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ガリーナ・ヴィシネフスカヤ   

バルセロナの私の恩師は、世界的名歌手ビクトリア・デ・ロス・アンへレスをはじめ、多くの歌い手の伴奏を務めたピアニストだった。日々彼のピアノでレッスンを受けていた私は、知らず知らずのうちに「伴奏」の存在の大きさを骨の髄まで叩き込まれた。

伴奏者次第で、歌い手は自分でも信じられないほど(笑)うまく歌える。まぁ悲しいかな、その逆もある。伴奏⇒「伴い奏でる」と書くけれど、本当のところは、共に奏でる⇒「共奏」だ。練習もリハーサルも本番も、その区別なく、二人でひとつの音楽を創りあげていく。「共創」ともいえる楽しみ。

歌い手とピアニストの「共創」に初めて鮮烈な印象を受けたのは、時を遡ることン十年、大学時代のことだ。大阪で開かれた、ソ連(当時)のソプラノ、ガリーナ・ヴィシネフスカヤのリサイタル。ピアノ伴奏は夫君、ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ。大変申し訳なく恥ずかしことだが、私はガリーナの名前も、チェロの世界的巨匠ロストロポーヴィッチのピアノの腕前も知らなかった。「へぇ~。ロストロポーヴィッチって、ピアノも弾くの?!」くらいの、軽い気持ちで出かけたのだ。しかし…素晴らしかった。二人が阿吽の呼吸で創りだす音楽。音を楽しむ姿。その豊かな空気に包まれ、会場中が幸せになった。ラメ入りのシンプルな黒いドレスに身を包んだ美しいガリーナ。大らかにピアノを奏でるマエストロ。二人の姿が今もはっきりと目に浮かぶ。「共に創る音楽の魅力」を初めて知った、忘れられないコンサートだ。

今年のピアニスト、浦壁信二さんは、ジュニア時代に、ロストロポーヴィッチ指揮ワシントン・ナショナル交響楽団と共演している。年代をたどってみると、ちょうど彼の共演と、私がマエストロ夫妻の演奏に感激したのが同じ時期ではないか、ということになった(つまり、浦壁さんは、私よりず~っとお若いのデス)。日本ではほとんど知られていないガリーナの話が通じるのは嬉しい驚きだった。

音楽の絆が時空を超えて人と人を繋いでいく。演奏する私達も、客席の皆様も、遠くから思いを寄せてくれる人達も、共に感じ合い、ひとつになる。そんなコンサートが憧れ!

ラフマニノフ「乙女よ、歌わないでおくれ」
Soprano:ガリーナ・ヴィシネフスカヤ
Piano:ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ


by Megumi_Tani | 2011-11-10 08:12 | リサイタル | Comments(0)

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