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『天地悠々』上映会   

先日このブログでもご紹介させていただいたドキュメンタリー映画『天地悠々 兜太・俳句の一本道 』夏の上映会に出かけた。

スクリーンから聞こえてくる兜太さんのお声…懐かしい。何十年ぶりだろう。ずっとずっと昔、私は兜太さんが出ておられたラジオ番組を愛聴していた。粋で切れのいいユーモアを交えながら、ズバリと核心をつくそのお話しぶりが好きだった。

鄙びた秩父の風景、真っ赤な曼珠沙華、ご自宅の庭、街歩きのお姿…。穏やかな映像と音楽を背景に、兜太さんの人生折々の俳句が味わい深く流れる。朗読は、本田博太郎さん。兜太さんの歩みをさりげなく辿る、ナレーションは山根基世さん。そして全編を貫くのは、この映画を制作された河邑厚徳監督による兜太さんへのインタビューだ。俳句についてはもちろん、兜太さんの原点であるトラック島での戦争体験、小林一茶への傾倒、はたまた入れ歯のことまで、話題は尽きない。河邑監督を信頼し、真っ直ぐに語る兜太さんのご様子が実にいい。監督の質問がズバリ的をついた時、「鋭いね。いい質問です」と仰る表情の何と嬉しそうなこと!兜太さんのような方は、こいつはダメだ、と思われたら、即、取材お断りだろう。足かけ七年に亘ったというお二人の魂の交流が偲ばれる。98歳の冬、肺炎にかかり入院するも奇跡的に回復し、退院。インタビューを再開されたが、直後に再び体調を崩し、そのまま天に還られた。

トラック島での凄惨な体験、その渦中にありながらも「人間っていいものだな」と感じられたこと。それが兜太さんの戦争拒否の原点であったという。

豊饒なる静寂。そんな言葉がふと心に浮かんだ74分。

上映会は、各地で続きます。お近くの方、ぜひお出かけください。

by Megumi_Tani | 2019-08-18 00:45 | エトセトラ | Comments(0)

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