abdicación~退位   

6月2日、日本時間の6月3日、通常めったにお目にかかることのないスペイン語が世界を駆け巡った。「abdicación」スペインのホアン・カルロス国王が、突然、退位を表明、息子であるフェリペ皇 太子に王位を譲ることを発表したのだ。

私がスペインと出会った頃、ホアン・カルロス国王は、絶大な人気を誇っていた。フランコの後継指名を受けて、1975年、国王に即位。1981年2月23日に起きたクーデター未遂事件での演説は、現代スペインの「伝説」として、広く語られていた。さっそうとした立ち姿も格好よく、そばに控える聡明なソフィア王妃もどこか親しみやすい。私は、いささかミーハー的気分で国王夫妻のファンだった。

●1975年10月22日「即位式」 


帰国後、とある書物を読んで、ホアン・カルロスという人物に別の意味で興味を抱いた。
彼はわずか10歳で、自由主義者である父君ドン・ホアンから独裁者フランコにその身を預けられ、その後、約二十年もの年月、フランコのの下で帝王教育を受けた。かの書物によると、この時代の彼は、内気、寡黙で、何事にも反応が鈍く、自らの意思を示さず、どうにもパッとしない青年であったらしい。「ホアン・カルロスは頭がノンビリしている。フランコが後継者に指名したけれど、本当に大丈夫か?」などという噂が、国民の間でまことしやかに囁かれていたという。

ところが、フランコが亡くなり、いざ国王に即位すると、彼は瞬時に、鮮やかに、変身した。大いなる知性と人間力を発揮し、薄氷を踏むようなスペインの民主化を、スリリングに、しかし堂々と、まさに一大スペクタクルのごとく強力に推し進めた。

能ある鷹は爪を隠す、というが、爪を隠すどころか、爪があることさえ周囲に忘れさせてしまっていたのだ。その意味では、皮肉なことだが、フランコは究極の帝王学を彼に施したのかもしれない。
心の奥底に固い決意を秘め、誰にも気取られることなく、黙して「その時」に備える。そして、いざ「その時」がきたら、真の己を現し、力強く、真っ直ぐに、時にはしたたかに、あらゆる知恵を駆使して突き進む。この、とんでもない精神の強靭さと平衡感覚は、ホアン・カルロスならではのものなのか?あるいは、人間誰の心にも潜む力なのか?

●昔の7ペセタの切手
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近年は、体があっちこっち悪くなり、スキャンダル諸々もあり、支持率が著しく低下していた。
そして、突然の退位表明~abdicaciónである。やはり、寂しい。。。
今年3月には、ともに民主化を進めたスアレス元首相が亡くなっている。時の流れか。。。

「スペイン国王として、39年間の歩み」 
 

6月20日、新しい国王に息子のフェリーぺ6世が即位した。国民の支持率も高い。
スペインに幸あれ!!
さて、ホアン・カルロスは、どんなご隠居様になるのだろう?
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23回リサイタル《スペイン浪漫》
2014年10月4日(土)午後2時@Hakuju Hall
ご来聴をお待ちしています。 詳しい情報はクリック↑↑060.gif

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by Megumi_Tani | 2014-06-21 23:56 | ビバ!エスパーニャ! | Comments(0)

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