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『情熱の階段』   

一冊の本をご紹介したい。
濃野平著『情熱の階段』
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闘牛士になる、という夢をかなえるべく、たった一人でスペインに渡った青年の自伝だ。無謀な旅立ちからスペインでの苦闘の日々、人々との濃密な関わり、数々の苦しみ、葛藤 etc が赤裸々に綴られている。伝統ある闘牛界の規則や苛酷な現実も極めて興味深い。

「ある日、闘牛に出合ってしまったのだ」という記述がある。そう、一度出合ってしまえば決して離れられない強烈な何か、が、スペインにはある。人生も人間性も存在の意味も、すべてをくつがえしてしまう何か。あらゆる理性を飛び越えて夢中にさせる何か。我々は一瞬にしてこの”何か”にやられてしまったのだろう。いつぞやの濱田滋郎先生との対談でも、その話題が出た。http://www.e-yakushiyo.net/Tani_Megumi-IP-Gendai_Gutarra.htm
何故?と問われても、理由はない。
porque sí~ただ、好きだから好き。スペインに出合ってしまったのだ。

著者は、たえず自問自答を繰り返す。闘牛という芸術をどこまでも追い求める自分、追い求めずにはいられない自分、日本人である自分が闘牛士を目指すことにどんな意味があるのか…。悶々と、黙々と、時には破滅ギリギリの危うさで、それでも、己の信じる階段を登り続ける。熱い。不器用で真っ直ぐな情熱がどこまでも熱い。

by Megumi_Tani | 2012-09-22 10:29 | 本の窓 | Comments(0)

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