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『スペイン浪漫』エピローグ   

「実は、スペイン旅行の嫌な思い出があって、スペインという国がずっと嫌いだったのです。でも、貴女のリサイタルに伺って印象が変わりました。本当は素敵な国なのですね。ぜひもう一度行ってみたいと思います」こんなご感想をいただくと、とても嬉しい。
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Recital写真、撮影:藤本史昭

リサイタルの客席には、いろいろなお客様がいらっしゃる。クラシックの専門家の先生、声楽家の方、音楽大学の学生さん、スペイン歌曲修行中の若い生徒さん、スペイン大好き・超スペイン通の方、スペインはよく知らないけれど音楽好きな方、普段クラシックとはあまりご縁のない方、「毎年の楽しみです」と必ずご来聴くださる方、何だかよく分からないけど友達に誘われて来たという方、偶然の出会いがきっかけでお出かけくださった方 不思議な出会い、二十年を越える年月を聴き続けてくださっている方、今回が初めての方…。スペインの歌には、そんな多士済々のお客様すべての心に通じる『何か』があると信じている。

スペイン語、つまり外国語で歌うのだから、大半のお客様にとってはチンプンカンプン。寿限無寿限無と同じだ。少しでも歌詞の心をお伝えするべく、私本人が訳した歌詞大意をお渡しし、演奏の合間に解説&お喋りを挟み込む。台本なんて無い。お客様とのライブ感。これがまた楽しい。
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今回は、舞台袖で突然ひらめき!ピアノの浦壁信二さんにもお話してもらった。彼のお人柄がにじみ出て、またまたファン増加中。
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残念ながら、スペイン歌曲が世に広く知られているとは言い難い。私のリサイタルで初めて聴いた、という方も多い。「初めて」の責任は重い。初めて旅したスペインで不愉快な出来事があれば、スペインが嫌いになる。初めて食べたスペインのワインや料理が不味ければ、「スペインの食べ物ってイマイチよね」ということになる。だから歌い手の私は、初めてのお客様に「あら!スペインにはこんな素敵な歌があるのね」と感じていただける演奏がしたい。これをきっかけに、スペインを、スペインの歌を、好きになっていただけたらいいな、と、思う。クラシックも悪くはないな、と、感じていただけたらいいな、と、思う。そしてまた同時に、クラシックの専門家、スペイン歌曲をよくご存知の方、私の歌を長く聴き続けてくださっている方に、十二分に満足していただける演奏をお届けしたい。極上のスペイン、極上の歌…。すべてを成立させることは、なかなか難しい。でも、スペインの歌には、それを可能にする『何か』があると信じている。熟成したワインとシェフが腕を振るった料理で誰もが幸せになるように、お客様お一人お一人が、スペインの響きとリズムに酔い、心を自由に遊ばせ、かけがえのないひとときを楽しんでくださることを願う。

一期一会。今年も素敵な時間を皆様とご一緒させていただきました。
2014年リサイタル『スペイン浪漫』 ありがとうございました。

by Megumi_Tani | 2014-10-23 02:59 | リサイタル | Comments(0)

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