マジすか?
2017年 05月 27日
とあるお店で、初めてお目にかかった可愛いマドリード娘リタちゃんとの会話。
私「Soy cantante de las canciones españolas」
リタちゃん「En serio~?!?!?」
思わず吹きだした。「En serio?」⇒「本当に?」「真面目に言っているの?」
リタのような若い娘が言うと、まさに今の日本の若者言葉「マジすか?」そのものだ。
「スペイン歌曲の歌い手なの」「マジすか?」こんな具合になる。
「スペイン歌曲?スペインのどんな歌?」とリタ。「クラシック歌曲」と私。「たとえば、誰の歌?」「グラナドス、ファリャ、モンポウ…」「グラナドス?知らない。モンポウ?知らない。あ、ファリャって名前は聞いたことがあるかも…」「チェロのカザルスは?」「知らない」…。彼女はマドリ―ド娘だからカタルーニャの音楽家は知らないのかな?「じゃぁトゥリーナは?」「知らない」…。
2月のカタルーニャ友好親善協会のテルトゥーリアでは、講演終了後に、ひとりのカタルーニャ出身の青年がやって来た。「今日初めてペドレルの名前を聞いたよ。実は、話を聞きながら、ホントかな?と思って、こっそりスマホで検索してみたんだ。そしたら、貴女が説明した通りのことが出てきてビックリ!どこでそんなことを勉強したの?」と、目をまん丸くしている。こっそり検索とは何とまぁ失礼なことよ、と内心呆れつつ、グラナドスやカザルスは知っていても、もう一歩踏み込んでペドレルまでいくと、やはり知らないのかな?と、再確認。
リタやカタルーニャ青年に限ったことではない。留学時代の語学学校の先生アントニオは、私が「スペイン歌曲を勉強しに来た」と言うと「歌曲?クラシック?要は休暇ってこと?歌い手なら“Bésame mucho”は知ってる?」などと、いつも軽口を叩いていた。
日本でお目にかかる音楽家ではないスペイン人と話した際の反応は、概ね似たようなものだ。「スペイン歌曲の歌い手」に驚き、「クラシック歌曲」に困惑する。「音楽は好きだけれど、クラシックはあまり詳しくなくて…」と、口ごもる。
ことほど左様に、クラシックのスペイン歌曲は、スペイン人にも広く知られているとはいえない。が、考えてみれば、日本でも事情は似たようなものだろう。滝廉太郎、山田耕筰は知られているが、例えば、信時潔、草川信となると、ご存知ない方も多いのではないか。
セルバンテス文化センターのセミナーでは、そんな知られざるスペイン歌曲の世界に様々な角度からアプローチ。音と映像で分かり易くご紹介しています。6月開講『魅惑のスペイン歌曲Ⅲ』は、リクエストにお応えしての入門編。歴史、風土に根差したスペイン歌曲ならではの魅力をお楽しみください。
音楽家以外の方も大歓迎!ご参加をお待ちしています。