1119♪ ハバネラはラバナのアバネラ   

「隣りの客はよく柿食う客だ」みたいな、本日のタイトル。アルファベットを入れて書くと「Habanera は La Habana の Habanera」。スペイン語をご存知の方は、ハハァ~ンと頷いておられるだろう。

ハバネラの綴りはHabanera。スペイン語では H は発音しないので、Habanera は アバネラ、となる。日本で Habanera を広めた方が、スペイン語の「ハ」のルールをご存知なかったか?Alhambra が アランブラではなく、アルハンブラ、として広がったように…。

ハバネラは、その名が示す通り、ハバナ生まれの音楽だ。カリブ海の国キューバの首都ハバナ。正式な名称は La Habana と、Habana の前に定冠詞 La が付く。先述の通り、H は発音しないから、ラ・アバナ。実際に読んでみると、ラバナ、となる。つまり「ハバネラはラバナのアバネラ」は、「ハバネラは、ラ・アバナ生まれのアバネラという音楽です」というわけだ。

今年のプログラムでは、個性的なハバネラ2曲を演奏する。まず前半、19世紀の華として、オペラ《カルメン》のアリア〈恋は野の鳥〉の元歌、イラディエール作曲〈エル・アレグリート〉を。後半では、斜陽スペインの悲哀を歌ったモンサルバージェ作曲〈ピアノの中のキューバ〉を。

グラナドスが生きた19世紀末~20世紀初頭のバルセロナは、モデルニスモの時代だ。キューバのサトウキビで大儲けした財閥の資金=キューバ・マネーがその華やかな文化を支えていた。ガウディのパトロンとして名高いグエルもそんな財閥の一人。豊かな時代、人も世も成熟、爛熟の時代、ブルジョワ達のサロンで、あるいは、街角で、恋の歌〈エル・アレグリート 〉は、きっと愛されていただろう。

しかし、スペインは失う。歴史の歯車がゆっくりと動き、やがてその速度が勢いを増し、これでもか、これでもかとグルグル回り、スペインはいろいろなものを失った。そんないろいろなものの中のひとつ、キューバを失った、その時を、自虐と皮肉を込めて語り歌うのが〈ピアノの中のキューバ〉だ。ハバネラ特有の倦怠感、場末感が何とも魅力的。

歴史は揺れる…。ハバネラも揺れる…。味わいがまるで異なるふたつのハバネラをお楽しみいただきたい。

第26回リサイタル
2017年11月19日(日)14:00開演@Hakuju Hall
ご来聴をお待ちしています!

〈ピアノの中のキューバ〉


室内楽版〈エル・アレグリート〉






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by Megumi_Tani | 2017-10-29 16:18 | リサイタル | Comments(0)

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