魂の鳥   

リサイタル本番三日前。慌しい。しかし、意外に静かな時間が流れているものだ。

第一ステージで、F.モンポウの作品『魂の歌』を歌う。演奏者泣かせの難曲だが、16世紀スペインのキリスト教神秘家サン・フアン・デ・ラ・クルスによる詞は、この世には見えない神を讃え、気高く美しい。

同じサン・フアン・デ・ラ・クルスに、こんな作品がある。

『孤独な鳥の条件』
孤独な鳥の条件は五つ:
第一、孤独な鳥はもっとも高いところへ飛ぶ
第二、孤独な鳥は仲間にわずらわされない
        同類にさえわずらわされない
第三、孤独な鳥はくちばしを天空へ向ける
第四、孤独な鳥はきまった色をもたない
第五、孤独な鳥はやさしく歌う

「閃きました」とデザイナー氏が送ってきた今回のチラシのデザインを見た瞬間、ドキッとした。くちばしを天に向け、飛び立とうとする鳥。特定の色も形ももたず、より高く、より高く昇りゆこうとする鳥。チラシの鳥は、サン・フアン・デ・ラ・クルスの詩に詠われている孤独な鳥そのものの姿ではないか。『鳥の歌』を歌う心と『魂の歌』を歌う心はどこかで結ばれていたのか。いや、結ばれていたのではない。その源が同じなのだ…。
選曲のときには思いつきもしないことだった。デザイナー氏の閃きが不思議な気がした。

今回は、これまでにも増して、スペインの歌が私に色々なことを教え、気づかせてくれた。酷暑の夏をバテずに走り回らせてもくれた。「なんと世話が焼ける歌い手さんよ」と、歌たちの方がタメ息をついているかもしれない。

「第五、孤独な鳥はやさしく歌う」とある。いくつもの『鳥の歌』を散りばめたコンサート、やさしい鳥がいっぱいに舞ってくれることを願って!
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by Megumi_Tani | 2010-09-29 10:02 | リサイタル | Comments(0)

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