イカの粋
2009年 12月 28日
スペインでもイカを食べる。最もポピュラーなのは、イカの空揚げ(calamares fritos)だろう。皿に山盛りのリングフライならぬリング空揚げを、塩をふってムシャムシャ食べる。日本で有名なのは、イカ墨のパエリャだろうか。その名の通り、イカ墨のダシと色がきいた、真っ黒な魚貝入り洋風炊き込みご飯である。が、これも、なかなか本気ものにはお目にかかれない。黒いだけで何の旨味もないパエリャが出てくると、ガッカリする。
イカ墨のパエリャに限らず、“スペイン料理”と称した不味い料理に遭遇することがある。もしもスペイン料理初体験の人がこの料理を食したら、「なぁんだ、スペイン料理ってこんなもの」とガッカリするだろう…。余計なことだが、心配になる。初めて食べた時の印象の悪さでその食材や料理を嫌いになる、というのは、よくあることだ。初めての味には、責任がある。
スペインの歌も同じだ。どなたかに誘われて、あるいは、何かで情報を得て、私のコンサートに足を運んでくださった方が初めてスペインの歌を聴く。「なぁんだ、スペインの歌ってこんなもの」とガッカリすれば、もうそこまでだ。初めての印象が悪ければ、興味が失せる。興味が失せれば、やがて忘れてしまう。下手をすれば、嫌いになってしまう。初めての歌にも、責任がある。
つらつらとそんなことを思いながら、生きのいいイカをつつく。店のお兄ちゃん達は勇ましく、気風がいい。生きは活き、そして粋かも…。師走の夜が更けた。来年も、いい歌を歌いたいなぁ。
by Megumi_Tani | 2009-12-28 09:08 | エトセトラ | Comments(3)
スペインの唱。
なんとなくノスタルジーを感じますねー。
ホタでしたっけ。
音楽はホンとに素晴らしいですね。
今日もスマイル

「唱」とは、素敵な字をあててくださいました。音楽畑のお方と拝察。ホタをご存知とは!嬉しいことです。スペインの郷愁:ノスタルジーに魅かれて、ずっと歌ってきました。本当に音楽は素晴らしいですね。
natsu-daisukiさん、ようこそ!
姿形は変幻自在、その身は柔らかく、しかもスルメになれば噛めば噛むほど味が出る…。我々も、いかさまならぬ、イカ様の魅力にあやかりましょう!