『カタルーニャから世界へ』   

第6回『スペインの音楽講座』が終了しました。第1回から約二千年の時を駆け抜け、ようやくたどり着いた19世紀。第6回からは、重要な音楽家にスポットをあて、彼らの人生と音楽について探っていきます。今回とりあげたのは、アルベニス、カザルス、グラナドス。全員がカタルーニャの人です。

アルベニスは、なんと!4歳で演奏会にデビューした神童ピアニスト。10歳になる前から、自慢の腕で稼ぎながら、世界各地を放浪しました。超一流のピアニストとして名を馳せた一方で、作曲家として、『スペイン組曲』『組曲イベリア』に代表されるスペインの香り豊かな作品を多数残しています。「ドン・キホーテの心を持ったサンチョ・パンサのような人」と称されるアルベニス。出会った人は皆、善良で心優しくユーモアにあふれた彼を好きにならずにいられなかったとか。

『タンゴ』 クライスラー演奏。昭和3年の録音


『ラ・ベーガ(グラナダの沃野)』  アルベニス夫妻


さて、そのアルベニスがバルセロナで活躍していた頃、街にある噂が流れました。「最近、ものすごく腕のたつ”子ども”が、Café Tosdでチェロを弾いているらしい」…。どれどれ、と、店を訪れたアルベニが出会った少年、それが生活のためにアルバイト中のカザルスでした。この出会いがきっかけで、後にカザルスは音楽への道が開かれていきます。独自のチェロ奏法の開拓、バッハ『無伴奏組曲』の発見、そして生涯を通して発し続けた平和への強いメッセージは、世界に強いインパクトを与え、今も語り継がれています。

亡命後、プラドでバッハを演奏するカザルス


『鳥の歌』 1961年、ケネディ大統領に招かれたホワイトハウス・コンサートでの演奏


さて、そのカザルスと公私ともに仲がよかったのがグラナドスです。十代から人気ピアニストとして活躍した彼は、教育者としても若手ピアニストの育成に努め、作曲家としてはピアノ曲はもちろん、声楽曲、オペラにも傑作を残しました。超ロマンティストで、ゴヤの時代に限りない憧れを抱いていたグラナドス。彼の作品には、妖しくも儚い一瞬の光、そして深い影があります。自作のオペラ『ゴイエスカス』ニューヨーク初演に立ち会い、大成功を見届け、帰途についたその航路で、ドイツ潜水艦の無差別攻撃を受け、愛する妻とともに帰らぬ人となりました。ニューヨーク公演を現場で見守ったカザルスは、友人の突然の訃報に驚き、チャリティー・コンサートを開くなどしてグラナドスの遺児を助けました。

スペイン舞曲第2番『オリエンタル』 グラナドス本人の演奏(ピアノロール)


スペイン舞曲第5番『アンダルーサ』 グラナドス本人の演奏(ピアノロール)


オペラ『ゴイエスカス』より
ロザリアのアリア 『嘆き、または、マハと夜鶯』 ピラール・ローレンガー


私が留学していた時、グラナドスの末娘ナタリアさんがまだご存命でした。モランテ先生と一緒に彼女のお宅にお邪魔して『Tonadillas~昔風の粋な歌曲集』を聴いていただいたのは、懐かしくも貴重な思い出です。この時に戴いたナタリアさんのサインを、17日の講座で受講生の皆さんにご披露しました。「私の父の作品を歌う素晴らしい歌い手、メグミへ」と書かれています。光栄!

ブログでご紹介しているのは、講座のごく一部です。お話もYoutubeも盛り沢山。かなりユニークかつ興味深い講座かと存じます。

第5回教養講座『Las Músicas de España』(スペインの音楽)
これまでの講座の様子は、こちら。
『第1回』 『第2回』 『第3回』 『第4回』 『第5回』
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by Megumi_Tani | 2014-02-19 00:00 | 講座/セミナー | Comments(0)

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