1985年、夏   

今年の夏は本当に暑い。今月初め、東京の最高気温が37.7℃だった日は参った。普段はありえないほど汗をかき、喉が渇くので、出先で水やお茶を飲み続け、夜にはお腹が水疲れ?して、何も食べる気がしない。わたしゃ道産子よ~(^^;;

話は飛躍するが、こうなると、どうにも2020年の東京オリンピックが気にかかる。気温35℃で、アスファルトの路面温度は55~60℃にもなるという。そんな場所を42.195キロも走ったり、競歩のようにひたすら道に貼りつくように歩いたりして、大丈夫なのだろうか?沿道で応援する人達はどうなる?舗装技術を工夫し、各所でミストを施しても、天然のお日様には敵わないだろう。自然のパワーを忘れていないか??炎天下、もしも何かあったらどうするのだろう…。

炎天下、といえば、今度は話が30年前に遡る。1985年7月7日、東京はカンカン照りの晴天だった。何故そんなことを覚えているか、というと、私がスペインから帰って来たのがこの日、つまり30年前の7月7日だったからだ。それだけなら別にどうということもないのだが、成田に着いてみると、バルセロナで出発時に預けたスーツケースが無くなっていた。まだベルリンの壁が崩壊する前の話だ。「モスクワ空港に荷物が残っていれば届くかもしれませんが、保証はできません。もしも東欧圏に行ってしまっていたら諦めてください」と、カウンターで冷たく言われ、呆然とした。

演奏家にとって楽譜は宝物だ。スペインで手に入れた楽譜すべてを抱えて帰りたかったけれど、まさか全部手荷物というわけにはいかず、絶対に無くなってほしくない楽譜だけをスーツケースに詰め、他は祈るような気持ちで船便で送った。その「絶対に無くなってほしくない楽譜」を入れたスーツケースが無くなっている。しかも出て来るかどうかも分からない。マエストロ・モンポウにサインしてもらった『夢のたたかい』、グラナドスの末娘、ナタリアさんにサインしてもらった『昔風の粋な歌曲集』、ガルシア・モランテ先生が感謝のメッセージを書き込んでくれた『カタルーニャ民謡集』etc。あの掛け替えのない楽譜が出て来なかったら…。

Tシャツにジーンズ。機内持ち込みのショルダーバッグひとつで炎天下の東京に放り出された私は、右も左もよく分からずヨロヨロ、ウロウロ。ショックで頭がボーっとしていた。真っ青な夏空、太陽がジリジリと照りつけ、とにかく暑かった。(それでも今より気温は低かったに違いない)

ビジネスホテルで待機すること一週間。空港から連絡が入った。スーツケースが出て来たという。即、成田まで受け取りに行った。案の定、中は開けられていたが、中身は無事だった。(まぁ音楽家以外の人にとって楽譜は何の価値もない)。私を含めて20人分の荷物がモスクワ空港の隅っこに放られていたそうだ。

やっと帰って来たスーツケースを大事に抱えて北海道の実家に帰った。お盆明けには東京へ、と、準備をしているさなかの8月12日夕方、日航ジャンボ機墜落事故が起きた。速報で流れたカタカナの乗客名簿の中に大阪の知人と同じ名前を見つけ、背筋に冷たいものが走った。

以来、7月7日と8月12日は、夏の忘れられない日付になった。今年の7月7日は鈍い曇り空。催涙雨~織姫と彦星が流す涙の雨~が降りしきっていた。そして今日、8月12日。御巣鷹山のニュースに、あらためて30年の年月を思う。

谷めぐみ30周年記念リサイタル《スペイン わが心の歌》
2015年10月17日(土)午後2時開演@Hakuju Hall
プログラム詳細、チケットご購入はこちら ⇒ 《谷めぐみの部屋》

ご来聴をお待ちしています060.gif

1985年の聖家族教会
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by Megumi_Tani | 2015-08-12 21:46 | 思い&想い | Comments(0)

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