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519♪ 改元の年のリサイタル

2019年5月1日、新元号「令和」の時代が始まった。個人的には、お役所等の書類に記入する以外は西暦を使うことが多い。しかし「令和」の始まりはやはり節目を感じ、感慨深いものがあった。

令和元年の19日め、5月19日にリサイタルを開かせていただく。思い出したのは、今から30年前、「昭和」から「平成」に変わった時のことだ。

1989年すなわち昭和64年、私は1月11日にリサイタルを控えていた。前年暮れから昭和天皇のご容体が連日報道されるようになり、国全体が何となく緊張して年を越した。どうやらまもなく「昭和」が終わるらしい。しかしそれがいつなのか、誰にも分からない。万が一「その日」が1月11日になった場合、予定通りリサイタルを開催していいのか?あるいは自粛すべきなのか?もしも開催を延期または中止する場合、お客様全員にその旨をどうやってお伝えするのか?販売済みのチケットの取り扱いはどうする?今回借りた会場の取り扱いはどうなる?仕切り直しの開催はいつ?そうなれば完成しているプログラム等の印刷物もすべて刷り直し?…etc,etc,etc。誰も経験したことのない事態、誰にも答えが見つからない。「何とかなるわよ!」と私はカラ元気を出していたが、もしもそうなった場合どうすればよいのか、正直、見当もつかなかった。

1月7日早朝、ラジオのスイッチを入れると、ただならぬ緊迫感が伝わって来た。「その日」が来たのだ。1月8日に「平成」の時代が始まり、三日後の11日、私は予定通りリサイタルを開くことが出来た。

あらためて思い起こしても、かなり危いタイミングだったと思う。またいつか次の改元の日が来ること、その時に自分が歌っているかどうか、など、意識さえしなかった。ちいさな歌い手の私が、人生で二度、改元の年にスペイン歌曲のリサイタルを開かせていただく。感謝しかない。


by Megumi_Tani | 2019-05-03 22:01 | リサイタル

スペイン歌曲のスペシャリスト♪谷めぐみのブログです


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