海のマリアちゃん
2017年 07月 19日
「11月に日本にいれば、何が何でもリサイタルをお聴きしたいのに…。残念です」と、お母さん。そういえば、昨年のリサイタル終演後、見ず知らずの女性から声をかけられた。バルセロナで長く暮らして帰国。日本での暮らしは落ち着いたけれど、バルセロナが恋しくて仕方がない。何か、何か、、、と情報を探しているうちに、私のリサイタルを見つけられたとのこと。「今日は聴かせていただいて本当によかったです」満面の笑みを浮かべて仰る言葉を聞き、私も嬉しくなった。
昨夜は、日本・カタルーニャ友好親善協会のテルトゥーリアに参加した。吉祥寺のスペイン料理店ドス・ガトスのオーナーシェフ、高森敏明さんの講演の後、カバとワインとお料理でワイワイガヤガヤ。会の名称の通り、このイベントに集まる人はカタルーニャ好き、バルセロナ好きが多い。外国とご縁が出来る際、それがどの国になるか。スペインの場合は特に、スペインのどの街と、どの地方とご縁が出来るか、によって、まるで様相が変わってくる。「偶然はありません。あなたが私達の国に来たのは必然だったのです」と、昨夜初めてお目にかかった紳士は、どこかの国の人に言われたそうだ。
さて、突然訪ねて来てくれたお母さんと娘さん。別れ際に、娘さんのお名前を聞いた。
「マリア・デル・マールです」
「え?マリア・デル・マールって…。知っている?あの…」
「はい!あの教会、あの本ですよね。分厚くて日本には持ってこられなかったけれど、夢中で読んでいます」
驚いた。つい二日前、オペラ・ブック・カフェで、その分厚い本、〈海のカテドラル〉をご紹介したばかり。ピアノ好きの可愛いお嬢さんのお名前は、その小説の舞台、海の聖母教会~サンタ・マリア・デル・マールに由来するマリア・デル・マール~海のマリアちゃん、だったのだ。
蒸し暑い日本の風に紛れて、かすかに、でも、確かに、バルセロナの風が吹いている。
五感を研ぎ澄ませて、佳い歌を歌いたい。
第26回リサイタル
《スペイン浪漫Ⅲ~グラナドス生誕150年、モンポウ没後30年に捧ぐ》
2017年11月19日午後2時開演@Hakuju Hall(代々木八幡)
ご来聴をおまちしています♪
海の聖母教会