一期一会   

6月29日、NHK文化センター八王子教室で「優しい名曲サロンコンサート」が開かれた。
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グノー「アヴェ・マリア」とヘンデル「私を泣かせてください」から始まり、シューベルト「セレナーデ」は~ひめやかに闇を縫う~の日本語で。カッチーニ「アヴェ・マリア」は敬虔かつ妖艶、儚く美しい。ショパンの歌曲「願い」「指輪」「美しき若者」は、歌詞を彼自身の人生と重ね合わせると興味深い。この日のために私が作った日本語詞で歌った。一転して「別れの曲」はヴォカリーズで。この曲は「春の日 そよ風~」の詞が有名だが、オリジナルはピアノ作品である。「こんなに美しいメロディーをこれまでに書いたことがない」と弟子に語るほど、ショパン自身にとっても会心の作であったらしい。そのご本人お気に入りのメロディーにあえて歌詞をつけて歌うのは、いかがなものか?ショパンの意思に反してはいないか?

昨今、器楽曲に歌詞を付けた音楽が流行しているが、作曲家が“旋律”で創りあげた世界に、ある意味勝手な解釈で“言葉”を付け加えることに私は疑問を感じている。言葉の力を使いたければ、作曲者本人が歌曲に仕上げていただろう。この日に歌ったロドリーゴ「わが心のアランフェス」にも、スペイン語、英語、フランス語等々の歌詞が付けられているが、オリジナルであるギター協奏曲に敬意を払い、私はずっとヴォカリーズで歌ってきた。いつか冥界でマエストロにご対面したら、胸をはって、そうご報告したい。美しい旋律は、言葉を越えた言葉を雄弁に語っている。

コンサートの締めは、待ってました!の「ラ・パロマ」
いつ歌っても、多分いつ聴いても、このハバネラはいい!!

教室にはいっぱいのお客様。日頃から熱心な生徒さんもいれば、しばらくぶりのお顔も見えた。八王子にはいささか遠い町から、ミニ・ツアーを組んで来てくれたグループもいる。満場の熱気、歌、ピアノ、合間のオシャベリ、笑い、拍手…。束の間、現実を離れ、みんなで一緒に心を解放する。コンサートはナマモノだ。同じ時間は二度とない。

「胸がキュンとなりました」と、嬉しい感想。歌を絆に積み重ねてきた一期一会、そのひとつひとつが愛おしい。
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by Megumi_Tani | 2010-07-01 08:44 | リサイタル | Comments(0)

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