人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『フラメンコ・フラメンコ』

カルロス・サウラ監督の映画『フラメンコ・フラメンコ』を観た。一幅の絵画を思わせるスクリーン、そこにカンテ(歌)、バイレ(踊り)、ギターが溶け合い、グラナドスが愛したゴヤの絵の世界が次々と繰り広げられていく。愛と裏切り、熱情とと絶望、誇りと自虐、哀しみと笑い…。パコ・デ・ルシアが弾いている!スペイン歌曲に出会うはるか前、ラジオからたまたま聞こえてきたスーパーギタートリオ『Friday Night in San Francisco』(1980)に度肝を抜かれて以来、私のスペイン・ミーハー熱の原点にパコがいる。おじさんというより、おじいさんの域に入ったパコの、ゆったりとくつろいだ雰囲気。カッコいいなぁ。

サウラ監督の日本デビュー作『カルメン』が1983年、『恋は魔術師』は1985年の作品というから、懐かしい。『バルセロナ物語』のアントニオ・ガデスが『カルメン』では、ホセにあたる役柄を演じていた。音楽はパコ・デ・ルシア。オペラと現代劇が一体化した凝った作りが斬新だった。主演女優さんはイマイチだったけど…。『恋は魔術師』は、ガデスとクリスティーナ・オヨスの名コンビ!燃えさかる炎の前で踊るオヨスの姿が今でもはっきり目に浮かぶ。

さて肝心の『フラメンコ・フラメンコ』は、といえば、とにかく美しい。現れては消えるマハの面影、さまようマホの苦悩、夢かうつつか…。迫力もある、渋さもある、しかし何より、美しい。めくるめく華麗な魅惑と官能の世界~何だか安いコピー(^^;; サウラ監督ごめんなさい。ただ、そこが、ウ~ン、どうなのかな?「美しさを讃えよう」とか「美しきダンスと音楽の饗宴」などという文言がチラシに踊っているから、美しい、と感じさせたのは成功の証?…と、なんとなく絶賛できないのが、残念。



『フラメンコ・フラメンコ』_e0172134_829250.jpg

by Megumi_Tani | 2012-07-04 08:30 | 本&映画

スペイン歌曲のスペシャリスト♪谷めぐみのブログです


by Megumi_Tani