ビクトリア・デ・ロス・アンへレス東京公演   

たまたまご縁があって渡った街がバルセロナ。そこで師事した先生は、なんと!あのビクトリア・デ・ロス・アンへレスの伴奏者だった。本人の無自覚無計画ぶりとは裏腹に、今こうして書いていてもGracias a Dios~神様のおかげ…としか言いようのない、本当に恵まれた私の留学生活でした。

80年代後半から90年代にかけて、ビクトリア・デ・ロス・アンへレスとマヌエル・ガルシア・モランテは世界中で演奏会を開き、日本へも何度も訪れました。私は日本に居ながらにして、二人の演奏を聴き、恩師に会うことが出来たわけです。恵まれた留学の、そのまたエピローグのような年月でした。娘がお世話になった先生にご挨拶をしたい、と、両親が北海道から上京し、カザルスホールの最前列で二人の演奏会を聴いた翌日、帝国ホテルで先生にお目にかかったのも懐かしい思い出です。

この時期、東京公演で必ずプログラム入りしていた曲が「パーニョ・ムルシアーノ」と「黒人の子守歌」です。ビクトリア・デ・ロス・アンへレスは「パーニョ・ムルシアーノ」がお気に入りだったようで、CDにもいろいろな時期の歌唱が残っていますし、インタビュー番組でも歌っています。

「黒人の子守歌」は、やはりバルセロナゆかりの作曲家で、グラナドスやモンポウより一世代若いモンサルバージェの作品『五つの黒人の歌』の中の一曲です。この『五つの黒人の歌』は、実に個性的、独創的、魅力的な作品で、ビクトリア・デ・ロス・アンへレスはピアノ伴奏、オーケストラ伴奏両方で、それはそれは見事な録音を残しています。今回のリサイタルでは「黒人の子守歌」と終曲の「黒人の歌」を歌わせていただきます。いつか全曲をお聴きいただける機会があればいいなぁ…。

ビクトリア・デ・ロス・アンへレス東京公演のアンコールは、「カルメン」「さらば、グラナダ」「エル・ビート」等々。カルメンのあの有名な前奏が鳴ると、客席はもう大喜びでした。

<パーニョ・ムルシアーノ>
銀細工師さん、教えてほしいの 恋人のキスをつなぐには どれだけ銀が要るかしら? 
彼がくれた熱いキス これを銀細工にしたいの だってあたしは彼の忠実な恋人ですもの
<黒人の子守歌>
おやすみ坊や ちいさな可愛い子 ヤシの実みたいな頭 コーヒー豆みたいな顔 
白い悪魔がやってきてお前を食べちゃうよ… でもほら!もうお前は奴隷じゃない 
ちゃんといい子にしてたなら ボタン付きの洋服を買ってもらえるよ おやすみ坊や おやすみ…
<黒人の歌>
ヤンバンボ!ヤンバンベ! まっくろ黒人のひと騒ぎ! 踊るはヤンボの一本足! 飲んで歌って大騒ぎ! 酔って歌って行っちまう! オッと!みせます!でんぐり返し ヤンバンボ!

1986年東京公演アンコール「さらば グラナダ」
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東京公演(1988‐1990)から抜粋したCD
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by Megumi_Tani | 2013-05-21 23:57 | スペイン歌曲 | Comments(2)

Commented by 太田公士 at 2013-05-23 22:25 x
谷さんとロスアンヘレスさん、モランテ先生との出会いは、決して偶然でもなければ、神様の恩寵だけでもないように感じます。
それは出会うべくしてと言うか、まさに運命的なものであったのではないでしょうか。
歌修業レポートを読ませていただくと、谷さんが内なる声に導かれて、ある意味無謀な(笑)留学を敢行されたことの中に、総ての「種子」があるように感じました。「好きだから好き!」と同じように…。
Commented by Megumi_Tani at 2013-05-23 23:37
そんな風に受け止めていただけると、光栄です。本当に「好きだから好き!」なのです。理由がない…(笑)
今回プログラムご紹介をまとめながら、あらためて、Barcelonaが授けてくれたご縁の尊さを思いました。感謝!です。

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