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1119♪ カルメン〈恋は野の鳥〉の元歌です   

先日、第26回リサイタル《スペイン浪漫Ⅲ》のプログラム解説を始めたところ、「未知の分野なので、こうして書いていただけると助かります」と、さっそくメッセージをいただきました。この方はオペラ通、音楽通、劇場にもよく通い、音楽関連の本にも精通されていらっしゃいます。そんな通の方でもスペイン歌曲についてはあまりご存知ない…。いかにスペイン歌曲が日本で知られていないか、を、あらためて痛感するとともに、ふとした出会いをきっかけに、こうして興味を持っていただけることをとても嬉しく思います。Iさん、ありがとうございます。

さて、本日ご紹介の曲目は〈エル・アレグリート〉です。

1875年春、ビゼー作曲オペラ《カルメン》は紆余曲折の末、パリのオペラ=コミック座で初演されました。大成功!とはすんなり言えない状況だったようです。ヒロイン・カルメンを歌ったセレスティーヌ・ガリ=マリエは、自身が歌うアリアが気に入らず、ビゼーに別の曲を書くよう求めました。突然そんなことを言われても…。困惑するビゼー。そこで、ふと、とあるメロディーが脳裏をかすめます。あれは何の歌だった…?いつどこで聞いたんだ…?誰が歌っていたのか…?そう、あれはたしかスペインの民謡だ…。民謡ならば…そうだ!あのメロディーを使おう!こうして大急ぎで作曲されたのが、カルメンの名ハバネラ〈恋は野の鳥〉でした。


このハバネラ、ビゼー自身も満足の出来だったようです。ところが後日、民謡だと思い込んでいたメロディーが、実は民謡ではなかったことが判明します。セバスティアン・イラディエールが書いた〈エル・アレグリート〉というれっきとした作品でした。そ、そ、そんな!知らなかった、てっきり民謡だと思っていた…。驚愕するビゼー…。そして《カルメン》の楽譜出版の際、「これはスペインの歌に拠る曲です」と、きちんと但し書きを入れたのでした。ビゼーのお人柄が偲ばれます。《カルメン》初演のわずか三か月後、ビゼーは世を去りました。難産の末世に出た《カルメン》の後世、現在に至るまでの人気ぶりを、ビゼーは予想していたでしょうか。。。

さて、その話題の元歌、イラディエール作曲〈エル・アレグリート〉です。
 
                    
驚くほど!同じメロディー!まさに、まさに、です。しかし、よく聴くと、たとえ基は同じでも、〈恋は野の鳥〉は〈エル・アレグリート〉がより凝縮され、より洗練され、ひとつ上の次元に昇華された作品であることが分かります。〈エル・アレグリート〉のままであれば、この歌が今のように世界中に愛され続けることはなかったでしょう。ビゼーの才能に敬意を!

とはいえ、スペイン歌曲の歌い手としては、この偶然のエピソードとともに、元歌〈エル・アレグリート〉の存在をお知らせしたい!と願うのです。〈エル・アレグリート〉のおかげで、遠い親戚?だったカルメンが親しい従妹のお姉さん?のような存在になりました。本番を私も楽しみにしています。

第26回リサイタル
2017年11月19日(日)14:00開演@Hakuju Hall
ご来聴をお待ちしています!


キューバの風に吹かれて…



by Megumi_Tani | 2017-08-27 00:01 | リサイタル | Comments(0)

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