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特別な夏

連日猛暑が続いている。世は夏休み&連休の真っただ中。いつもの年であれば、大混雑の羽田空港を飛び立つ頃だが、今年は帰省もせず、特別な夏なるものを満喫、ではなく、粛々と過ごしている。この回りくどい日本語が今の状態と心境を如実に表しているかもしれない。

今朝ラジオをつけると、コロナ禍で一躍有名になったO女史が話しておられた。ワイドショーでの人気は知っていたが、実際に話を聞くのは初めてだ。「皆さん、大切なのは換気です!換気に気を付けましょう!」と明るく朗らかに分かりやすく呼びかける。なるほど、これはテレビで人気が出るはずだ。

SNSでは百花繚乱、色とりどりの情報が飛び交っている。極めて大雑把に二つに分ければ、「とにかく危険!どこまでも危険!」と「目を覚ませ!コロナはただの風邪だ!ちっとも危険じゃない!」というところだろうか。各々のなかで意見、私見はまたまた入り乱れ、錯綜、混乱している。これだけ情報が溢れているのに、いや逆に溢れているからこそ、何が真実なのか、何が正解なのか、誰にも分からない。で、誰にも分からないから、Gotoキャンペーン旅行はOKだけれどお盆帰省は控えて、とか、お盆帰省はダメではないけれど帰るなら個々の事情で慎重に考えて、とか、よく分からない指示がどんどん増えてくる。で、我々は、目まぐるしく変わるバラバラの指示の意味がチンプンカンプンだから、結局自分で考えて行動しましょう、ということになる。これは指示を鵜吞みにするのではなく、物事を自分で考えるトレーニングになるから、もしかすると回りまわってよいことなのか?しかしそれならそれで、もう少し具体的に考えるネタを提示してほしいものだ。「高い緊張感をもって注視」といつもいつも言われてもなぁ。。。何だかモヤモヤとした、特別な夏である。

そこへ数日前、スペインから息をのむニュースが飛び込んできた。

私が前国王フアン・カルロスI世に興味を持ったのは、昔、とある記事を読んだことがきっかけだった。フランコの元で育成されていた頃は、反応が鈍く、己の意思表示をほとんどせず、知的障害者ではないか?という噂さえあったという。そんな人物が、世界のどこにも前例のない「奇跡の民主化」を成し遂げた。そのプロセスは、事実は小説より奇なり、以上のサスペンスである。孤独な生い立ち、特異な生育環境、沈黙、突然の爆発的能力発揮、緻密さと大胆さ…。人間の精神は、かくも劇的な変化に耐えうるものなのだろうか?その一点への興味から、本を読んだり、講義を聴講したり、スペイン現代史についてずい分学ばせていただいた。思えば、「abdicación~退位という歌の文句には出て来ない単語を覚えたのも、彼のおかげ?である。齢80を越えての今回の行動、その精神の根底に何が隠されているのだろう?答えは彼だけが知っている。いや、もしかすると彼自身にもよく分からないのかもしれない。私に限らず、スペインに深く関わった人間は、まさに高い緊張感をもって事態の推移を注視している。何ともやるせない、特別な夏だ。。。

★前国王の生涯をまとめたドキュメンタリー
ご参考までに:
29分付近~当時の皇太子皇太子妃両殿下(現上皇上皇后両陛下)との会見の様子
1時間12分付近~伝説の議会場の場面
1時間17分付近~「ゲルニカ」搬入の様子
1時間18分付近~バルセロナ・オリンピック

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by Megumi_Tani | 2020-08-10 00:25 | エトセトラ

スペイン歌曲のスペシャリスト♪谷めぐみのブログです


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