才能とともに、そのイケメンぶりでパリの文化サロンの人気者だったとか。スペイン最強の楽器ギターについては、第9回にまとめて講義があります。

私が大好きな『ラ・パロマ』の作曲者セバスティアン・イラディエールが活躍したのも、この時代です。彼の作品『エル・アレグリート』が、あのビゼー『カルメン』のハバネラに化けた?ことは、よく知られています。ここで、ちょっと聴き比べ。

『エル・アレグリート』


『カルメンよりハバネラ』


本当にそっくり…(^^;; それにしても、マリア・カラスの歌唱は凄まじい迫力です。世界一のカルメン、と言われながら、実際にオペラで演じることは一度もないまま逝ってしまいました。

ヴァイオリンの分野に颯爽と登場したのが、パブロ・デ・サラサーテです。父親に英才教育を施された彼は、わずか十歳で御前演奏を果たし、パリ音楽院を経て、演奏活動を開始。ヨーロッパ各地はもちろん、南北アメリカ大陸、中近東、南アフリカなど多くの国で人々を魅了しました。甘いマスク、華麗なテクニック、流麗な音色…その魅力は悪魔的だったとか。ブラームス、チャイコフスキーに影響を与え、サン・サーンス、ラロ、ブルッフらが彼に作品を献呈しています。

『ツィゴイネルウィゼン』サラサーテ本人の演奏です。録音が残っていたなんてビックリ!


同じ曲をイツァーク・パールマンで。圧巻!


ここへ来て、やっとサルスエラが動き出します。スペイン独自の音楽やダンスとともに展開する庶民的なストーリー。明るく、親しみやすく、時に風刺をきかせたユーモアたっぷりの舞台が大人気となりました。仕事帰りにちょいとサルスエラでも!マドリ―には劇場が建設され、サルスエラは、都市で暮らす人々の最大の娯楽として定着したのでした。

『お手伝いさんのタンゴ』~チュエカ『大通り』より


『奥様』も歌います。


『ラ・ドローレス』ドミンゴお見事!


時代の寵児を生み、独自の文化の華を咲かせたスペイン。多くの外国人音楽家がスペインに魅せられ、ビゼー『カルメン』、シャブリエ『狂詩曲スペイン』、リムスキー・コルサコフ『スペイン交響曲』など、スペイン趣味の楽曲が作られました。魅惑の国スペイン、憧れの国スペイン…!!
しかし一方で、スペインその国の音楽家たちは、ある種強烈な“スペイン趣味”を脱すべく、あるいは、より昇華すべく、模索を始めます。偉大な音楽学者フェリーぺ・ぺドレル、そして彼の教えを受けたアルベニス、グラナドス、ファリャへ…。時代は移ります。
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第5回教養講座『Las Músicas de España』(スペインの音楽)
今からでも受講可能です。これまでの講座の様子は、こちら。
『第1回』 『第2回』 『第3回』 『第4回』

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by Megumi_Tani | 2014-01-21 23:36 | スペイン歌曲 | Comments(0)

愛しの「ラ・パロマ」   

これまでに何十回、いや何百回歌っただろう?「ラ・パロマ」は、ピアノ伴奏良し、ギター伴奏良し、の名曲である。

名曲、と漢字で書くのはどこか似合わない。ゆったりと揺れるハバネラのリズム、どことなく懐かしいメロディー、港の別れ、恋心を歌った詞…。クラシックのような、ポピュラーのような…。レストランやテレビCMなどで、題名を知らぬまま耳にされている方も多いだろう。作曲者は、S.イラディエール。キューバ旅行で出会ったハバネラのリズムに魅せられ、この曲を書いたそうな。

歌い出し「Cuando」の言い心地が、歌うたびに違う。歌い手の私の気分を柔軟に受け止めてくれる曲だ。だから、どれだけ回数を歌っても、歌うたびにaire(気配・雰囲気)が変わる。歌は生きものだと実感させてくれる。

アンコール曲として歌うことが多いが、今年のリサイタルでは、しかるべき理由から、堂々とプログラム入りさせていただいた。理由の種明かしは、当日のお楽しみということで!!
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by Megumi_Tani | 2009-10-10 08:31 | スペイン歌曲 | Comments(2)