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海のマリアちゃん   

知人の紹介?で、突然、とある母娘のご訪問を受けた。バルセロナ近郊在住、日本への里帰りを終えて間もなく帰国されるという。私がスペイン歌曲を歌っていると知り、嬉しいことに!わざわざ会いに来てくださったのだ。お母さんの隣りには、音楽院でピアノを勉強しているという娘さんがニコニコして立っている。ピアノはピアノでも伴奏が大好き、とのこと。「歌はね、伴奏が上手いと、100万倍上手に歌えるの。ガンバってね!」と、力を込めてエールを送った。こんなに若い時からアンサンブルが好きとは頼もしい。

「11月に日本にいれば、何が何でもリサイタルをお聴きしたいのに…。残念です」と、お母さん。そういえば、昨年のリサイタル終演後、見ず知らずの女性から声をかけられた。バルセロナで長く暮らして帰国。日本での暮らしは落ち着いたけれど、バルセロナが恋しくて仕方がない。何か、何か、、、と情報を探しているうちに、私のリサイタルを見つけられたとのこと。「今日は聴かせていただいて本当によかったです」満面の笑みを浮かべて仰る言葉を聞き、私も嬉しくなった。

昨夜は、日本・カタルーニャ友好親善協会のテルトゥーリアに参加した。吉祥寺のスペイン料理店ドス・ガトスのオーナーシェフ、高森敏明さんの講演の後、カバとワインとお料理でワイワイガヤガヤ。会の名称の通り、このイベントに集まる人はカタルーニャ好き、バルセロナ好きが多い。外国とご縁が出来る際、それがどの国になるか。スペインの場合は特に、スペインのどの街と、どの地方とご縁が出来るか、によって、まるで様相が変わってくる。「偶然はありません。あなたが私達の国に来たのは必然だったのです」と、昨夜初めてお目にかかった紳士は、どこかの国の人に言われたそうだ。

さて、突然訪ねて来てくれたお母さんと娘さん。別れ際に、娘さんのお名前を聞いた。
「マリア・デル・マールです」
「え?マリア・デル・マールって…。知っている?あの…」
「はい!あの教会、あの本ですよね。分厚くて日本には持ってこられなかったけれど、夢中で読んでいます」
驚いた。つい二日前、オペラ・ブック・カフェで、その分厚い本、〈海のカテドラル〉をご紹介したばかり。ピアノ好きの可愛いお嬢さんのお名前は、その小説の舞台、海の聖母教会~サンタ・マリア・デル・マールに由来するマリア・デル・マール~海のマリアちゃん、だったのだ。

蒸し暑い日本の風に紛れて、かすかに、でも、確かに、バルセロナの風が吹いている。
五感を研ぎ澄ませて、佳い歌を歌いたい。

第26回リサイタル
スペイン浪漫Ⅲ~グラナドス生誕150年、モンポウ没後30年に捧ぐ
2017年11月19日午後2時開演@Hakuju Hall(代々木八幡)
ご来聴をおまちしています♪

海の聖母教会


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by Megumi_Tani | 2017-07-19 23:41 | ビバ!エスパーニャ! | Comments(0)

『天国の囚人』   

内戦前後のバルセロナを舞台にした歴史エンターテイメント小説。『風の影』 『天使のゲーム』に続くシリーズで、最終的には、未発表の作品と併せ、4部作になるらしい。

『風の影』で少年だった主人公ダニエルは、美しい妻をもつ青年になっている。例によって、謎の人物が現れ、親友フェルミンの秘められた過去が歴史の暗部とともに明かされていく。時系列が行ったり来たりするややこしさは『風の影』と同じだが、それもまた著者の巧妙な演出であることに気付かされる。ダニエルとフェルミンを取り巻く人々が複雑に絡み合い、ストーリーは二転、三転。時に歴史小説、時にサスペンス、時にラブロマンス、時に生きる格言集…?随所にちりばめられた街の風情、通りやバル、レストラン、ブティックetc, が実名で登場するのも、バルセロナファンには嬉しいところ。挿絵などひとつもない文庫版だが、まさに「劇画」の味わいだ。
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詳細はこちら ⇒ 『スペイン語の歌のクラス

   
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by Megumi_Tani | 2016-05-12 12:39 | 本の窓 | Comments(0)

『イシイタカシ情景画家展』2015   

師走とは思えないポカポカ陽気の午後、南青山のギャラリーに出かけた。華やかな表参道、青山通りを一歩入ると、街は急に閑静なたたずまいに変わる。目指すは『イシイタカシ情景画家展』最終日にやっと駆けこんだ。

石井先生との出会いは1987年に遡る。ある日偶然、本屋さんで、出版されたばかりの詩画集『プラテーロとわたし』を見つけた。J.R.ヒメネスの名高い詩『プラテーロとわたし』にほのぼのとした絵と日本語訳が添えられている。どこまでも続く山並み、教会の鐘、夜空の月、小さなロバ、優しく心丈夫な人々…。情熱の国!だけではない、素朴で温かいスペインが淡々と描き出されていた。いいなぁ…。購入した。
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翌1988年、CD『プラテーロとわたし』の中の「子守歌」を歌う話が舞い込んだ。いろいろと課題があったが、上記『プラテーロとわたし』の絵がCDの表紙絵・挿絵に使われると聞いて心が動き、お受けした。

時は流れて今年、2015年。ある日偶然、Facebookで石井先生のお名前に遭遇した。アッ!記憶の彼方に消え去っていたCD『プラテーロとわたし』のこと、そしてそれよりもっと前の詩画集との出会いが蘇った。さっそくFBで繋がり、「あの子守歌の谷めぐみです」とお伝えすると、先生も驚かれていた。

そしてこの度の個展開催。実に28年の時を経て、初めて石井先生ご本人にお目にかかることが出来た。ギャラリーいっぱいに展示された作品。大いなる自然に抱かれた、ちっぽけな、でも、たくましい人間の姿が描かれている。個展最終日、搬出の作業が始まるギリギリまで、スペインよもやま話に花が咲いた。偶然に偶然が重なって訪れた嬉しい出会いの時間だった。 

画集『LA FELICIDAD DE CADA DÍA』~絵、タイトル、メッセージが心に響きます。タイトルのスペイン語訳が素晴らしい! HPはこちら ⇒ 『イシイタカシの情景美術館
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このCD、今はもう手に入らない。ところがFBで話題が出ると、「僕、持っています」「以前ヤフオクで手に入れました」などと書き込む方が現れた。さすがSNS!びっくり!
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by Megumi_Tani | 2015-12-03 21:52 | ビバ!エスパーニャ! | Comments(2)

『バルセロナのガウディ建築案内』   

先月出版されたばかりの写真集をご紹介します。
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貴重な写真の数々が美しい!ページをめくり、眺めているだけでも素敵です。さらに、読み物も充実。世界遺産・聖家族教会をはじめ、ガウディが手がけた数々の作品が、当時の社会情勢、彼を取り巻く人間関係、関連するエピソード等々とともに、詳しく紹介されています。

聖家族教会建築に自らの命を捧げ、最後は市電に轢かれて亡くなった…。ガウディといえば、そんな「聖なる人」のイメージが定着しています。しかし、当然のことながら、ガウディにも若き修業時代がありました。この本には、世に出ようと必死にもがく青年ガウディ、時代の寵児としての顔、恋するガウディ、苦悩と葛藤に悶々とする日々etc、生身の「人間ガウディ」が深く息づいています。

ガウディの作品を訪ねながら、バルセロナを、ちょっと足を延ばしてカタルーニャの町やレオンを、散歩している気分!お奨めです。
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by Megumi_Tani | 2014-12-13 22:47 | 本の窓 | Comments(0)

スペインの音楽講座『クラシックのスター達による名曲・名演』   

昨年9月に始まった音楽講座もついに最終回を迎えました。今回はフィナーレを飾るにふさわしく、スペインが生んだクラシックのスター達の名曲・名演オン・パレードを思いっ切り楽しむことにしました。とはいえ、まさに星の数ほどいる古今のスターたち!涙を呑んで主に19世紀末~20世紀に活躍した演奏家に絞り込み、さらに涙を呑んで各々の演奏のYoutubeの中から一つを選び出し、しかもそれでも時間をオーバーしてしまうので、最後は心を鬼にしてYoutubeを途中カットしながら聴き進む、という切ない展開になりました。そのほんの一部、これぞ!という名演をお届けいたします。(例によって、画面左上の白い文字をクリックしてください。フル画面になります)

アリシア・デ・ラローチャ~タンゴ(アルベニス)


パウ・カザルス~バッハ無伴奏組曲第1番


アンドレス・セゴビア~モーツァルトのテーマによる変奏曲


ビクトリア・デ・ロス・アンへレス~デビュー45周年記念コンサート@カタルーニャ音楽堂


テレサ・ベルガンサ×プラシド・ドミンゴ~カルメン(ビゼー)


上の名コンビのこんな心温まる映像も!
昨日Facebookで「癌の疑いで検査を受ける」と、ドミンゴ本人が書きこんでいました…。


「日本におけるスペイン音楽」について、Papá de Música española en Japón(日本におけるスペイン音楽の父):濱田滋郎先生の存在なくして語ることは出来ません。クラシック、フラメンコ、ポピュラーetc。あらゆるスペイン音楽についての長年の研究、とてつもなく豊富な知識と考察、数多くの名音楽家との交流、そして何よりも深い深いスペインへの愛を以て、日本にスペイン音楽の魅力を伝え、私ども、スペイン音楽に携わる者を導いてくださっています。1982年に旧版が、そして2012年に新版が出た『スペイン音楽のたのしみ』は、専門家も趣味の方も、スペイン音楽に心惹かれる方すべてにお奨めの名著です。 新刊『スペイン音楽の楽しみ』
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講座の最後に、1986年のヴィクトリア・デ・ロス・アンへレス来日公演と私が通訳を務めたマスタークラスの思い出をお話ししました。 「ヴィクトリア・デ・ロス・アンへレスが教えてくれたこと」
個人的には、まさに宝物のようなかけがえのない思い出であり、また一方で、「日本におけるスペイン音楽」について、胸中複雑な思いがよぎる出来事でした。かれこれ三十年を経た今、はたして状況は変化したといえるのでしょうか…??

歴史と風土と人が織りなす極彩色の絵巻物、躍動する光と影、愛と哀と祈りの響き…。語りつくせぬスペイン音楽の世界を駆け抜けた一年間でした。スペインに関わっている受講生さんにはその音楽の魅力を、そして、音楽通だけれどスペインに詳しくない受講生さんにはスペインの魅力を、ほんのわずかでも感じ取っていただく機会になったとすれば、こんなに嬉しいことはありません。

貴重な講座を企画し、スペインのポピュラー、ジャズフラメンコ等々について熱くご講義くださった碇塾頭先生、スタッフとして講座を支えてくださった事務局Mさん、ありがとうございました。そして一年間熱心に通われた受講生の皆さん、お疲れ様でした♪ Hasta la vista!

これまでの講座の様子は、こちら。
『第1回』 『第2回』 『第3回』 『第4回』 『第5回』 『第6回』 『第7回』  『第8回』 『第9回』
『第11回』 第10回は諸般の都合でレポートが抜けています。申し訳ありません。
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ご来聴をお待ちしています
第23回谷めぐみリサイタル《スペイン浪漫》
2014年10月4日(土)午後2時@Hakuju Hall
チケットのお申し込みなど、詳しい情報は、上をクリック060.gif
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by Megumi_Tani | 2014-08-20 21:03 | 講座/セミナー | Comments(0)

バルセロナに響いた日本の歌   

1985年6月10日、師マヌエル・ガルシア・モランテ編曲『日本民謡集』の出版記念演奏会が開かれた。
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会場は、市庁舎の中にある「百人会議の間」。中世バルセロナの歴史を誇る由緒ある部屋だ。小説「海のカテドラル」にも、その名が登場する。

市主催の行事とあって、お歴々の長い祝辞があり、その後で、日本民謡集の中から数曲を師のピアノ伴奏で私が歌った。当日の様子は、歌修行日記「Hola!バルセロナ」をご覧いただきたい。「Hola!バルセロナ43」 「Hola!バルセロナ44」
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さて、思いがけず、その日のライブ録音がYoutubeにアップされた。スペインでアップされたものを即、日本で視聴できる。手紙到着に片道一週間かかったあの頃からは、想像もできない時代だ。
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by Megumi_Tani | 2014-05-01 22:58 | Musica あれこれ | Comments(0)

新刊『オペラは手ごわい』   

今年のお正月、NHK教育テレビ『らららクラシック』で、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」が取り上げられていた。このオペラには、リューという女奴隷が登場する。原作にはなかった役だそうな。オペラ化にあたり、プッチーニが、わざわざこの哀れな女奴隷の役を創作したのだ。では、なぜプッチーニは、そこまでしてリューを登場させたのか?その辺の事情を、オペラ研究家、岸純信氏が極めて分かりやすく解説してくれた。なるほど。プッチーニって、恋多き男だったのね。。。
それにしても、リューとは、懐かしい!昔々の鮮烈な記憶が蘇った。

大学を卒業して間もない頃、まだスペイン歌曲に出会う前の話だ。私はとある演奏会でリューのアリアを歌うことになった。いや、正確には、何かアリアを歌わなければならない会だったので、自分でこのアリアを選んだのだ。エキゾチックな音と切々たる哀感、そして鋭く突き刺さるような最後の二音が好きだった。聴き映えしないとか、短い、とか、地味だとか、周りには色々言われたが、自分と自分が歌う歌との違和感にずっと苦しんでいた私は、もう何かの理由付けで選曲するのが嫌だった。自分が「歌おう」と思う歌を歌いたかったのだ。

「リュー」の練習を始めた頃、レコード店で輸入盤セールがあり、偶然、一枚のマリア・カラスのLPを見つけた。『椿姫』なら「あぁ、そはかの人か…花から花へ」ではなく「さようなら、過ぎ去りし日よ」という具合に、いろいろなオペラの一番目ではなく、二番目、三番目?に有名なアリアばかりを集めた、一風変わったレコードで、そのなかに「リュー」が収められていた。学生時代にアリア集を聴いて、独特の声に居心地の悪さを感じて以来、マリア・カラスは苦手だった。でも、まぁ「リュー」が入っているから聴いてみようか。そんな軽い気持ちでLPを買って帰った。

その夜、ステレオに針を落とし、部屋いっぱいに「リュー」が鳴り響いたときの衝撃…。ハンマーで頭を殴られたようだった。ひれ伏したいような気さえした。声がどうしたとか、好きだとか嫌いだとか、そんな言葉に出来るありとあらゆる理由を超えて、わずか2分半のアリアが、私の中の何かを引っくり返した。 「マリア・カラスは凄い!」



テレビでリューを語ってくれたオペラ研究家、岸純信氏の新刊が出た。
冒頭、マリア・カラスとレナータ・スコットの手に汗握るエピソードが紹介されている。
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「椿姫」「ノルマ」「ルチア」「カルメン」「ペレアスとメリザンド」そして幻の「ラ・エスメラルダ」etc。
数々の傑作オペラが、どのように生まれ、どのように存在し、どのように消えていったか。社会的背景、歴史的意味、ストーリー、音楽内容、作曲家の人となり、各々の作品にまつわる奇々怪々な人間ドラマ、悲喜こもごものエピソード…。熱く真摯な筆にぐんぐん惹きこまれ、心はいつのまにかオペラの迷宮へ…。ただのガイド本ではない。「オペラのすべて」への著者の愛が感じられる、まさに、情熱のオペラ文化論だ。

隠れたテーマとされている「19世紀のパリが世界中から音楽家を呼び寄せた理由」も、興味深い。スペインの偉大な音楽家達、アルベニスもグラナドスもファリャもトゥリーナも皆、「パリ無し」では存在しなかった。19世紀のパリとは?奇しくもこの八ヵ月、「スペインの音楽講座」を担当するなかで、私の心に強く留まったテーマだった。

あの時マリア・カラスのLPに出会ったのも偶然だった。今回テレビで「リュー秘話」を聞いたのも偶然だった。不思議。リューは時々、影のように、ふっと私のそばに現れ、何かシグナルを送ってくれる。
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by Megumi_Tani | 2014-05-01 00:16 | 本の窓 | Comments(2)

『カザルスと国際政治』   

先日の音楽講座に関連して、細田晴子著『カザルスと国際政治』をご紹介したい。
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国際政治学者である著者が、残された膨大な資料をもとに、詳細にカザルスの生涯をたどっている。カザルスといえば、平和主義、反フランコ、と、すぐに心に浮かぶ。では、彼はいかなる経緯を経てその主張にたどり着いたのか?96年という長い生涯のなかで彼の思いは変化したのか?あるいは、しなかったのか?文化国際主義とは?カザルスが信じた音楽の力とは?etc。
激しく揺れ動く国際情勢、複雑に絡み合う主義主張、人間関係…。客観的な資料の検証から、人間カザルスの姿が浮かび上がる。 ユニークな切り口!カザルスファンの方、お薦めです。

思わずタメ息が出たのは、「クラシックは売れないから」との理由で、マエストロ・カザルスでさえレコード発売を断られていること。昔から、みんな苦労していたんだなぁ。。。

カザルスご本人の語りをまとめた 『カザルスとの対話』 こちらも興味深いエピソード満載です。

カザルスはピアノも上手かった!
ヴィクトリア・デ・ロス・アンへレスの歌、カザルス伴奏によるブラームス歌曲です。

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by Megumi_Tani | 2014-02-20 12:49 | 本の窓 | Comments(0)

ルネッサンス・ビウエラの謎に迫る   

音楽講座『Las Músicas de España~スペインの音楽』第三回目が終了しました。16世紀スペインに彗星のごとく現れ、わずか四十年の隆盛期を経て、こつ然と姿を消した謎の楽器ビウエラ。その謎に多彩な角度から迫る力作『ギター前史 ビウエラ七人衆』を昨年出版された西川和子先生が今回の講師です。著者ご本人のお話をナマで聞けるのは、まさに、この講座ならではの企画!

ミラン、ナルバエス、ムダーラ、バルデラーバノ、ピサドール、フエンリャーナ、ダサ。時代背景、当時の政治・社会情勢を俯瞰しながら、七人のビウエリスタの家族関係、生活状況、人となりを探り、彼らの人生とビウエラの運命に迫る…。とても興味深いお話でした。音楽は、芸術は、いつも「人間」とともにあることを、あらためて実感します。

授業で紹介された演奏:Pisador“Que es dama tanto quereros”


この講座は途中からの受講も可能です。
ご興味をお持ちの方、どうぞお気軽にお問い合わせください
第5回教養講座『Las Músicas de España』(スペインの音楽)
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by Megumi_Tani | 2013-11-19 22:40 | 講座/セミナー | Comments(0)

『カタルーニャを知る事典』   

日本におけるカタルーニャ研究の第一人者、田澤耕先生の最新刊『カタルーニャと知る事典』が出ました。2013年3月15日付。
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そもそもカタルーニャとは何ぞや?というところから始まって、政治的・経済的位置付け、歴史、言語、建築、美術、音楽、文学、芸能、スポーツ、食べ物、そして、奇跡の都市バルセロナetc。カタルーニャ語の苦難の歴史、ガウディ―、カザルスらカタルーニャが生んだ偉大な芸術家たち、バルセロナ万博、バルサ、二つのバルセロナ・オリンピック、パ・アム・トゥマカット(トマト付きパン)、クレマ・カタラナ、ダノンヨーグルト、はたまた慶長遣欧使節、貞奴…。あらゆる角度からカタルーニャの姿、魅力を伝えてくれます。各章の終わりにある「ノート」が、また小気味よく、楽しい。バルセロナ・ファン必読の書!

外国語をカタカナで表記することは、悩ましい問題です。原音を尊重し、出来るだけ原音に近い表記で。これが大前提ですが、日本での表記の慣用もあり、なかなかひと筋縄にはいきません。一番分かりやすい例は、タレガ作曲「アルハンブラの想い出」でしょう。「Recuerdos de la Alhambra」これは原音ではアルハンブラではなくアランブラですが、日本でアランブラと言っても、ほぼ誰にも通じません。前回のリサイタルでこの曲をヴォカリーズで歌った際も、印刷物の校正段階で、「これって、あの有名なアルハンブラのことですよね?」と、チェックが入りました。カタルーニャ語に関しては、この問題がもっと大変です。たとえば、6月に歌う「モンセラートの聖母に捧げる祈り」という曲。修道院や黒いマリア像で有名なモンセラートですが、これはより原音に近く記せば、ムンサラット、となります。パンフレット作成に当たり、悩みに悩み、結局、日本で通じる?モンセラートと表記しました。『カタルーニャを知る事典』では、慣用も取り入れつつ、限りなく原音に近い表記が紹介されています。エンリケ・グラナドスのエンリケはアンリック、モンポウはムンポウ…etc。へぇ、こんなに違うんだ…と、たぶん驚かれる方も。まさに本の帯にある「スペインであってスペインでない!?」カタルーニャの奥深さを実感していただけると思います。

それにしても、リサイタル『愛しのバルセロナ』開催を前に、こんなご本が出るなんて嬉しいなぁ。
田澤耕先生、ありがとうございます!
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by Megumi_Tani | 2013-04-03 22:10 | 本の窓 | Comments(6)