『魂の歌』
2010年 10月 12日
歌詞は、16世紀スペインの神秘思想家サン・フアン・デ・ラ・クルスによる。難解な言葉をひとつも使わずに神を讃え上げた詩は易しくて難しい。
その世界をより深く捉えるべく、あれこれ試行錯誤していたときに、たまたま友人に薦められたのが『海のカテドラル(La Catedral del Mar)』だ。
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アルナウの信仰は理屈ではない。勉学でもない。母親を知らずに育った彼は、マリア様を母と慕い、どんな時にも海の聖母像を見上げ、祈る。その素朴な心、見えない光に輝く心に触れたとき、ふと『魂の歌』のベールが一枚はがれた気がした。「たとえ暗闇でも私にはわかる」と繰り返す、その詩が、ほんの少し感じられる気がした。この時期にこの本にめぐり会えたことが不思議にもありがたかった。
ア・カペラとピアノ・ソロという緊張感に満ちた構成、そして詩の奥に秘められた真意。『魂の歌』は難曲だ。アルナウに習い、素直な心で、生涯追い求めていく作品なのかもしれない。