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ラジオの出会い

先日、林田直樹氏が書かれたこんな文章に遭遇した。

インターネットが普及し、テレビもラジオもCDも、皆、その在り方を模索している。CDは買われず、テレビもなかなか視てもらえない。ラジオなんて聴いたこともない、そもそもラジオを持っていない、という方も多いのではないか。

私はラジオが好きだ。ラジオ歴はかなり長い。実家はテレビ党でラジオを聴く習慣が無かったから、聴き始めたのは京都での大学時代だろう。当初はレコードを買う代わりにクラシック音楽の番組を聴くことが目的だったが、やがていろいろな周波数に合わせて聴く楽しみを覚え、ご贔屓の番組も出来た。

NHK・FMで日曜午後に放送されていた「日曜喫茶室」は楽しかった。はかま満緒さんをホスト役に、毎週いろいろなゲストが登場してお話される。吉行淳之介の声を初めて聴いたのもこの番組だった。バルセロナに渡る際、「日本に戻って来る頃には放送が終わっているのかなぁ…」と寂しい気分になったことを覚えている。帰国してみると、嬉しいことに番組は続いていた。忘れもしない2016年冬、いつものように番組を聴いていると、はかま満緒さんの声のトーンが何だか変だ。呂律が回っていないわけではないのだが、何か言葉運びがいつもと違う。体調が悪いのだろうか?風邪でも引かれたのだろうか?怪訝に思いながら聴いていると、番組の最後に、ウェイトレス役の女性の声で、この収録の翌日、はかま満緒さんが急逝されたことが伝えられた。驚きとともに、先ほどまで感じていた違和感が一気に確信に変わった。

パコ・デ・ルシアとの出会いもラジオだった。あの時の衝撃は忘れられない!


東日本大震災の折、連日テレビで繰り返し、繰り返し流される映像に心が耐え切れなくなった。ただ、情報は要る。テレビを消し、ラジオをつけた。静かな部屋に流れるアナウンサー氏の落ち着いた声。救われた思いがしたものだ。

そんないくつもの出会いの中で、村上信夫さんのラジオ番組も愛聴してきた。元NHKエグゼクティブアナウンサー。NHKを退職されてからは文化放送でのラジオ番組のほか、講演、執筆、ライブ活動etc。八面六臂のご活躍を続けられている。私にとっては、まさに「ラジオの声」の主のおひとりだ。その村上さんが主宰されるトークライブ(第79回)にお邪魔してきた。熱烈なファンで、会場は空いている席を探すのも大変なほどの大盛況。ダンディなスーツ姿の村上さんがゲストのギタリスト、村治佳織さんと楽しいトークを繰り広げられた。

奇しくもこの日は、阪神・淡路大震災から25年目の1月17日。25年前の早朝、大地震の発生を受け、NHKでその第一報を伝えたのが、当時朝のニュース番組「おはよう日本」を担当されていた村上さんだった。混乱、錯綜する現場の様子をお話しくださり、感慨深いものがある、と、しみじみ語られた。震災でお母さんを亡くした少年の詩の朗読は、まさに長年聴いてきたラジオのお声そのもの。あらためて1月17日を想い、目を閉じて聴かせていただいた。

今はラジオがなくても、インターネットの「radiko 」で聴けます。
元気な時もいいけれど、ちょっと疲れた時、ちょっと寂しい時、ちょっとひとりになりたい時、ラジオはさりげなく心に寄り添ってくれます。
ちなみに、私はラジオの回し者ではありません。念のため(笑)

トークライブで演奏された曲のひとつ「ムーン・リバー」



by Megumi_Tani | 2020-01-19 00:23 | エトセトラ

スペイン歌曲のスペシャリスト♪谷めぐみのブログです


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