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1119♪ モンポウ『魂の歌』   

9月16日は、マリア・カラス40回目の命日だった。彼女が来日した1974年、私はまだ声楽のセの字も始めていなかった。クラシックとは無縁。したがって、世紀の歌姫の来日もほとんど記憶にない。大学時代、何かのアリアのレコードを聴き、その声に恐怖のようなものを感じた。マリア・カラスは怖い…。以来、ずっと敬遠していた。ところが、卒業後のある日、ふと気が向いて購入したLPでリューのアリアを聴いた瞬間、彼女の歌が、真っ直ぐに、強烈に、飛び込んで来た。マリア・カラスは凄い…。まるで雷にでも打たれたようだった。

没後40年記念番組の予告@スペイン国営放送
Se cumplen 40 años de la muerte de María Callas

スペイン語によるドキュメンタリー


年月を経た今、偉大なるDivaとしての圧倒的な存在感とは別のところで、彼女の底知れぬ「孤独」を感じる。深い寂寥を帯びた声…。声そのものが、叫び、助けを求めている。

モンポウとカラス。こんな対照が成立しうるとは自分でも驚きだが、モンポウの音楽に貫かれているもの、あるいは彼の生涯に一貫して漂う気配は「孤独」である。モンポウは叫ばない。叫ぶことはおろか、助けを求めることもできない。強烈な自負とその裏返しの臆病さに苛まれ、常に己の内へ、内へと向かっていく。不安定な心を抱え、バルセロナとパリを何度も行き来しながら、自分探しの旅を続けた。愛妻カルメンとのめぐり会いがなければ、この世での成功はありえなかったのではないか。

1985年春、ご自宅を訪ねた際は、お二人が温かく迎えてくれた。旅立たれて30年が過ぎた今、マエストロご本人とお目にかかった人間は本当に少なくなった。
¡Hola!バルセロナ(38)

マエストロ・モンポウにサインをいただいた楽譜
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内なる葛藤を抱え、迷い、悩み、苦しむモンポウの精神が光を見出したもの、そのひとつが、16世紀スペインを代表する神秘主義の巨人、十字架のヨハネの詩だった。《スペイン浪漫Ⅲ》3ステージで演奏する『魂の歌』は、その十字架のヨハネの詩に作曲されている。

「これほど美しいものはありえないことを私は知っている。夜であるのに…」
神への信頼、帰依の喜びを静かに歌い上げるこの作品は、もしかすると、モンポウ自身の魂の叫びだったのかもしれない。

第26回リサイタル
2017年11月19日(日)14:00開演@Hakuju Hall
ご来聴をお待ちしています!

『魂の歌』





by Megumi_Tani | 2017-09-17 20:00 | リサイタル | Comments(0)

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